T31型のエクストレイルですが、購入した際の走行距離が2万キロちょっとと短かったこともあり、新車装着タイヤであるダンロップのSP SPORT 7000が取り付けられていました。
とはいえ、溝は半分以上残っているといってもさすがに2003年製造のタイヤなのでゴムはカチコチになっており、危険なので新品タイヤに交換することにしました。
いろいろ悩んだのですが、タイヤはやはり設計も最新の方が良いよね、ということで発売直後のミシュランのPRIMACY 5を購入してみました。
ミシュラン PRIMACY 5 とは
ミシュランのPRIMACYシリーズはプレミアムコンフォートに位置するラインナップのタイヤで、PRIMACY 5は2025年3月1日に発売されたばかりの最新モデルです。
前モデルであるPRIMACY 4+およびPRIMACY SUV+を統合し、コンパクトカーからセダン、ミニバン、SUVまで幅広い車種に対応する汎用性の高いタイヤとなっています。
リニューアルによる強化点
PRIMACY 5は「最後まで続く性能」をコンセプトに、静粛性、快適性、ウェット性能、耐摩耗性、環境負荷低減の全方位で進化を遂げており、PRIMACY 4と比べてかなりの違いがあるといえます。
1,ウェット性能の向上
PRIMACY 5の最大の強化点は、ウェット路面でのグリップ性能とブレーキング性能の向上となります。
- ロングラスティングスカルプチャー:ショルダー部の縦溝を広げ、太い横溝と細い横溝を組み合わせたトレッドパターンにより、排水性能とエッジ効果を強化。新品時だけでなく、摩耗時でも溝の体積が前モデル比で10%以上増加し、持続的なウェット性能を実現。
- ファンクショナルエラストマー3.0:新世代の合成ゴムコンパウンドを採用。ウェット路面でのグリップ力、転がり抵抗、耐摩耗性を高次元でバランスしている。
- 実績:日本自動車タイヤ協会(JATMA)のウェットグリップ性能評価で最高グレード「a」を獲得。テストでは、80km/hからのウェットブレーキングでブレーキペダルの踏み始めから安定して効き、横ブレやゴムのよれ感がなく、安心感のあるフィーリングで高評価を受けている。

大きく撥水性の良さそうな縦溝が特徴のパターンです。
ウエア・インジケータがとても小さく見えます。
2,静粛性の進化
プレミアムコンフォートを謳うPRIMACYシリーズだけあって静寂性についても強みがありますが、PRIMACY 5ではさらに進化しています。
- サイレントリブ Gen-3:従来の「サイレントリブテクノロジー」が第3世代に進化。主溝接続部の角度を最適化し、ブロックエッジの剛性を向上させることで、ブロックの振動を抑制。これにより、ノイズ低減と耐摩耗性の向上を同時に実現。
3,耐摩耗性の向上
PRIMACY 5は、長寿命化を重視した設計となっており、PRIMACY 4+から大幅に耐摩耗性が向上しています。
- 耐摩耗性30%向上:前モデルPRIMACY 4+と比較し、耐摩耗性が約30%向上。ミシュラン独自の「マックスタッチコンストラクション」により、接地圧を均一に分布させ、偏摩耗を抑制。トレッドウェア(タイヤの耐摩耗性能を表す数値で、数値が大きいほど減りにくいタイヤであることを意味する)は420(PRIMACY 4+は340)と、消耗に対する強さが強化されている。
4,転がり抵抗の低減
燃費向上につながる転がり抵抗もPRIMACY 4+と比べて大幅に低減されています。
- 転がり抵抗7%低減:前モデルPRIMACY 4+比で転がり抵抗を約7%削減。一部サイズではJATMAの転がり抵抗評価で「AA」を取得。特にハイブリッド車や電気自動車(EV)との相性が良く、エコ志向のドライバーに適しています。
5,デザインのプレミアム感
PRIMACY 5になり、サイドウォールのデザインも一新され、プレミアムコンフォートにふさわしい高級感のあるデザインとなっています。
- プレミアムタッチ:サイドウォールのベルベット調の漆黒デザインは、光の98%を吸収し、高級感を演出。0.1mm単位で計算された独自の金型技術が採用されています。

雨で濡れてしまったので見づらいですが、ミシュランロゴまわりのモールドはとても細かく、高度な金型加工によるものと思われます。
触ってみるとわかりますが、すごく細かい凹凸のベルベット調の表現、すごいですよ。
他社競合製品との比較
T31エクストレイルは225/55R18が標準タイヤサイズとなります。価格コムなどの売れ行きも見ながら、このサイズの他社の競合製品と比較してみました。
項目 | ミシュラン PRIMACY 5 | ブリヂストン REGNO GR-XIII | ヨコハマ ADVAN dB V553 | YOKOHAMA BluEarth-RV RV03 | TOYO TIRE PROXES CL1 SUV |
---|---|---|---|---|---|
ウェットグリップ | a(最高グレード) | a | a | a | a |
転がり抵抗 | AA(一部サイズ) | AAA(一部サイズ) | AA | A | A |
トレッドウェア | 420 | 約340 | 約360 | 約360 | 約360 |
静粛性 | ◎(サイレントリブ Gen-3) | ◎(最高レベル) | ○ | ○ | ○ |
乗り心地 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
耐摩耗性 | ◎(30%向上) | ○ | ○ | ○ | ○ |
価格帯(概算) | 高価格帯(2.5-4万円/本) | 高価格帯(2.5-4万円/本) | 中~高価格帯(2-3.5万円/本) | 中価格帯(1.8-3万円/本) | 中価格帯(1.5-3万円/本) |
以下、項目ごとに考察してみたいと思います。
1. ウェットグリップ
ウェットグリップは、すべてのタイヤが「a」評価となります。ただし、摩耗時の性能持続の面で評価が分かれそうな結果となりました。
- PRIMACY 5:JATMAウェットグリップ「a」を全サイズで取得。摩耗時(残溝3.5mm)でも前モデル比2.4%ブレーキ性能向上。「ロングラスティングスカルプチャー」による溝体積10%増で排水性が高く、エクストレイルの重量級車体でも雨天時の安定性が高い。ユーザー評価では「ウェットでの安心感が抜群」と好評。
- REGNO GR-XIII:ウェットグリップ「a」。高シリカコンパウンドと最適化されたトレッドパターンで優れた排水性。エクストレイルの重い車体でも安定したブレーキングが可能だが、摩耗時の性能持続性はPRIMACY 5にやや劣る。
- ADVAN dB V553:ウェットグリップ「a」。プレミアムコンフォートタイヤとして雨天性能は高いが、SUV特化設計ではないため、エクストレイルの重心高を考慮するとPRIMACY 5やREGNOに比べやや不利。
- BluEarth-RV RV03:ウェットグリップ「a」。SUV/ミニバン向けに設計され、エクストレイルの車重や重心高に適応。排水性は良好だが、摩耗時の性能データはPRIMACY 5ほど明確でない。
- PROXES CL1 SUV:ウェットグリップ「a」。SUV専用設計で、エクストレイルの車重に対応した剛性あるトレッドパターン。ユーザー評価では「雨天でも安定」とされるが、摩耗時の持続性はPRIMACY 5に及ばず。
雨天での走行安定性を重視するのであれば、PRIMACY 5の摩耗時性能持続性が特に有利といえるかと思います。REGNOやPROXES CL1 SUVも良好だが、長期使用ではPRIMACY 5が一歩リード、という結果となりました。
2. 転がり抵抗
燃費に直結する転がり抵抗については、タイヤのリリース年や価格帯などによってかなり差が出る結果となりました。
- PRIMACY 5:前モデル比7%低減、一部サイズで「AA」。エクストレイルのハイブリッドモデル(e-POWER)などでは特に燃費向上に寄与。
- REGNO GR-XIII:「AAA」を一部サイズで取得。ブリヂストンの低転がり抵抗技術が強みで、エクストレイルの燃費性能を最大化。特にハイブリッドモデルに最適。
- ADVAN dB V553:「AA」。燃費性能は良好だが、REGNOやPRIMACY 5に比べるとやや劣る。エクストレイルの重量級車体では燃費差が顕著になる可能性。
- BluEarth-RV RV03:「A」。SUV向けに設計されているが、転がり抵抗は他社に比べ低評価。エクストレイルの燃費性能はPRIMACY 5やREGNOに劣る。
- PROXES CL1 SUV:「A」。燃費性能は標準的で、ハイブリッド車での効率性はPRIMACY 5やREGNOに及ばない。ユーザーからは「燃費は純正タイヤと同等」との声。
ガソリン代が高騰している現状では、やはり燃費は重要です。REGNO GR-XIIIの「AAA」が最も有利ですが、PRIMACY 5の「AA」も十分な性能といえるかと思います。BluEarth-RV RV03とPROXES CL1 SUVは燃費面でやや不利かな、という結果となりました。
3. トレッドウェア(耐摩耗性の指標)
走行に応じてタイヤは消耗するものですので、消耗時にどれくらいの性能を維持できるのか、ということは長くタイヤを使う上で重要となります。
- PRIMACY 5:トレッドウェア420、前モデル比30%耐摩耗性向上。エクストレイルの車重による摩耗を抑え、長寿命を実現。
- REGNO GR-XIII:約340。静粛性重視のため耐摩耗性は標準的。エクストレイルの頻繁な使用では交換頻度がやや早まる可能性。
- ADVAN dB V553:約360。バランス型だが、PRIMACY 5の長寿命性能には及ばない。エクストレイルの重量級車体では摩耗がやや早いとの声。
- BluEarth-RV RV03:約360。SUV向け設計でエクストレイルの車重に対応するが、PRIMACY 5の耐摩耗性には劣る。
- PROXES CL1 SUV:約360。SUV専用設計でエクストレイルの車重に耐えるが、PRIMACY 5の長寿命性能には及ばない。ユーザー評価では「3年で摩耗」との報告。
エクストレイルに限らずSUVは重量がある車が多く、使用環境(長距離走行や荷物積載)を考慮すると、PRIMACY 5の耐摩耗性が圧倒的に有利といえるかと思います。REGNOや他タイヤは標準的な性能で、マイナス点ではありませんがPRIMACY 5が抜きん出ている、といっても良いかと思います。
4. 静粛性
T31型エクストレイルはリアタイヤ回りに吸音材がなく、かなり盛大にロードノイズが入り込んできます。そのため、タイヤの静寂性はかなり重要といえます。
- PRIMACY 5:「サイレントリブ Gen-3」でノイズ低減と耐摩耗性を両立。エクストレイルの広いキャビンでも静粛性が高く、ユーザー評価で「高速道路での静けさが別次元」と好評。
- REGNO GR-XIII:ブリヂストンのノイズ吸収技術で最高レベル。高周波ノイズ抑制はPRIMACY 5と同等かやや上。高速走行時の快適性は抜きん出るものがある。
- ADVAN dB V553:静粛性は高いが、PRIMACY 5やREGNOに比べるとやや劣る。エクストレイルのキャビンでは「若干ロードノイズが気になる」との声。
- BluEarth-RV RV03:SUV/ミニバン向けに静粛性を強化しているが、プレミアムタイヤに比べると劣る。エクストレイルでは「純正タイヤより静かだが、REGNOには及ばない」との評価。
- PROXES CL1 SUV:SUV向けに静粛性を考慮した設計だが、PRIMACY 5やREGNOに比べるとノイズ抑制が弱い。
PRIMACY 5とREGNO GR-XIIIがトップレベルで、快適な車内環境を提供してくれるタイヤと言えるかと。ADVAN dB V553、BluEarth-RV RV03、PROXES CL1 SUVは良好ですがPRIMACY 5とREGNO GR-XIIIに比べると一段劣ると思います。
5. 乗り心地
エクストレイル T31のタイヤは扁平率55なのでそこまで顕著に差が出るわけではなさそうですが、乗り心地については良いに超したことはありません。
- PRIMACY 5:接地圧の均一化(マックスタッチコンストラクション)で、路面の突き上げを抑え、エクストレイルの重い車体でも滑らかな乗り心地。テストドライバーから「SUVでもセダンのような快適性」と評価。
- REGNO GR-XIII:ソフトな乗り心地で知られ、エクストレイルのサスペンションとの相性が良い。ユーザー評価で「段差での衝撃吸収が優れている」と高評価。
- ADVAN dB V553:乗り心地は良好だが、SUV特化設計ではないため、エクストレイルの重心高による揺れを抑える点でPRIMACY 5に劣る。
- BluEarth-RV RV03:SUV/ミニバン向けに柔らかい乗り心地を追求。エクストレイルの重量級車体でも安定感があるが、プレミアムタイヤの滑らかさには及ばない。
- PROXES CL1 SUV:SUV専用設計で、エクストレイルの車重に対応した乗り心地。ユーザー評価では「純正タイヤより快適」とされるが、PRIMACY 5やREGNOの滑らかさに劣る。
PRIMACY 5とREGNO GR-XIIIの柔らかく滑らかな乗り心地は足回りが固めなSUVでも良好に作用すると思われます。ADVAN dB V553、BluEarth-RV RV03、PROXES CL1 SUVも良好だが、プレミアム感で劣る結果になると思います。
6. 価格帯(225/55R18サイズ想定、2025/5/4時点の最安値)
価格について調べてみました。価格コムでの最安値価格となります。
- PRIMACY 5:高価格帯(20,900円/本)
- REGNO GR-XIII:高価格帯(27,950円/本)
- ADVAN dB V553:中~高価格帯(25,100円/本)
- BluEarth-RV RV03:中価格帯(17,500円/本)
- PROXES CL1 SUV:中価格帯(14,000円/本)
PROXES CL1 SUVが抜きん出て安く、続いてBluEarth-RV RV03という順序となります。プレミアム性能を求めるならREGNO GR-XIIIですがやはり価格の高さがネックです。その点、20,900円とそこそこ手軽な価格でありつつも、プレミアム性能も有しているPRIMACY 5はかなりお買い得と言えると思います。
実際に装着して走ってみた

猫足と言われることもあるミシュラン独特の柔らかさ、しなやかさから来る乗り心地の良さは健在です。スタッドレスタイヤからの交換となりましたが、フィーリングは似たような柔らかさで乗り心地の悪化はありません。しかし、スタッドレスタイヤの、ドライ路面での足回りのふやけた印象を感じさせるようなことは皆無で、しっかりと路面を捉えている安心感があります。
静寂性についても十分静かで、ゴーッという感じのロードノイズも気になりません。以前の堅くなって劣化しまくったSP SPORT 7000と比べると雲泥の差です。
耐摩耗性についてはしばらく走ってみないとわかりませんが、1000kmくらい走った感想で言うと、この性能で1本20,000円ちょっとで購入できるのであれば、他社の15,000円前後のタイヤを買うよりももうすこしお金を出してPRIMACY 5を買った方が満足感は高いと思います。
特に、前モデル比で30%も耐摩耗性が向上していますので、少し価格は高くても、長く使えるタイヤかと思います。
重たい車をコントロールしているのは、わずかはがき大くらいの面積のタイヤの接地面だけとなりますので、タイヤについては安価なものに飛びつくのではなく、安全性が高く、溝が減っても性能劣化が少ないタイヤを選ぶべきかと思います。
そういう意味でも、PRIMACY 5はおすすめなタイヤかと思います。
コメント