使って解ったEV3895の深い魅力。EIZOのモニターはやはり良い。FlexScan EV3895詳細レビュー

4.5
PC周辺機器

今まで、DELLの34インチ曲面モニターU3415Wを使っていましたが、会社では4Kモニターを使っていたこともあって、幅3840pxが便利だったので家のモニターも買い換えよう、と思ったのがきっかけでEIZOのEV3895に買い換えてみました。
実際に使ってみて解った、EV3895の良さについて、簡単にレビューしてみたいと思います。

EV3895とはどんなモニター?

EIZOのFlexScanシリーズのハイエンドモデルで、3840x1600pxの解像度を持つウルトラワイドモニターです。
購入する際に気に入っていた箇所は以下となります。

  • 3840×1600pxの解像度。特に縦がフルHDを超える1600pxなのが魅力
  • ゲームなどで便利なアスペクト比21:9のウルトラワイドモニター
  • PCとUSBを連動させて3台まで切替可能なKVM機能

上記の中でも気になるのは、KVM機能になります。
私はPCを3台使用していますが、主に使うのはゲーム用と仕事用の2台のPCとなります。
DELLのモニターにはKVM機能があるのですが、PCをモニター側で切り替えられるのでとても便利でした。
具体的には、入力端子とUSBのアップストリーム端子を紐付けることができ、入力端子を切り替えると指定したUSBアップストリーム端子が接続されることで、モニター側に接続したマウスとキーボードが利用可能になります。
モニター、キーボード以外にもUSB機器であれば切替が可能で、私はWindows Hello対応のウェブカメラもKVMで切り替えていたので、ログイン認証も顔認証が使えるのでとても便利でした。

EV3895を選んだ理由

MacOSと異なり、Windowsはスケーリングがいまいちなこともあって、出来ればモニターはスケーリング100%で使いたいところ。
4Kモニターをスケーリング100%で使う場合、27インチでは目が辛く、32インチでもドットピッチ0.181mmでかなり厳しい上に、40インチクラスの4Kモニターだと縦のサイズが大きすぎるという欠点があります。
このため、4Kモニターではなく、高さが抑えられる横3840pxのウルトラワイドモニターを探していました。

購入に際し、いくつか候補を絞ったのが、以下の機種でした。

  • EIZO EV3895
  • DELL ALIENWARE AW3821DW
  • DELL U4021QW(現在はU4025QWにモデルチェンジ)
  • DELL U3821DW
  • LG 38WK95C-W

このうち、必須となる条件は
・2台以上のKVM対応
・VESAマウント対応
となりますので、DELL ALIENWARE AW3821DWとLG 38WK95C-Wは除外となりました。

残る3機種ですが、DELL U4021QWの5120×2160pxの大解像度は魅力でしたが、Windowsはスケーリングがいまいちなので、スケーリング100%で使うことが前提となりますが、そうなるとドットピッチ0.18mmを常用するのは厳しい感じなので対象から外しました。
残るはEIZO EV3895とDELL U3821DWですが、EIZOのサポートと疲れにくさ、入手のしやすさを考えてEIZO EV3895を選びました。

上はブラックモデルですが、ホワイトモデルもあります。

使って数日で解った、EIZO EV3895の魅力

DELL U3415Wから買い換えてみて解ったメリットは、ざっと以下のようなものです。

  • 目の優しさに定評のあるEIZO、やはり見やすい
  • 表示領域24%upの3840×1600pxは、そこまでのインパクトは無いけど地味に便利
  • 湾曲のRが強くなったことでよりワイド感がある
  • KVM機能が3台までのPCに対応していて便利!
  • DELLで便利だったファンクションキーのカスタマイズ(入力切替がワンタッチ)が無く不便だと思ったけど、Screen InStyleと自動入力切替機能で便利さUP

という点です。

ギラツブ感一切なし、極めてフラットで紙のような白表現

やはりEIZO、といった感じでしょうか。
ギラツブは一切なく、長い間モニターを見ていても疲れません。
モニターを見続ける仕事が多いIT業界、これはやはりなんと言っても一番のメリットではないでしょうか。
とくに秀逸なのが白表示時のなめらかさで、少し輝度を落として使うと目がとても疲れにくくなります。
昔のように攻撃的なギラつきの液晶はほぼ無くなりましたが、EIZOのなめらかさはやはり安心感があります。

スケーリング100%で使える3840×1600px

前に使っていたU3415Wの3440×1440pxからの乗り換えのため、解像度的にはそこまでのインパクトはありませんが、24%upした表示領域は地味に便利です。
今までだと「もうちょっと表示してほしい」と思っていたところまで表示されるので、ウィンドウを並列して作業するときとかに威力を発揮する感じ。

そして、この解像度であればスケーリングが100%でも十分実用的なのが良いところです。
Windowsはスケーリングが弱点で、アプリケーションでフォントがにじむことが多々あります。
スケーリングで拡大されていても、なんかフォントが細くなったり、読みづらかったりするんですよね。
アプリケーションの設定で高DPIの場合はスケーリングしないように設定もできますが、そうすると結局文字小さいままで使いづらいし、微妙な感じなのです。
なので、Windowsはスケーリング100%で使う前提と考えています。
38インチで3840×1600pxという解像度は、スケーリング100%で使うにはちょうど良い解像度なのです。

KVM機能が素晴らしい

EV3895は3台のPCを切り替えることが可能です。Dellのモニターは2台切替ですので、この点3台まで切替可能な点はEV3895のメリットの一つかと思います。
入力端子はUSB Type-C、DisplayPort、HDMI✕2の4系統で、このうちの最大3つまでを使ってKVMの切替が可能です。

KVMに利用可能なUSBのアップストリームはType-C×1とType-B×2となります。
Type-CはDisplayPort Alternate ModeとPower Deliveryに対応していますので、Type-Cで充電可能なノートPCであれば、ケーブル1本で接続が可能です。
デスクトップPCを使う場合は、Type-Cケーブルを使ってPCとEV3895を繋げば、USBのアップストリームポートとして機能します。
マザーボード側とEV3895側のPower Deliveryともに給電が可能ですが、ショートするようなことはなく、自動的に機能が切り替わりますのでデスクトップ・タワー型PCでも問題なく接続可能です。

USB-Cは、画像入力とは別に、DisplayPortなどの入力端子と組み合わせて使用することも可能

3台のPCを接続可能なKVM機能ですが、入力を切り替えるには

  • 入力切替ボタンを押し、上下ボタンで入力端子を選ぶ
  • 入力切替ボタンを数回押して入力端子を選ぶ

上記のどちらかの操作を行う必要があり、U3415Wのファンクションボタンをカスタマイズすればワンタッチで入力端子を切り替えられる仕様に比べると、複数回ボタンを押す必要があるので使い勝手は悪いです。
ただし、これはEV3895のAdministrator Settingsと、Screen InStyleソフトウェアを使えば、改善が可能です。

1,Administrator SettingsでAuto Input DetectionをONにする
Auto Input DetectionをONにすると、信号が入力されているコネクタを自動的に判別して画面を表示することができます。
複数のPCを接続している場合、電源を入れたPCの画像が自動的に表示されますので、入力端子を切り替える必要がありません。

Administrator Settingsは、一番左側の操作スイッチに触れたまま電源スイッチを2秒以上触れて電源をONにすることで設定画面が表示されます。

2,Screen InStyleで入力端子切替ホットキーを有効にする
Auto Input Detectionを有効にしただけでは、複数のPCを起動しているときにPCを切り替える操作性は改善されません。
これについては、モニターをコントロールするユーティリティ、Screen InStyleを使うことで対応が可能です。

Screen InStyleではホットキー機能があり、モニターの入力端子切替をホットキーで行えます。
ですので、
DisplayPortに繋いだPC:[CTRL]+[SHIFT]+[1]でHDMI1、[CTRL]+[SHIFT]+[2]でHDMI2
HDMI1に繋いだPC:[CTRL]+[SHIFT]+[2]でHDMI2、[CTRL]+[SHIFT]+[3]でDisplayPort
HDMI2に繋いだPC:[CTRL]+[SHIFT]+[1]でHDMI1、[CTRL]+[SHIFT]+[3]でDisplayPort
というように設定してやれば、3台のPCに電源を入れた状態で、ホットキーだけで切替が可能となります。

うーん、これは便利だ…。

KVMでUSBを切り替えた際に、キーボードを認識しない不具合について

Screen InStyleの1.1.9よりも前のバージョンでは、ホットキーで入力を切り替えた際、USB機器が正常に動作しない不具合が発生する可能性があるようです。
現象が発生する原因としては、ホットキーを長めに押しっぱなしで切り替えると、切り替え後にUSBキーボードで入力ができなくなることがあるようです。

サポートに問い合わせたところ、ショートカットキーは入力したらすぐ離すことと、最新版(1.1.9)では改善されているので、Screen InStyleをバージョンアップして欲しい、ということでした。
実際に、1.1.9を使用したところ、この不具合は発生しなくなりました。

モニターアームを合わせて買うと利便性がさらに向上

付属するスタンドはデザインもよく優秀ですが、唯一の欠点は机の奥にギリギリまで押し込みたいのですが、奥行き60cmの机だとスタンドを使うとモニターがかなり手前に来てしまう(モニターを奥に押し込むとスタンドが机からはみ出てしまう)ことです。
ですので、個人的にはモニターアームは必須だと思います。

今回、モニター購入に合わせてモニターアームはエルゴトロンLX デスクマウントアームのアマゾン向けOEMモデルを選んでみました。
エルゴトロンのモニターアームはアルミ色を選ぶと金属感たっぷりでかっこいいのですが、Amazon向けのモデルは黒一色なのであまりエルゴトロン感がありません。
とはいえ、性能的には同一ですから、安価に買えるAmazon向けモデルはお買い得かと思います。
それに、モニターが大きいのでアーム自体は隠れて見えなくなってしまいますしね。

LX デスクマウントアームは耐荷重11.3kgなので、EV3895の9.5kgは許容範囲内です。
実際、取り付けてみましたが問題なく保持できています。
モニターアームを利用すると、机の上が広く使えるようになるほか、モニターの前後移動も楽になりますのでおすすめです。

壁ギリギリまでモニターを下げられる

モニターアームを使うと、机よりはみ出すくらい、ギリギリまで後ろにモニターを持って行くことが可能ですし、かさばるスタンドがなくなることで机の上を広く使うことが出来るので便利です。

USB-C接続で有線LANを使う場合は、最大速度に注意

USB-C接続してEV3895側の有線LAN端子を使う場合、60Hzの表示ではLANの最大速度が480Mbpsが上限となりますので注意が必要です。
これはUSB-C側の通信速度による制約のようで、DELLの有線LAN端子があるモニターでも同様の制約があります。
ノートPCで使う時に便利なモニター側のLAN端子ですが、上記の問題があることに注意してください。
といっても、実際には480Mbps出れば問題にはならなそうですが…。

縦に配置されたコネクタはとても便利

EV3895の特徴として、コネクタが縦方向に配置されています。
これについてはメーカーサイトにある説明画像がわかりやすいので、引用させていただきます。

EIZO https://www.eizo.co.jp/products/lcd/ev3895/より引用

モニター設置後に配線を変更する場合、下からのぞき込むか、あるいはモニターを一度移動させる必要があるのですが、EV3895は上からのぞき込むとコネクタが見えるような縦方向の配置になっていますので、手探りで配線するような必要はありません。
デメリットとしては配線の関係上少しケーブルの長さが必要なる、といったくらいですので、はるかにメリットの方があります。
この配置、他のメーカーも採用してくれないかなぁ…。

評価

色の表現、目の疲れにくさ、スケーリング100%でちょうど良い解像度など、どれをとっても満足できるモニターです。
文句なしに★5!と行きたいところですが、やはりいかんせん20万弱というお値段はちとお高い…ということで、★4.5にさせていただきました。

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