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バイノーラル立体音響スピーカー OPSODIS 1を手放した理由

2.5
オーディオ関連

OPSODIS 1の特徴と仕様について

鹿島建設が英国サウサンプトン大学と共同開発した立体音響技術「OPSODIS」を搭載した、世界初の本格的なデスクトップ用バイノーラル再生対応スピーカーが、OPSODIS 1です。
このサイトに来る方はOPSODIS 1については詳しく知っていると思いますので、簡単に説明します。

OPSODIS 1は通常のスピーカーでは実現が難しかったヘッドフォン級の立体感・空間再現を、1本の小型バースピーカーで実現した、画期的とも言える製品です。
詳細な仕様は以下となります。

項目仕様
製品名OPSODIS 1
チャンネル数2チャンネル(リニアPCM対応)
ドライバー構成3ウェイ6スピーカー + パッシブラジエーター×2
20mm ツィーター ×2 / 25mm ミッドレンジ ×2 / 50mm ウーファー ×2
アンプ構成6チャンネル・マルチアンプによる各ユニット個別駆動(各20W、合計120W)
DSP / 信号処理高性能DSP、チャンネルデバイダー、クロストークキャンセル、全段デジタル信号処理
周波数特性55Hz〜20kHz(-6dB)
入力端子Bluetooth(SBC/AAC)、USB-C、光デジタル、アナログ3.5mm
BluetoothVersion 5.0 / A2DP 1.2 / AVRCP 1.5
外形寸法幅 382 × 高さ 80 × 奥行き 130 mm(高さ80mmはゴム足10mm含む)
重量2.3kg
電源アダプター入力:AC100〜240V(50/60Hz)、出力:DC16V 4A

実際に使ってみた感想、立体音響と設置性について

OPSODIS 1のバイノーラル再生は小さい本体から再生されるとは思えない臨場感で、新鮮です。左右わずか40cm弱という筐体から、リスナーの背後や頭上まで音が「自然に」回り込む感覚は、従来のバーチャルサラウンドとは一線を画すと言えます。
音の定位がスピーカーの存在を消し去り、リスナーの周囲が音場に変わる体験は、圧倒的な没入感をもたらします。この「点」から「空間」へと広がる感覚は、非常に新鮮で画期的だと感じました。

デモ音源が以下にありますので、OPSODIS 1を購入された方は聴いてみると、その凄さが体感できるかと思います。https://www.kajima.co.jp/tech/kajima_group/opsodis1/3dsounddemonstration

OPSODIS 1のコンパクトな筐体はモニターの下に置くのにちょうど良いサイズで、モニター内蔵スピーカーを使っているなど現状の音に不満がある人や、立体音響による臨場感を楽しみたい方にはおすすめかと思います。

仮設置なのでUSBハブが凄いところにありますが気にしないでください…。

OPSODIS 1、見て解るようにかなり小さいサイズなので、モニターアームを使っている環境であれば、モニターの下にすっぽりと収まってしまいます。この小ささもOPSODIS 1のメリットで、ベストな位置に設置することが容易です。
卓上に置いたニアフィールド環境でも立体音響を楽しめるのもOPSODIS 1の良いところで、複数のサテライトスピーカーを設置・配線をする必要もありませんし、限られたパーソナルスペースで立体音響を楽しむには最適なスピーカーだと思います。

モニタースタンドを使っている場合は、背面のインターフェースポートがスタンドと干渉する可能性がありますので注意してください。
幸い、中心部の拡張モジュール?の部分(下の写真で蓋が取りつけられている部分)を避ける形で、USBと電源コネクタは向かって左側に寄って配置されているので、少しずらせばスタンドの基部と干渉せずに奥に寄せて設置可能かと思います。

入力系統は光デジタル、3.5mmアナログ、USB、Bluetoothとなります。

OPSODIS 1を手放した理由、音質に対する評価

OPSODIS 1の立体音響による臨場感は楽しいものの、音質そのものが期待を下回るものだったため、手放すことにしました。

OPSODIS独自の音響技術がもたらす「体験」は、まさに新時代を思わせる新鮮なものでしたが、一方で「純粋なリスニング機」として評価したとき、無視できない課題が存在します。
立体音響という視点ではなく、純粋なスピーカーシステムとしてその音色を評価すると、かなり厳しいと言わざるを得ません。小口径ユニットではどうしても低域に限界があるのは分かりますが、思ったよりもレンジが狭く、抜けが良くなくこもったような印象のサウンドです。

中域の不透明感
ヴォーカルの帯域に薄いベールを被ったような、こもった印象を受けます。実在感や芯の強さが不足しており、アーティストの吐息やニュアンスが空間に埋もれてしまいがちです。

高域の伸びと抜け
比較対象がELACのJETツィーターなのでこれは正直相手が悪すぎるというか、不相応な比較なのはわかりますが、それにしても7万円という価格のスピーカーとして考えると、「風通しの良さ」や「輝き」には圧倒的に届きません。音の輪郭が甘く、抜けが悪いため、サウンド全体の鮮度が低く感じられてしまいます。

低域の解像度
低域はユニットの口径(50mm)を考えるとそれなりの音量こそ確保されていますが、質感が伴っていないように思います。ドライブするアンプが弱いのか、ユニットがいまいちなのか、締まりや張りに欠け、音楽の土台を支えるスピード感や制動力が物足りない印象です。

情報量の限界
ハイレゾ音源を再生しても、その緻密なテクスチャや空気感の表現ではELAC 312IBとはまったく勝負になりません。立体音響の空間合成にリソースを割きすぎたためか、音そのものの「密度」が犠牲になっている感は否めません。

結論:体験か、音楽か
OPSODIS 1は、「立体音響という新しい音響体験を買うガジェット」としては極めて優秀です。
コンパクトなサイズで手軽に設置でき、リビングやデスクで、手軽に映画館のような包囲感を楽しみたいという使い方において、唯一無二の選択肢となると思います。

しかし、音楽鑑賞を目的とする「オーディオ機器」として見た場合、その価格設定に対して音の質感、解像度、そして純粋な音楽性が釣り合っているかと言えば、疑問が残ります。
「立体音響による空間の魔法」は確かに素晴らしいのですが、オーディオの原点である「音そのものの美しさ」を求めるユーザーにとっては、かなり物足りない音質と言わざるを得ません。
このトレードオフをどう捉えるかが、OPSODIS 1を評価する最大の分かれ道となるかと思います。

結局、私の場合はメインで使っているELAC 310 Indies Blackには音質面で到底及ばないため、所有していてもほとんど使わないだろう、という判断で手放すに至りました。
これはオーディオ機器をクラウドファンディングで購入する際の、試聴できない(OPSODIS 1の場合、試聴は可能だったが場所が限られていて実質不可)というリスクですね。
購入前から、音質については310IBには敵わないだろうとは思っていましたが、予想以上の差がありました。

7~10万円程度の予算があればそこそこの卓上パワードスピーカーも買えますので、設置場所を確保でき、かつ2chのニアフィールド環境での臨場感で十分(OPSODIS 1までの立体音響は不要)という場合は、OPSODIS 1より音質の良い製品は多々あると思います。
聴いたことはないのですが、以下の製品とかが気になっています。

短時間ですがOPSODIS 1を使ってみましたが、バイノーラル再生による立体音響に全振りした、「体験重視型」のスピーカーという印象です。
バイノーラル再生による立体音響を楽しみたい!という、体験まで込みにした評価であればOPSODIS 1は面白いと思うものの、私の使い方は立体音響と同じくらい、オーディオ的な「音質」そのものにも重みを置いているので、好みに合わなかった、ということです。
とはいえ、OPSODIS 1と310IB(定価24万程度)では比較対象の価格帯が全く違いますので、公平な評価とは言えないですが、それでも7万円という価格を考えるともう少し頑張ってほしいところです。
一般販売も開始され、試聴できる場所も増えると思いますので、購入される際は一度気に入ったソースで試聴してみることをお勧めします。

先日、一般販売価格が公開されましたが、132,000円はかなり強気の値段設定のように思います…。
クラウドファンディングの7~8万円台であれば、立体音響を楽しむ、という用途を考えればお勧めできるスピーカーだと思いますが、正直13万円出すとなると、音質的に最低でももうワンランク上げて欲しいぞ…という印象です。
その価格であれば、KEF LSX II LTとかTANNOY GOLD 5とかの方が良いんじゃないかなぁ、とか思います。
13万円であれば、ELACの310IBやBS 312も中古で狙えますのでお勧めです。(別途アンプが必要です

評価について

音質よりも立体音響の凄さという評価であれば、★4くらいでもいいかなぁ…と思いますが、やはり7~13万円のオーディオデバイスとして考えると、音質面での物足りなさがかなり目立ってしまいます。
ちょっと厳しめですが、一般販売価格の132,000円で評価すると★2.5、クラウドファンディングの7~8万円で評価すると★3~3.5くらいの評価という感じです。
既にクラウドファンディングは終了していますので、一般販売価格を前提に評価させていただきました。

立体音響の凄さ:★★★★★
音質(価格に対して):★★☆☆☆
コストパフォーマンス:★★☆☆☆

かなり厳しい評価ではありますが、立体音響の素晴らしさ、楽しさは確かですので、そこに価値を見いだすのであればお勧めなのは間違いないです。使い方次第では十分に楽しめるデバイスだと思います。
ただ、オーディオとしての音質を求めてしまうと、厳しい評価になってしまう、ということです。

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