多彩なライティングが可能なハイエンドRGBファン、CORSAIR iCUE LINK QX120 RGB スターターキット レビュー

4.5
PCパーツ

CorsairのCrystal Series 680X RGBケースを使用していますが、標準で搭載されているLL120ファンのうちの1つが故障してしまったため、ファンを交換することにしました。
LL120ファンはiCUEで制御可能で3つのファンを連動させたライティング設定などが可能でしたので、交換用のファンにCORSAIR iCUE LINK QX120 RGB スターターキットを選んでみました。

画期的なiCUE LINKシステムハブの採用

iCUE LINKシステムハブは、このキットの最大の特徴であり、従来のファン制御とは一線を画す技術といえます。ファンとiCUE LINKシステムハブは1本のケーブル接続のみで完結し、ファンや他のiCUE LINK対応デバイス(CPUクーラーなど)をデイジーチェーン形式で連結することが可能です。
1本のケーブルで様々なデバイスを接続できますので、ケーブル配線の煩雑さが劇的に削減されます。ケーブルが少ないためPC内部がすっきりと整理され、見た目の良さはもちろん、メンテナンスもとても簡単です。

一般的なアドレッサブルファン(例:一般的なARGBファンやCorsairの旧モデル)は、ファン毎にマザーボードのARGBヘッダーや専用コントローラーに接続する必要があり、さらにPWMケーブルをマザーボードのファンコネクタに接続するため、何本ものケーブルが必要となり、ケーブル管理が複雑になりがちです。

iCUE LINKシステムハブ。ファンとの接続はケーブル1本でOKで、iCUE LINKシステムハブには2箇所に接続用のコネクタがあります。マザーボードとの接続は、USB2.0のヘッダーピンを使用します。また、給電用にPCI-E6ピンコネクタの接続が必要です。
iCUE LINKシステムハブの背面にはマグネットが仕込まれているので、ケース内部に磁力で取り付けが可能です。

実際に組み込んでみましたが、1本のケーブルのみで配線が完了するのは、見た目も美しく、なによりもケーブルマネジメントがとても楽です。

圧倒的なRGBライティング

QX120ファンは、各ファンに34個のRGB LEDを搭載し、4つの独立したライトループ(外側のリングとファンモーター中心部の2つのライトゾーン×両面)で多彩なライティングを実現します。
CORSAIR iCUEソフトウェアを活用することで様々な効果が設定できますが、中でもストロボ機能を使ったTime Warpエフェクトは独自の仕様でインパクトがあります。

上のファンはTime Warpエフェクトを使用しています。ファンの回転速度に合わせてLEDが点滅するため、あたかもファンが停止しているように見えます。
ファンの動き方は時計回り、反時計回り、静止状態の3つから選択可能です。

レインボーウェーブなど、ダイナミックなライティングエフェクトを自由にカスタマイズ可能です。
また、ファンに搭載された温度センサーとシステムハブの2ウェイ通信により、温度に応じたライティング変化も設定できます。

iCUE LINKシステムハブを使ったライティングの素晴らしい点は、複数のファンを1つのキャンバスに見立て、グラデーションなどの効果を適用することが可能な点です。
通常はファン毎に設定するため、複数のファンを接続した場合はすべて同じライティング効果が適用されますが、iCUE LINKシステムハブを利用することで、3つのファンにまたがってグラデーションを適用することなどが可能です。

ライティング変化のタイミングは、キャンバス機能を使って事由に設定可能です。水彩スペクトルの設定画面ですが、ファンが3つ表示された背景のスペクトルがアニメーションで動いており、キャンバスの好きな位置にファンを移動することで、ファンが重なっている部分のライティング効果が適用されます。ファンの向きは90度ごとに回転できますので、エフェクトが適用される向きの変更も可能です。

このキャンバス機能はとても便利で、上記の設定だと3つのファンにまたがって、スペクトル効果が動いていきます。これ、本当によくできていると思います。

ファンの前面だけではなく、背面および側面も光りますので、ケース内はかなり明るくなります。
とにかく光らせたい場合にはお勧めです。

優れた冷却性能と静音性

QX120は磁気ドームベアリングを採用し、低摩擦で長寿命、かつ静音性に優れた設計となっています。最大風量は63.1CFM、最大ノイズレベル37dB(PWM制御で最適化可能)で、480~2,400rpmの間で速度の設定が可能です。
ゼロRPMモードにも対応していますので、低負荷時にはファンが停止してノイズを完全に排除することも可能です。

また、特徴的な点として、ファンに温度センサーが埋め込まれている点が挙げられます。通常はマザーボードなどのセンサーに応じてPWM制御されますが、CORSAIR iCUE LINK QX120ではファンに取り付けられている温度センサーによってファンを制御することも可能です。

ファンに取り付けられた温度センサー。もちろん、iCUEソフトウェアを通じて温度の取得のほか、温度に応じた回転数制御なども可能です。

ファン毎に冷却プリセットが設定可能な他、設定温度によってアラートを出したり、PCをシャットダウンしたりすることも可能です。
CPUクーラーの排気側に取り付けたりして使うのも面白そうです。

簡単なセットアップと拡張性

スターターキットには、3基のQX120ファンとiCUE LINKシステムハブ、必要なケーブルがすべて含まれており、簡単にセットアップ可能です。iCUE LINK対応のファンや水冷クーラーを簡単に拡張できる設計で、将来的なアップグレードにも対応可能です。
もちろん、拡張する際にはiCUE LINKケーブル1本で接続が完了しますので、とても簡単です。

ファンの側面には、複数のファンとデイジーチェーンするためのコネクタが取り付けられています。
出っ張っているパーツは引っ張れば簡単に取り外しが可能です。
接続の際に便利だと思ったのが、ファン同士を連結する際、向きを間違えると内蔵された磁石が反発しあうので物理的に取り付けができません。
正しい向きであれば磁石が引き合うので、磁力で簡単に連結が可能。このギミック、とても便利だと思います。

スターターセットに含まれる付属品。
左側が電源供給用のケーブルなのですが、珍しいのはPCI-Eの6ピンコネクタに接続する方式である点でしょうか。
この手のデバイスは大抵SATA電源コネクタに接続するタイプが多いのですが、最近ではM.2スロットを使うことが多く、SATAデバイスを搭載しないことも増えている(特に、CORSAIR iCUE LINK QX120を搭載するような見た目にこだわったPCではなおさら)ので、PCI-E電源コネクタを利用しているものと思います。

ただ、このためだけに電源ユニットにケーブルを足すのも邪魔なので、できればSATA電源コネクタとPCI-E電源コネクタのケーブルを両方ともセットにし、好きな方を選べるようにしてほしかったところです。

iCUE LINK用の接続ケーブルは、60cmと20cmの2本が付属します。
短い方はファンとCPUクーラーのラジエーターなど、iCUE LINK対応デバイス同士を繋ぐためのもの。60cmのケーブルはiCUE LINKシステムハブとの接続用です。

比類無き多彩な機能を持つが、価格も比類無きハイエンド

多彩なライティング機能だけではなく、ファン自体も静かで耐久性も高く、温度センサーによる自律制御も可能など、ケースファンとしてはかなりユニークかつ唯一無二な機能を誇る、かなり尖った製品だと思います。
そのため価格もかなりぶっ飛んだ金額となっており、ファン3つとiQUE LINKシステムハブがセットになったスターターキットが約2万円、QX120ファンも単体で5,000円となります。
水冷クーラーが余裕で買えてしまう金額で、ケースファンとしては極めて高価な製品であることは間違いありません。

ただし、CORSAIR iCUE LINK QX120でないと実現できないことばかりですので、まさに唯一無二の製品であり、気に入ったらとにかく買え!というべき製品でもあります。
値段は高いですが、満足感も高いニッチな製品だと思います。

140mmファンを希望の方には、140ファンが2個とiCUE LINKシステムハブがセットになった製品もあります。

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