最初に購入したRTX3090ですが、実は2日で壊れました…。
原因として考えられるのは、StableDiffusionを全力で回していた際に、VRAMの温度が105℃に到達していたことと思われます。
PCケースはCorsairの680Xでエアフローも十分ですから、GDDR6Xの高負荷が原因かと思われます。
サーマルスロットリングが105℃くらいだったと思いますが、その上限が続いたのが良くなかったようです。
幸い、中古販売店側でも不具合確認が出来、返金対応となりましたので一安心でした。
ハイエンドビデオカードは新品保証が無いと怖いということを痛感しましたので、新たに玄人志向のRTX3090を新品で購入しました。

放熱が間に合わないと極めて脆弱な背面VRAM
この記事を書いてから数年が経ちましたが、RTX3090は今でも人気のあるカードです。VRAM24GBという容量は、ローカルでLLMを動かしたり、画像生成の学習を回したりする用途では今でも十分に通用しますし、同じ容量を新品で揃えようとすると価格が跳ね上がりますので、中古のRTX3090も今でも高値で取引されています。
ただし、当時よりも条件が悪くなっている部分もあります。今市場に出回っているRTX3090は、そのほとんどが数年間使われてきた個体です。私は最初のRTX3090を2日で壊していますが、これは特別に運が悪かったという話ではなく、背面VRAMの冷却を放置した場合には十分に起こり得ることかと思います。同じ失敗をしないために、購入前と購入後に知っておいてほしいことをまとめておきます。
105℃は「耐えられる温度」ではなく「限界」
RTX3090は24GBのVRAMを、1GBのGDDR6Xチップ24枚で構成しています。RTX3080のように表面だけには収まりませんので、半分の12枚が基板の裏側に載っています。この裏側の12枚が、巨大なGPUクーラーの恩恵をまったく受けられないというのが、このカードの構造的な弱点です。
※なお、RTX3090Tiは1チップあたりの容量が倍になり、VRAMが片面実装になっていますので、冷却面の弱点はかなり克服されています。
GDDR6Xは、GDDR6と比べて発熱がかなり大きいメモリです。そのため、GPUコアの温度とは別に、GPU-ZやHWiNFO64で「Memory Junction Temperature」という項目が見えるようになっています。ここで表示される温度が105〜110℃付近まで上がると、サーマルスロットリングが働き、クロックが落とされます。
注意していただきたいのは、この温度が「ここまでなら安全」という意味ではないという点です。これ以上は動かし続けられないという限界値であって、常用してよい温度ではありません。私が壊した個体は105℃に張り付いた状態が続いていましたが、要するに限界の一歩手前で回し続けていたことになります。
私が運用の目安にしているのは、おおむね以下の温度です。
| Memory Junction温度 | 判断 |
|---|---|
| 〜85℃ | 問題なし。長時間の高負荷でも常用できる |
| 86〜94℃ | ゲーム用途なら許容範囲。生成AI用途なら対策を考えたい |
| 95〜104℃ | 明らかに冷却不足。寿命を削っている状態 |
| 105℃〜 | サーマルスロットリング領域。いつ壊れてもおかしくない |
ゲームであれば、負荷がかかるのは長くても数時間ですし、VRAMを24GB使い切ることもまずありません。ところが生成AIの学習や推論では、VRAMをほぼ満載にした状態で、何時間も、場合によっては何日も回し続けることになります。ゲームで大丈夫だったから安心、という判断が通用しないのはこのためです。
サーマルパッドは、使っているうちに劣化する
もう一つ厄介なのが、購入時点で温度が問題なくても、使っているうちにじわじわ悪化していくという点です。
RTX3000シリーズでは、メモリとバックプレートの間に挟まれたサーマルパッドから、シリコンオイルが滲み出てくる「オイルブリード」という現象が報告されています。柔らかいサーマルパッドほどシリコンを多く含んでおり、そのオイルが抜けていくと、パッドが痩せて熱が伝わらなくなっていきます。この劣化は数週間から数か月という単位で徐々に進みますので、「買った当初は90℃だったのに、気づいたら100℃を超えていた」という事態が普通に起こります。
つまり、一度温度を測って安心して終わり、というわけにはいきません。特に生成AI用途で毎日回すのであれば、数か月に一度は温度を確認しておいたほうが良いかと思います。
対策としてサーマルパッド自体を貼り替えるという方法もありますが、GPUクーラーを分解する必要がありますので保証は当然なくなりますし、パッドの厚みを間違えると密着が不十分になり、かえって温度が上がることもあります。作業中にチップや基板を傷つけるリスクもありますので、かなりハイリスクな行為と認識しておくと良いかと思います。
中古で買う場合は「動作確認済み」を信用しないこと
中古のRTX3090で怖いのは、外観からは劣化の度合いがまったく判断できないことです。
販売店の「動作確認済み」という表記も、多くの場合はWindowsのデスクトップが表示された、という程度の確認でしかありません。VRAMを24GB使い切るような高負荷を数時間かけたうえでの確認とは考えないほうが良いかと思います。サーマルパッドの劣化も、ファンのベアリングの摩耗も、電源回路のコンデンサの劣化も、この確認方法では一切あぶり出されません。
また、マイニングに使われていた個体のように、24時間365日に近い稼働をして酷使されているカードも存在しますので注意が必要です。
そのうえで、中古を買う場合に最低限やっておきたいのは以下です。
まず、初期不良の返品期間が設けられているPCショップで買うこと。私が最初のRTX3090を壊したときも、中古販売店側で不具合が確認できたので返金対応となりました。個人間の取引だとこれができません。
次に、届いたらすぐに高負荷をかけて、Memory Junctionの温度を測ること。
ゲームのベンチマークでは負荷が足りませんので、生成AIでの連続イラスト・動画作成など、VRAMを埋める処理を回して確認してください。この確認は、返品期間が残っているうちに済ませておくのが重要です。数週間経ってから温度がおかしいことに気づいても手遅れです。
故障の兆候と、温度の確認方法
温度の確認には、GPU-ZかHWiNFO64を使います。GPU-Zであれば「Sensors」タブの「GPU Memory Junction Temperature」、HWiNFO64であれば「GPU Memory Junction Temperature」という項目です。GPUコアの温度だけを見て「70℃台だから余裕」と判断してしまうのが一番危険なパターンで、実際にはコアが70℃台のときにメモリが100℃を超えている、ということが普通にあります。
VRAMが傷んできたときの症状としては、以下のようなものが出てきます。
画面に緑や紫のブロック状のノイズが出る、高負荷時にだけドライバがクラッシュして復帰する、負荷をかけた瞬間にブラックアウトする、といったあたりが典型的です。生成AI用途の場合は、出力画像が真っ黒になったり、ノイズだけになったり、学習中にCUDAのエラーで落ちるという形で出てくることもあります。
GeForceのVRAMにはECCがありませんので、メモリのエラーは訂正されずにそのまま結果に出てきます。「たまに変な出力になるけれど、もう一度回せば通るからまあいいか」という状態は、すでにメモリが悲鳴を上げているサインかもしれません。
そして、一度高温で傷んだメモリは、後から冷やしても元には戻りません。壊れてから対策するのではなく、壊れる前に冷やしておく必要があるというのが、私が2日でカードを壊して学んだことです。
というわけで、分解不要で、そこそこの手間で背面VRAMを冷やせる方法として、私が使っているのが次に紹介するクーラーになります。
バックプレート側の冷却に最適なビデオカードクーラー
このGPUクーラーですが、ビデオカードのバックプレート側に貼り付けて使うもので、15mm厚のヒートシンクと、7cmファンが2つ搭載されていて、かなり冷えます。

玄人志向のGG-RTX3090-E24GB/TPに取り付けて、StableDiffusionを全力で回した状態のVRAM温度ですが、84℃という結果でした。
前に壊れたものは105℃でしたので、劇的に冷えているのがわかります。
この温度であれば、常用しても問題ないと思われます。

クーラー自体はこんな感じの作りです。
Amazonでは、同じ物と思われる商品が複数登録されていますが、中国から発送されるものもありますので配送日数に注意してください。
上でリンクしているものは、価格は高めですがPrime発送のものになります。

GPUクーラーのヒートシンクの横幅は18cmです。

GPUクーラーのヒートシンクの奥行きは9cmでした。
RTX3090などの大型のビデオカードであれば余裕で取り付け可能です。

GG-RTX3090-E24GB/TPに取り付けた状態です。
GG-RTX3090-E24GB/TPですが、裏側に4つめのファンを搭載できるので、裏側もファンでびっしり、という状態になりました。

取り付けですが、巨大なサーマルパッドを貼り付けて、ビデオカードとGPUクーラーをゴムバンドで固定する方法となります。
このサーマルパッドがかなり柔らかく、ビニールを剥がす際に伸びますので、取り付け時にはみ出た部分はカットすると良いかと思います。

裏側に取り付けるので、他のパーツと干渉しないかが気になりますが、ギリギリですがメモリとも干渉せず、取り付けが可能でした。
水冷CPUクーラーを使っているので良いのですが、大型のサイドフローCPUクーラーの場合は、クーラーと干渉することがあるかもしれません。
CPUクーラーとGPUのバックプレートの間に17mm、できれば20mm以上の隙間があるか、事前に確認しておくと良いかと思います。
冷却能力は素晴らしいGPUクーラーですが、1つ注意点があります。
PCI-Eスロットからカードが抜けることを防ぐ爪ですが、ヒートシンクに隠れてしまい、とても押しづらくなります。
メモリやCPUクーラーなどを取り外さないと、ビデオカードの取り外しが困難になる場合がありますので、ご注意ください。
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