カオスと化したUSB-Cケーブルの規格が一目瞭然。USB Cable Checker 2で手持ちのケーブルを断捨離する

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デジタルガジェット

USB Cable Checker 2とは

USB-Cの登場でコネクタも小型になり、逆挿しもOKと便利になったUSBケーブル。
しかし、USB-CのケーブルだけでもUSB2.0相当のケーブルやUSB Power Delivery(USB PD)対応ケーブル、Alternate Mode対応ケーブル、SuperSpeedのTX/RX1・2いずれも実装したフルスペックケーブル、SuperSpeedを片側のみ実装した廉価版USB-Cケーブル、果ては充電専用でデータ通信不可のケーブルもあったりして、何が何だか訳がわからないことに。

上記のようなカオスな状況を克服し、ゴミケーブルを断捨離するために、USB Cable Checker 2を購入しました。
USB Cable Checker 2は、基板上のAとBのそれぞれの端子にケーブルを繋ぐことで、そのケーブルがどのような規格になっているのかを調べることができます。

対応しているUSBケーブルは、ケーブルの片方がType-AまたはType-C、もう片方がMini-B、Micro-B、Type-Cとなります。様々な端子が搭載されているので十分と言えるかと思います。
(Type-A to Type-Aなどの規格外の変態ケーブルは論外)

また、OLEDディスプレイも備わっているので、ケーブルの抵抗値やシェルがGNDに落ちているかの確認、e-makerの搭載などもチェック可能です。

実際にUSB-Cのケーブルをチェックしてみよう

では、実際にケーブルを測定してみたいと思います。

USB3.0対応のようなフリをして、実はUSB2.0でしか通信ができないのがこのケーブル。
USB3.2関連のLEDはCCのみ点灯している状態で、SuperSpeedデータ転送用のTX/RX結線はまったくなされていないケーブルになります。
案外多いんですよね、この手のケーブル。

こちらは、ANKERの高速充電ケーブル、Anker PowerLine III Flow。
LEDの点灯パターンは上で紹介したUSB2.0のケーブルと同様ですが、異なるのはE-MAKERDとディスプレイに表示されている点。

e-marker(エマーカと読むらしい)はUSB Type-Cケーブル内に実装されるICチップで、ケーブルの規格情報(サポートする転送速度、対応する電流・電圧、オルタネートモード対応など)をデバイス同士に伝える役割を担っています。e-makerからの情報によって、接続機器はケーブルの能力を正しく認識でき、最適な通信モードや電力供給モードを選択することが可能となります。

ANKERのこのケーブルは100WのPD対応なので、その情報がe-makerに記録されているものと思われます。ですので、このケーブルはPD給電に特化した充電を目的としたケーブルであり、データ転送はUSB2.0相当なのであくまでもオマケ程度なので、データ転送用ケーブルとして使わない方が良いでしょう。

こちらはSuperSpeed用の信号線が一組しか内部配線されていない、廉価版ケーブル。コネクタを裏返して差し込むとTX/RXが1または2の片方のみが点灯します。
この手のケーブルは案外多く、USB 3.x(SuperSpeed)データ転送に対応しつつも、コスト削減や設計簡易化を目的としてTX/RXを1組のみ実装したタイプのUSB Type-Cケーブルとなります。

これは、USB 3.0 / 3.1 Gen 1 / 3.2 Gen 1×1およびUSB 3.1 Gen 2 / 3.2 Gen 2×1では、SuperSpeedに必要なTX/RXは1組だけでよいため、2組あるTX/RXのうち片方のみを結線することでコストダウンしている訳です。
一応USB3.xに対応はしていますが、ケーブルの向きによってはUSB2.0相当に落ちてしまうことがあるようなので、要注意です。

USB 3.2 Gen 2×2およびUSB4ではTX/RXは2組を使用するため、このケーブルでは利用不可となります。

こちらは、いまいち仕様が謎なUSBケーブル。
SuperSpeedとAlternate Modeには対応していますが、CCが光っていないのでケーブルの方向判定などは使えませんし、VBUSも結線されていないので、電力の供給自体行えません。さらにD+/D-も結線されていないので、データ通信用のケーブルとしては利用不可かと思います。

使い道がいまいちわからないのですが、USBケーブルとしての機能は期待できないのですが、SBUが結線されていることから、実質的に「USB-C形状を用いたオルタネートモード専用の映像信号ライン」、つまりはUSB-C形状のディスプレイケーブル、といった感じで使うものではないかと。

こういうケーブルがストックに紛れてるので、迷うんですよね…。

このケーブルは、VBUSとGND、CCのみの点灯となっていますので、データ通信は一切不可、単に給電のみを目的としたUSBケーブル…というか、USBケーブルのような見た目をした電源ケーブルとなります。
当然ですが、データ通信用のD+/D-およびSuperSpeedのTX/RXについても一切結線されていませんので、データ転送は使えません。
こういったケーブルが混じっていると混乱の元なので、捨てるに限ります。

待望のUSB-Cを搭載したiPhone16シリーズですが、iPhone16 ProはUSB 3.0に対応しています。ProでないiPhone16は2.0なのでご注意を。
だがしかし、大きな落とし穴があるのですよ…それは、iPhone16 Proに付属するケーブルが、なんとUSB2.0でしか使えない、という点なのです。
細くてしなりやすく、メッシュ形状の使いやすいケーブルではあるのですが、チェッカーで確認するとこの通り。SuperSpeedのTX/RXがまったく結線されていないので、最初に紹介したUSB2.0ケーブルとまったく同様のケーブルになります。

充電用として使うには便利なケーブルなので手元に置いていますが、本体がUSB3.0に対応してるなら、ケーブルも対応したものを付属させてくださいよ…

最後に、最強のUSBケーブルをご紹介。UGREENのAlternate Mode対応ケーブルになります。
見てわかるように全てのLEDが点灯し、e-makerも内蔵しているフルスペックケーブルです。
このケーブルであれば、SuperSpeedのフルスピード通信も可能ですし、SBUも結線されているのでAlternate Modeでの映像転送も可能。さらにe-makerがあるのでPD充電にも対応と、至れり尽くせりです。
抵抗値も151mΩとかなり低く、優秀なケーブルと言えるかと思います。

唯一のデメリットとしては、配線数が多いのとシールドもしっかりしているのでケーブルが硬い、という点でしょうか。
ただ、鞄の中にこのケーブル1本を忍ばせておけば何でも対応できるのはありがたいところです。

USB Cable Checker 2のLED発光パターン簡易見取り図

いろいろなパターンがあると思いますが、わかりやすく5種類にまとめてみました。

Alternate Mode対応フルスペックケーブル

最も優秀でノートパソコンとモバイルモニターを繋いだりするのにも使えるのがこのケーブル。これでe-makerを積んでいれば文句なし。
ただし、価格が高い、ケーブルが硬い、重たいというデメリットも。
充電専用で使うにはもったいない&使いづらいケーブルです。

SuperSpeed対応通信最強ケーブル

USB3.2 Gen 2 2×2およびUSB4にも対応可能な、TX/RXが2組結線されているケーブルです。
このケーブルであればどんなUSB機器を繋いでも最高速度で通信が可能です。
Alternate Mode対応ケーブルよりは少ししなやかで使い勝手が良いケーブルが多いですが、線が多いこともあってやはり太めです。

廉価版USB3.xケーブル

USB3対応デバイスによく付属するのがこのケーブル。USB3.2 Gen 2×1までの使用であれば、このケーブルでも問題無いと思います。
ただ、差し込み方法によってはUSB2.0相当になってしまうこともあるようなので、要注意かも。
信号線が少ないこともあって、ケーブルは細身で使いやすいものも多いです。

USB2.0対応ケーブル

おそらく手持ちのType-Cケーブルの中では圧倒的に多いと思われるのが、これ。
AnkerのPowerLineのように充電用に特化したり、あるいは細くて充電用に使う、巻き取れるなどのメリットがある場合は良いですが、そうではなく単に余っているような場合は、他の規格のケーブルと混じらないように分けておくか、ゴミとして処分した方が良いです。

給電のみのゴミケーブル

USB-C端子を給電用コネクタとして採用する機器が増えてきたこともあって、この手のケーブルも増えてきました。
これ、ぱっと見でUSB2.0対応ケーブルとの見分けが付かないのが問題なんですよね…ケーブルの太さもあまり変わらないし。
なので、給電用ならUSB2.0対応ケーブルでも利用できますので、給電のみのケーブルは真っ先に断捨離対象とした方が良いと思われます。

USB Cable Checker 2を利用した感想

いやー、これ、便利です。
USB3対応デバイスなのに間違ってUSB2.0ケーブルを使っていた!とかいうミスも防げますし、大量に余っているUSB-Cケーブルの断捨離にも役立ちます。

しかし、一番問題なのは乱立しているUSBの規格とケーブルの種類の多さでしょうか。
コネクタ部分にどのような規格に対応しているのか記載するルールとか作ってくれれば一発で解消すると思うんですけどね…。

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