EMISSION LABSの超弩級真空管、300B-XLSを試す

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PCオーディオで使っている、CayinのA-300Bですが、真空管にはEMISSION LABSの300B-XLSという300Bを使っています。

今更説明する必要も無いくらい有名な300B真空管ですが、スタンダードな300BはWestern Electricが1938年に開発した直接加熱三極管で、電話信号の増幅を目的とした設計が起源です。
典型的な仕様は、プレート電圧450V、プレート損失36〜40W、出力8〜9W(シングルエンド)で、温かみのある音色とリニアな特性で知られており、今でも数多くの真空管アンプで採用されています。
グリッドやフィラメントの構造はシンプルで、音楽的な表現力に優れる一方、現代のハイパワーアンプでの高負荷運用には限界もあり、ハイパワーアンプではKT-88などの真空管が使われていることも多いです。

そんな中異色を放っているのが、EMISSION LABSの300B-XLSです。300Bの優れた特徴は継承しつつも、至る所を強化しまくって全く別とも言える真空管に進化しています。

スタンダード300Bのクラシックなグリッド構造とチューブカーブを保持しつつ、ヴィンテージ52Bチューブの大型ガラスシェルと堅牢なアノード構造を採用しています。ニッケルよりも高価で加工が難しい硬金属を採用した高耐久性アノードにより、加熱や機械的衝撃による形状変化を防止し、長期間の安定性と再現性が向上しています。
また、極めて硬いウォルフラム素材(タングステン)グリッドの採用により、グリッドワイヤーの間隔を精密に保ち、チューブカーブの均一性とリニアリティを強化しています。大型ガラスシェルの採用により放熱性と耐久性が向上し、高負荷運用時の安定性が向上。さらに、フィラメントとグリッドの構造に独自の物理的キャソードタップを採用し、低歪みと低ハムノイズを実現。金メッキグリッドによりバイアス安定性も向上しています。

これらの強化により、プレート電圧は最大600V、出力は最大27Wと(!)というすさまじいスペックを誇ります。電圧を抑えた長寿命設定時でも12~18Wの出力がありますので、その強化っぷりが分かるかと思います。

音質についてもスタンダード300Bの音楽性を継承しつつ、以下の音質面で明確な進化を遂げています。

透明性と解像度:
低〜中音量での音像がよりクリアで、細部の再現力が向上。特に弦楽器やボーカルのニュアンスが鮮明に描かれる。

ダイナミクスの維持:
高音量時でもオリジナルレコーディングのダイナミクスを損なわず、歪みが少ない。スタンダード300Bでは高出力時に圧縮されがちなダイナミックレンジが、300B-XLSでは安定。

低域のコントロール:
アノード抵抗が低いカーブ領域での運用(バイアス調整時)により、低域のダンピングファクターが向上。結果、ベースはよりタイトで自然な響きに。

広い音場と安定性:
低ハムノイズと低歪みにより、音場が広く静寂感が増す。特にシングルエンドアンプでの繊細な表現力が強化されている。

サイズですが、スタンダードな300B…は手元に無かったので、ナス型の300B-SENとの比較ですが、これくらい違います。デカすぎです。
ガラスの厚さも倍以上あるので、かなり重たく、しっかりしています。

12AU7との比較。ついでにマウスもサイズ比較に入れてみました。
300B-XLSの巨大さが分かると思います。

たまたまeBAYで8万円くらいで販売されていた新古品を半分ネタで買ったものですが、PC用のCayin A-300Bで使うにはもったいないような気がする真空管です。

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