ディーラー保証期間も過ぎたので、サブコンであるRaceChip RSを取り付けてみました。
RaceChip RSとは
サブコンとはブースト圧などのセンサーに割り込ませ、ECUへ送るデータを書き換えることで馬力やトルクを手軽にアップさせるチューンナップ方法です。
RaceChip RSはメルセデス・ベンツ Vクラスにも対応するサブコンになります。
Vクラス(W447)の場合、トルクは最大+82Nm、馬力は最大+39PSのアップが可能とのことです。ディーゼルエンジンなので元々トルクが太いのですが、462Nmのトルクは凄いですね…。
馬力も約200PSになるので、2.4t超のボディを引っ張ることを考えると魅力です。
なお、Vクラス向けのRaceChipは2.2L 直列4気筒BlueTECエンジン(OM651)用のみで、後期モデルのOM654は非対応になりますのでご注意を。
RaceChipは3モデルあり、RaceChip S、RaceChip RS、RaceChip GTSとなります。
モデルの違いは出力UPの差になります。
また、RaceChip RS、RaceChip GTSにはConnectという設定をスマホアプリからBluetooth経由で変更可能なモデルが存在します。(通常のRaceChipは本体のロータリースイッチで変更)
取り付け方法ですが、コモンレールデリバリーパイプコネクタと、ブーストセンサーコネクタの2カ所のコネクタを外し、RaceChipハーネスを割り込ませ、RaceChip本体を固定するだけ…なのですが、これがとても大変でしたので、DIYで作業される方は心してかかってください。
ECUのメーカーを確認
VクラスのECUはBOSCHとDELPHIの2社が提供しているようで、RaceChipはECUによってコネクタ形状が異なるため、購入する前にECUのメーカーを調べておく必要があります。
ECUですが、ボンネットを開け、エンジンの左下に取り付けられています。
メーカーを確かめるには、ラベルに記載されているメーカー名を調べる必要があるのですが、これ…ラベル背面ですよね…確認方法どうするか…
と悩んでいたところ、BOSCHとDELPHIではECUの形状が異なるようです。
海外のサイトから拾ってきた画像ですが
上はBOSCH製のECUです。
ヒートシンクの形状をよく見ておいてください。
こちらはDELPHI製のECU。ヒートシンクの形状がBOSCH製とまったく異なります。
また、コネクタの向きを見てもらうと分かるのですが、BOSCHとDELPHIではヒートシンクが付いている側が逆になります。
私の車は写真で判断する限り、BOSCH製のECUで決まりのようです。
ということで、BOSCH製ECUのRaceChip RS Connectを発注しました。
RaceChip RS Connectの付属品一式
購入したRaceChip RS Connectですが、付属品は
- RaceChip RS Connect本体
- 専用ハーネス
- 結束バンド
- 取扱説明書
- エマージェンシーコネクタ
- 保証書
となります。
取り付けに必要なものは一式揃っていますが、取り付ける際、コネクタを外すのに専用工具があると便利…というか後ほど詳しく説明しますが、工具は必須ですので合わせて購入しておきましょう。
VクラスにRaceChip RS Connectを取り付ける
最初に、公式の動画を見ておくと良いです。
Eクラス向けの取付説明動画ですが、エンジンは同じなので作業方法もほぼ同じです。
なお、RaceChipに付属するマニュアルも、E220用なので上記の動画と同じです。Vクラスは少ないので専用の動画やマニュアルは無い感じです…
Step1:ボンネットを開け、鍵を閉め、15分以上放置する
取り付ける前に、エンジンOFF後すぐにコネクタを外してしまうと、コンピューターにFaultの履歴が残ってしまう可能性があるようなので、キーを抜いてロックしてから、15分以上放置します。
この間に、エアクリーナーボックスを外しておくと良いでしょう。
Step2:エアクリーナーボックスを外す
まずは、エアクリーナーボックスを取り外します。
これは簡単に外れるので、楽勝です。
上の写真では、すでにパイプを取り外し済みです。
1のパイプは、エアクリーナーボックス側を最初に外せば、簡単に取り外せます。
2のホースはステンレスのバンドを固定しているネジを緩めると簡単に抜けます。エアークリーナーボックスから外せればOKです。
エアクリーナーボックスの右側に、エンジンオイルの給油口が付いていますので、外します。左側面にロック用の出っ張りがあるので、押しながらスライドすれば簡単に外せます。
続いて手前に2カ所あるパーツを、エアクリーナーボックスを上に引っ張って外します。ゴムの受けパーツに樹脂製のピンで固定されているだけなので、えいやっと上に引けば簡単に外せます。
最後に、エアクリーナーボックスを手前に引き出し、奥ではまっている部分を外します。
ケーブル類が付いたままなので、エアクリーナーボックスはそのまま左側にひっくり返しておいておきます。
Step3:コネクタの位置を確認する
コモンレールデリバリーパイプコネクタと、ブーストセンサーコネクタを確認します。
コモンレールデリバリーパイプコネクタは、比較的見つけやすい位置にいます。
エンジンオイル給油口の延長パイプの根元に埋まっているものがそうです。
エンジンカバーが作業の際に邪魔なので、少し動くようにしておきます。
エンジンカバーの手前3カ所のロックの箇所を上にえいっと持ち上げると、手前は外れます。奥でもロックされているのですが、ここは外すのが面倒なので、とりあえず手前の3カ所だけ外しておけばOKです。
ブーストセンサーコネクタは場所が分かりづらいです。
すごく見づらいのですが、オイルゲージの少し後ろ側に、ブーストセンサーコネクタがあります。
完全に奥に隠れており、手を伸ばさないと届かない場所にあります。
Step4:コモンレールデリバリーパイプコネクタにハーネス(A)を割り込ませる
コモンレールデリバリーパイプコネクタを外し、ハーネス(A)を割り込ませます。
と書く分には簡単なのですが…いかんせんコネクタの位置が悪すぎます。
手前のエンジンオイル延長パイプも邪魔ですし、コネクタを囲むように樹脂製のパーツが取り付けられており、指を入れる隙間がありません。
コネクタにはグレーの爪があり、引っ張って手前にスライドさせてから爪をケーブル側に押し込むとロックが外れ、手前に引き抜けるようになります。
…なのですが、私の車はロックする爪がエンジン側に隠れており、これ、どうやってケーブル外すんだ!!!という状態。
手前のホースがひたすら邪魔なのですが、外すにはかしめてある金属製の帯を取る必要があり、とても面倒そう。なので、どうにか隙間から手を突っ込み作業することに。
そこで活躍するのが、カプラー外しセットに入っていた、ピックツール。
中央にある、先端が曲がったツールです。
まずはカプラー脱着用ツールの、先が曲がった部分をグレーの爪を手前に引っ張ります。カチッと音がして5mm程度手前に飛び出せばOKです。
その後、爪をケーブル側に押し込んで…といきたいところですが、これも指が入りませんのでできません。
仕方がないので爪のパーツを先が曲がったピンで引っ張って…というように作業していたら、グレーの爪が完全に抜けてしまいました。
しょうがないので、グレーの爪の内側にある、黒いロックしているパーツをマイナスドライバで押し込んでどうにかロックを外し、コネクタを外しました。
一番の難関がこのコモンレールデリバリーパイプコネクタを外す作業で、コネクタを外すこと自体は簡単な作業のはずなのですが、なにせ場所が悪すぎます。さらに、私の車はロックの爪が反対側に隠れてしまっているので作業性は最悪でした。
無理してコネクタを壊すようなことの無いよう、慎重に…といいつつも、かなり力業でないと取れないのも事実。
こんな設計にしたの誰だ…
※私の車がたまたまコネクタの位置が凶悪だった、という説あり。
どうにか無事作業を終えた、コモンレールデリバリーパイプコネクタ。
1時間くらい悪戦苦闘して、どうにかハーネス(A)を割り込ませました…しんどかった。
グレーの爪が完全に取れてますが、きちんとロックされて外れない状態なのでよしとしましょう…。
Step5:ブーストセンサーコネクタにハーネス(B)を割り込ませる
次に、コモンレールデリバリーパイプコネクタを外します。
このコネクタは左側にロックがあるので、そこを押しながら抜けば比較的簡単に取り外しできます。
ただ、コネクタが奥にあるため、ハーネスを割り込ませる際にコネクタを目視できないのと、隙間が狭いので片手しか突っ込めないので少々面倒です。
とはいえ、コモンレールデリバリーパイプコネクタよりは圧倒的に作業は楽です。
ブーストセンサーコネクタにハーネス(B)を割り込ませました。
これで接続は完了、あとはRaceChip本体にコネクタを取り付ければ完了です。
Step6:RaceChip本体とハーネスを固定する
ハーネスとRaceChipを接続します。
続いて、RaceChip本体を車に固定します。
RaceChip本体ですが、ヘッドライトユニット上部に良さそうなスペースがあったので、ここに取り付けました。ヘッドライトの光軸調整が出来なくなってしまいましたが、結束バンドを切ればいいだけなので良しとします。
この場所であれば、RaceChipのLEDも視認できるので便利そう。
あとはハーネスを熱くならない部品に結束して留めます。樹脂製の部品が付いていたり、ゴムだったりするパーツは熱を持ちづらいので大丈夫だと思います。
これで取り付け作業は完了です。
続いてスマホアプリの作業となります。
RaceChip+アプリをインストールし、スマホと接続する
車とBluetoothで接続している場合、RaceChipとの接続が上手くいかない可能性があるので、車(MB Connect)との接続は一度切断してから作業を行います。
また、車内からの操作だとBluetooh通信が弱い可能性があるので、ボンネットを開けた状態で作業するのが良いです。
まず、RaceChip+アプリをスマホにインストールします。
Appストアには、RaceChip+とRaceChipという2種類のアプリがありますが、オレンジ色のRaceChip+というアプリになります。
説明書にQRコードがあるので、それを読み込んでインストールするのが良いかと思います。
アプリのインストールが終わったら、イグニッションキーを1段回し、エンジンはかからない状態のまま電装系をONにします。
RaceChip本体のLEDが点灯するのを確認してください。
LED点灯後、アプリを起動してRaceChipの初期設定を行います。
RaceChipとアプリを接続・認証する際にはシリアル番号が必要なのですが、RaceChip本体裏のバーコードの他に、取扱説明書や保証書にも記載があります。
シリアル番号を入力→RaceChip検出→ペアリングコード入力→チューニングデータアップロード→設定完了、という流れで作業が進みます。
RaceChipのドライビングモード変更画面が表示され、モード変更が出来れば作業完了です。
またもや不具合発生…
私の場合、またここでもトラブルが…
接続は完了し、チューニングデータのアップロードに移るのですが、そこで必ず失敗してしまいます。
スマホを変えてもダメ、アプリやスマホを一度終了してもダメだったのですが、車のキーを抜き、ロックを閉め、RaceChipのLEDの消灯を確認した後、数分おいてから作業を開始したところすべての操作を完了することができました。
不具合が発生した際は、スマホもRaceChipも、まずは再起動。これで直ることって結構多いです。
エンジン始動、動作確認、走行テスト
すべての作業が完了したら、エンジンをかけ、動作に問題がないか確認します。
軽く走ってみて、走行に問題なければOKです。RaceChipをキャンセルするエマージェンシーコネクタは車に常備しておくのが良いかと思います。
RaceChip+アプリでの設定変更
RaceChip+アプリにはRace、Sport、Ecoの3種類のプリセットのほか、1~7まで設定の強弱を変更するマニュアルモードがあります。
RaceChip RSとは異なり、スマホアプリで設定を変更出来るので便利です。
Race、Sport、Ecoの各モードには、任意の1~7のプリセットを割り当てることが可能です。
ただし、設定値がRace>Sport>Ecoになる必要があります。(Race:5、Sport:1、Eco:3みたいな設定は不可)
私のアプリでは標準設定がRace:5、Sport:3、Eco:1の設定でしたが、メーカー推奨値はRace:5、Sport:4、Eco:3とのことなので、この設定に変えて設定しました。
値を上げればその分ブースト圧などが上がるようですが、推奨値以上の数値に設定すると車側にエラーチェックランプ点灯の可能性があるようで、推奨値の上限5を超える設定は使用しないよう、注意が必要です。
RaceChip RSの効果
馬力・トルクがどれくらいアップしているかは、シャーシダイナモで計らないと不明ですが、ちょっと走った感じのインプレッションを。
まず、停車状態からのスタートのフィーリングが変わりました。アクセルを今までよりも軽く踏み込んだ状態でも、力強く発進します。これは凄い。
重量級の車なので激変ではありませんが、力強さは確実に増して体感できます。
また、速度を上げた状態で加速(高速の合流や追い越し、車線変更など)するときに、今まではもうちょっとパワーが欲しいな…と思うこともありましたが、RaceChip RS装着後はぐっと押し出すようなパワー感があり、以前のような不満は少なくなりました。
国産車のサブコンに比べると遙かに高額(私は77,000円程度で購入できましたが、10万円弱くらいするようです)なので、そこそこ敷居も高いのですが、取り付けると確かに満足感はあります。
スマホで設定が変えられるというのも面白いですし、満足度は高いと言えるかと。
取り付けもDIYで行えば無料ですし、コネクタを外すのが大変ですがそこさえクリアできれば、難易度は高くはありません。
いつも乗っているVクラスに、ちょっとした変化を求めたい場合には最適なアイテムだと思います。
ただ、いかんせん高いですね…。
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