DELLから登場したウルトラハイエンド液晶、U4025QW。
スペックがものすごいのですが、ざっと特徴を挙げると以下のような感じです。
- 40インチ 2500R 湾曲液晶(21:9)IPS Blackパネル(非光沢)
- WUHD (5120 x 2160ピクセル) 120Hz、ドットピッチ0.1815mm
- 応答時間:8ミリ秒(通常モード)/ 5ミリ秒(高速モード)
- HDR対応、明るさ 450 cd/m2(標準)または 600 cd/m2(HDRピーク)
- 色域:DCI-P3 99%、Display P3 99%、sRGB 100%、BT.709 100%
- 3系統入力(Thunderbolt、Display Port、HDMI)
- 2系統KVM
- 2.5Gbps LANポート(RJ45)
現時点で唯一無二の(と思う)、5K2K、120Hz。すげぇ。
前のモデルである、U4021QWから、順当にほぼ全てのスペックが強化されています。
特に凄いのが、リフレッシュレート120HzとHDR対応という点。ゲーミング向け以外では最強のモニターかと思います。
ゲーミング用途として考えると、今時のゲーミングモニターは0.5~1msくらいが多い中、U4025QWは応答時間が高速モードでも5msなので、5~10倍くらいの遅さになります。
とはいえ、そこまでシビアなタイミングを要求されるゲームで無ければ十分に楽しむことが可能ですし、ビデオカードのパワーは要求されますが、120Hzでヌルヌル動くのが良い感じです。
届いてから少し使ってみて感じた印象、トラブルなどの解消方法などレビューしていきたいと思います。
特に、DELL特有の説明の解りづらさは、丁寧に解説していきたいと思います。
サイトに情報なさすぎなのよ、DELL…
ハードウェアスペック
乗り換える前に使っていた、EIZOのEV3895との比較表を作ってみました。
DELL 4025QW | EIZO EV3895 | |
画面サイズ | 40インチ 21:9 | 38インチ 24:10 |
解像度 | 5120 × 2160 | 3840 × 1600 |
ドットピッチ | 0.1815 × 0.1815 mm | 0.229 × 0.229 mm |
リフレッシュレート | 120Hz | 60Hz |
コントラスト | 2000:1 | 1000:1 |
輝度 | 450 cd/m2(標準) 600 cd/m2(HDRピーク) | 300 cd/m2 |
パネル | IPS Blackパネル(非光沢) | IPSパネル(非光沢) |
湾曲率 | 2500R | 非公開(2000Rくらい?) |
HDR対応 | 対応 | 非対応 |
応答時間 | 通常 8ms、高速 5ms | 5ms |
色域 | DCI-P3 99% sRGB 100% | DCI-P3 94% sRGB 100% |
入力 | HDMI 2.1(5K120Hz) DP 1.4(HDCP 2.3、5K120Hz) Thunderbolt 4 USB-C(DP 1.4 Alt mode) | HDMI(HDCP 2.2/1.4)x 2 DP(HDCP 1.3) USB-C(DP Alt Mode, HDCP 1.3) |
KVM機能 | 2系統 | 3系統 |
LAN端子 | あり(2.5Gbps) | あり(1Gbps) |
サイズ(モニター部分) | 幅 946.62mm × 高さ 419.44mm | 幅 893.9mm × 高さ 398.2mm |
価格(24年4月時点) | 257,158円 | 168,656円(最安値) |
5120×2160ピクセル、120Hz対応、HDR対応。
なんていうか、凄いですね…まさに全部入りの最強とも言えるスペックです。
その代わり価格も約26万円と凄いことになっております。
一括償却可能な30万以内なので、買いやすいといえば買いやすいと言える…?
では、ハードウェア面の仕様について確認していきたいと思います。
5120×2160ピクセル 5K2K解像度
5Kの解像度は圧倒的です。
ただし、解像度が高くなった分ドットピッチが狭くなり、EV3895に比べて80%の0.1815mmとなっています。
つまり、同じスケーリングだと文字サイズが80%程度に小さくなってしまいます。
さすがにこの解像度だとスケーリング100%では辛くなってきます。スケーリング100%での利用は不可ではありませんが目が疲れることもあって、125%での利用が理想かと思います。
5120×2160の125%表示 vs 3840×1600の100%表示
Windowsのスケーリングは、100%、125%、150%というように25%刻みになります。
カスタムスケーリングという機能もありますが、安定しないので使用しない方が良いです。
そこで問題となるのが、5120×2160のスケーリング125%表示か、3840×1600のスケーリング100%、どちらが良いか?という問題です。
結論から言うと、最近のWindows11のスケーリングは思ったよりもマシになってきたことと、5120×2160の125%表示の方が画面が大きく使えるので、メリットがあると言えます。
5120を1.25で割ると4096になりますので、単純計算では3840よりも少し大きい、となります。
実際のWindowsの画面で見るとこんな感じ。
3840×1600を100%スケーリングで使っていた頃にデスクトップに置いていたアイコンが、綺麗にそのままの位置で残っています。
5120×2160を125%スケーリングで使った方が画面が大きいのが解ります。
スケーリングについてはアプリケーション側の対応もだいぶ進んできており、スケーリングにうまく対応していないアプリケーションでも、プロパティから高DPIスケールの設定をシステム(拡張)で上書きすることで、少し文字はぼけ気味になりますが高解像度対応させることが可能です。
たとえば、2013年にリリースされたID Managerの場合、125%スケーリングでこんな感じで表示されます。
思ったよりもまともですね。
また、デュアルモニター環境で異なるスケーリングを混在させる場合も、挙動が安定した印象を受けました。
サブモニターが1920×1200の14インチ液晶なのですが、こちらはスケーリング100%で使用しています。
ウィンドウをドラッグすると途中でスケーリングが変わるのですが、違和感なく表示が切り替わります。昔は異なるスケーリングを混在させるとかなり挙動が怪しかったので、Windowsもスケーリング周りについてはかなり洗練されてきた印象を受けました。
R2500の湾曲液晶
湾曲液晶ですが、湾曲率(R)は2500とかなり緩やかな弧を描くラインです。
正面から見ても、左右が若干湾曲してるかな?程度の控えめさで、最近のゲーミング液晶のようにR1000などのものと比べると、ほぼ平面という印象さえ受けます。
あまりに強い湾曲率は違和感がありますし、これくらいの控えめの方が個人的には好みです。
3系統入力、2系統KVM
入力は以下の3系統を利用可能です。
- HDMI 2.1(5K120Hz)
- DisplayPort 1.4(HDCP 2.3、5K120Hz)
- Thunderbolt 4 USB-C(DisplayPort 1.4 Alt mode)
サイトにある説明が足りなさすぎて解りづらいのですが、PC2台を接続し、モニターに繋いだ1組のマウスとキーボードを利用してKVM機能が利用可能です。
KVMに接続する入力端子は、DPとHDMI、DPとThunderbolt、HDMIとThunderboltのいずれの組み合わせも可能です。
DPおよびHDMIを使用する場合は、USBのアップストリームポートをThunderboltとUSB-Cのどちらに紐付けるかを自由に設定可能です。
デスクトップPCを2台使う場合は、DPとHDMIに接続することになると思います。
その場合は、Thunderbolt端子はどちらかのPCのUSB-Cアップストリームポートとして使用します。
片方がノートPCの場合、DP Alt modeに対応していれば1本のケーブルで140Wの給電とUSB-Cアップストリーム、画像伝送が可能です。
DPまたはHDMIに繋いだデスクトップPCは、USB-Cのアップストリームポートを使用します。
なお、KVMを使ったPCの切替は、ほぼ8秒程度でした。
まあ、遅くはないという感じです。
背面にあるスティック型OSDコントローラーは不便か?
OSDを操作するためのスティック型コントローラーですが、背面の割と凄い位置にあります。
操作する際は完全に手探りなのですが、画像入力の切替もこのスティックで行いますので、この場所で大丈夫?という不安がありました。
実際に使ってみて解ったのですが、PCの切替はホットキーで行った方が圧倒的に便利ですので、スティックを使って操作することはあまりありません。
また、片方のPCを電源OFFした場合も、自動的に入力を切り替える機能をONにしておけば、信号の入力がある端子に切り替わりますので、やはりスティックを操作することはありません。
という訳で、背面にスティックがあっても特に問題は感じませんでした。
Thunderbolt端子が正常に動かない場合の対応
購入して使ったところ、いきなり不具合が発生してしまいました…。
症状としては、Thunderboltコネクタが正常に動作しない、ということ。
ノートPCを繋げてもAlt modeで画像が出力されない(Thunderbolt端子の信号なしになる)、デスクトップPCのUSBアップストリームポートとして使用すると、何かしらのハードウェア認識音はWindowsから鳴るものの、マウスとキーボードが動く気配がない、というものです。
サポートに電話したところ、以下の方法を試してくださいとアドバイスをいただきました。
- 電源ケーブル、Thunderboltケーブルを外す
- 電源ボタンを10秒押し続ける
- ケーブルを接続して動作確認
電源ケーブルを外した状態で電源ボタンを押し続けることで帯電していた場合放電リセットを行うことが可能です。
私のモニターで発生していた不具合も、この方法で元に戻すことが出来ました。
不具合が起こっている方は、一度放電リセットを行うことをオススメします。
USB-Cの相性について(AMDマザーボードで発生)
以下の組み合わせで、USB機器(ウェブカメラ)が正しく動作しない問題が発生しました。
ASRock B550 Steel LegendのUSB 3.2 Gen2 Type-Cとモニター側のThunderboltをUSB-Cケーブルで接続した場合に、Cisco Desk Camera 4Kが正しく動作しない
かなりレアな組み合わせだと思いますが、USBの相性なのか、Cisco Desk Camera 4Kが正しく動作しませんでした。
一見動作しているように見えるのですが時々ノイズが乗る、Windows Helloの顔認証が正しく行えないといった不具合が発生しました。
回避策としては、USB-C to USB-Aケーブルを使って、マザーボード側のUSB 3.2 Gen1 ポート(Type-A)とU4025QWのThunderboltコネクタを繋ぐことにより、正常に動作するようになりました。
その他ギミックとか
その他、まだ確認していない点についてちょこっと触れたいと思います。
モニターなのにLANコネクタ搭載?
LANコネクタも強化され、2.5Gbpsのものが搭載されています。
なんでモニターにLAN?と思う方も多いと思いますが、企業で利用する場合、有線LANのみ利用可、しかも特定のMACアドレスでないとLANに繋げない制限をしている企業も多く、その場合ノートPCに外部モニターを繋げて使う場合でもLANだけは本体側のものを使わないといけないため、ケーブルを2本繋ぐ必要があるのです。
ただ、モニター側にLANコネクタがあれば、有線LANをモニターに繋げておき、MACアドレスパススルーを使うことでノートPCはUSB-C1本で接続可能になります。
つまり法人ユースの場合に大きなメリットがある訳で、個人ユースの場合あまりメリットはありません。
プルダウン式のUSBハブ
USB-C ×2ポートと、USB-Aの計3ポートのハブが内蔵されており、モニター右下を押すと下に飛び出てきます。
押す部分のプラスチックが一部盛り上がっているので、感触で解ります。
ただ、出すのにそこそこの力で押す必要があるので、モニターの角度が変わってしまいそう。
モニター上部を押さえながら押せば良いのでしょうが、いちいち格納せず出しっぱなしが良さそうです。
一応スピーカー内蔵
9Wのスピーカーを内蔵しているので、音は出ます。
といっても、これならノートPC内蔵のスピーカーの方がいい音がするかも。
とりあえず、音は出ますよ、ということで。
このクラスのモニターを個人で使う人はちゃんとしたスピーカー繋いでると思いますし。
スタンドはしっかりしていて便利そう
重量のあるモニターなので、しっかりしたスタンドが付属します。
私は速攻で壁掛けにしてしまったので、動作確認の時だけに使いました。
Thunderboltデイジーチェーン用のダウンストリームポート
たぶん、使うことはなさそうな機能。
Thunderboltで複数のモニターを繋ぐ場合、PCから直接繋がずに、モニター同士をデイジーチェーンで繋ぐことが可能です。
まあ、使わないと思います…。
照度自動調整
モニター上部に照度センサーが内蔵されており、室内の明るさによってバックライトの輝度を自動的に調整することが可能です。
といっても、私は自動的に輝度が変わるのはどうも慣れないので輝度固定で使っていますので、この機能も使うことはないでしょう…。
VESAモニターアーム対応
100mmピッチのVESAモニターアームを取り付け可能です。
今回、モニター交換を機に壁掛けにしてみました。
詳しくは下記投稿にてご確認ください。
Windows環境で使ってみた感想
スケーリング125%での使用になりますが、EV3895よりも広大な画面、スケーリングによって綺麗になった文字(一部アプリはボケるけど)など、総じて満足度は高いです。
それよりも一番恩恵を受けているのは、120Hz対応という点でしょうか。
まず、マウスカーソルが凄くうねうね動く。早く動かしても見失いません。いやー、120Hz、楽しいですね。60Hzに戻るとかなりカクカクしているのが気になります。
ゲームも当然120Hzまで出ますから、60Hzの画面とはその差は歴然です。
このあたりは次に見ていきたいと思います。
スケーリングの問題は、前にも書いたとおり、Windowsも高DPI液晶が増えてしばらく経つこともあって、かなり洗練されてきており、特に違和感はありませんでした。
Officeなどのアプリケーションも高解像度で使い勝手良好。
なによりも文字が見やすくて良いです。スケーリング万歳。
ゲーミング用途で使ってみた感想
応答速度はビジネス向けモニターなので高速設定でも5msですが、120Hzあるのでゲームもぬるぬる動きます。
私が主に遊んでいるのはWorld of Warshipsというゲームですが、軍艦のゲームですからミリセカンド単位で状況が変わるようなことはなく、比較的まったりです。
ですので、応答速度は問題無く、120Hzというリフレッシュレートの恩恵を十二分に受けることが可能です。
今時のFPSなどで問題があるとすれば、5K2Kを120Hzで動かすには、ビデオカード側にそれなりのパワーが要求される、ということでしょうか。
あいにくそこまでヘヴィなタイトルは有していないのですが、せっかくRTX3090を持っているので、なにかあとで試してみたいと思います。
EIZO EV3895から乗り換えてみた感想
いやぁ、良い、の一言に尽きます。
なんといっても120Hz。ぬるぬる動きます。素晴らしい。
モニター交換を機に壁掛けにしたので、机の上が広くなりました。
最大のネックは価格でしょうか。この価格帯だとハイエンドOLEDモニターも選択肢に入ってきますので、いろいろ選べると思います。
KVM機能、120Hz、ゲーミングよりもある程度仕事やWebなどの応答速度をシビアに求められない用途に最適なモニターを探している場合には、とても魅力的な製品だと思います。
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