ボールベアリングを採用した異色のキースイッチ、Roller Linear Switches(リニア 45g)詳細レビュー

PC周辺機器

Cherry MX互換キースイッチも様々な工夫を凝らした製品がありますが、その中でも今回ご紹介するRoller Linear Switchesは、ステムの中にボールベアリングを仕込んでしまったという点で、従来のキースイッチとは異なる特徴を有するスイッチになります。
気になったこともあり、110個購入し、愛用しているMaestro 2Sに取り付けてみました。

ボールベアリングを組み込んだ独特のスイッチ構造

これは構造を示した画像を見ていただくのが一番わかりやすいかと。

ステム(中央にある黒い部品)の側面4カ所に、ボールベアリングが仕込まれているのがわかります。
ボトムハウジング側のガイドも、ボールベアリングの形状に合わせて溝が掘られています。
このキースイッチの最大の特徴でもあり、製品名でもあるのがこのボールベアリングになります。

分解するとこんな感じです。
ステムに埋め込まれたボールベアリングがわかります。
上部ハウジングは黒ですが半透明になっているので、LEDによるライティングも可能です。(かなり暗くなりそうですが)
内部がルブされているのも分かるかと思います。

ボールベアリングを組み込むメリットについての考察

ステムにボールベアリングを組み込むという特徴を持つRoller Linear Switchesですが、ボールベアリングを組み込むことでどのようなメリットがあるのか、実際に使ってみた印象を含め考察してみたいと思います。

押し下げ時のスムーズさの向上

ステムは四角形をしており、4面がハウジングと接している、面接地の構造になっています。
ステムの押し下げ時にはステムとハウジングが擦れるため、摩擦係数の少ない素材を使う、ルブするなどの対策を行うことでスムーズな押し下げ時のフィーリングを実現しています。

ボールベアリングを組み込むことでボールベアリングの先端のみがハウジングと接する点接地になります。ボールベアリングの先端だけがハウジングと接するため、摩擦係数が限りなく少なくなるというメリットが存在します。
これにより、ステム押し下げ時のスムーズさが向上しているものと思われます。

ステムのぐらつき防止

ステムとハウジングの間には、微妙な隙間が存在します。
というのも、隙間が無いとぴったりとはまってしまい、キー押し下げ時の抵抗が大きくなってしまいます。この隙間があるため、どうしてもキーのぐらつきが発生してしまいます。

ボールベアリングを組み込むことで、ステムがハウジングと接していても押し下げ時の抵抗増には繋がりません。常にステムとハウジングが接している状態になることで、ステムのぐらつきを抑えることが可能になります。

リニアな動作に磨きがかかった押し下げ時のフィーリング

まず、ボールベアリングをステムに埋め込むことでどのようなフィーリングの向上に繋がるか、という点についてですが、いやー凄いです、このキースイッチ。
従来のキースイッチはステムとハウジングが面で接するため、どうしてもキー押し下げ時に若干のざらつき感があります。ルブすることでかなり改善しますが、特にキーを斜め方向から押し込んだ時などに、ステムがハウジングを擦るような感触が残りますし、押し下げ力も若干強めにする必要がありました。

Roller Linear Switchesはボールベアリングを採用し面接地から点接地に変化したことで、ストロークに関してはとにかく滑らか、の一言です。
斜めからキーを押しても引っかかりは全くなく、ストン、と綺麗にリニアな動作でキーが押し下げられますので、打鍵していて気持ちよさが半端ないです。

ぐらつきが皆無、微動だにしないキーキャップ

何よりも驚いたのが、キーのぐらつきが全くない、という点。
Tealios V2のような優秀なスイッチを使ってきましたが、Roller Linear Switchesのぐらつきの無さは次元が違います。
従来のキースイッチはステムが面接地のため、僅かな隙間を空けておかないとスムーズにステムがスライドせず、どうしても微妙なぐらつきが出てしまっていたものと思われます。
Tealios V2は他のキースイッチと比べるとぐらつきはかなり抑えられていますが、それでも皆無ではありませんでした。

その点、点接地になったRoller Linear Switchesは常にステムがボールベアリングを介してハウジングに接しているため、キーキャップを左右方向に指で撫でてみても、まったくぐらつきもなく、キーキャップが微動だにしません。
これは凄いですよ…いろいろなキースイッチを試してきましたが、ここまでぐらつきがないキーキャップは初めてです。感激モノです。

押下圧45g±5gfのちょうど良さ

気になる押下圧ですが、

  • 作動フォース:45g±5gf
  • ボトムアウトフォース:60g±5gf

となります。
重たすぎず、軽すぎず、ちょうど良い過重かと思います。
Cherryの赤軸などと同じ値ですね。
ボトムアウトフォースが60gfで、押し下げたあとのちょっと強めの反発力が心地よいです。

個人的にはもう少し軽くても良いかな、と思う過重ですが、ステムの押し下げ時のスムーズさが気持ちよく、これくらいの過重でもサクサクとタイピング出来るのが心地よいです。

少し短い総トラベル3.5±0.3mm

1点注意なのが、総トラベルがCherry MXのように4mmではなく、若干短い3.5mmという点。

  • 総トラベル:3.5±0.3mm
  • 作動トラベル:2.0±0.3mm

となっており、0.5mm短くなっています。
ただし、動作トラベルは2mmとCherry MXと同等ですので、キー押し下げ時の動作点については違和感はありません。
最初、キーボードを変えたときにストロークが浅くなっているのがすぐに分かるくらい違いがありますが、使っていると違和感はなくなります。

間違いなくこれはお勧めのキースイッチだ

Maestro 2Sに取り付けた状態。
掃除もそこそこにキーの交換をしてしまったため、ゴミが見えているのは気にしないでください…。

Cherry MX互換キースイッチをいろいろ試してきた中で、ここまで驚いたスイッチは初めてといっても良いかと思います。
品質、質感、打鍵感、何をとっても気持ちの良いキースイッチです。
Cherry MXスイッチからの交換用としても最適で、交換した違いを確実に感じることが可能です。

文句なくお勧めのキースイッチといえるかと思います。

Domikeyとは相性が悪いので要注意

Maestro 2Sの交換キーキャップとして愛用しているDomikeyのキーキャップですが、装着したところ、キーを押し込むと戻ってこない問題が発生しました。
おそらく、キーキャップ側の軸がMaestro 2Sのものよりも微妙に太く、Roller Linear Switchesの [+] 形状のガイドが微妙に外側に押され、ハウジングと接触してしまいキー押下状態から戻ってこないものと思います。

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