真空管アンプ対応、ダミーロード付きのアンプセレクタを自作してみる

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パソコン周りのアンプが、EL12 PPモノラルアンプ×2と300Bシングルアンプ、TEACのAP-505と3組に増えてしまったので、今まで使っていたアンプセレクタでは系統が足りなくなってきました。
また、今までのアンプセレクタはダミーロードを使っていなかったので、スピーカーにつながっていない真空管アンプは電源を落としておく必要があり、面倒でした。

そこで、以下の要件を満たすアンプセレクタを自作することにしました。

  • 真空管アンプ×2、デジタルアンプ×1の3系統の切り替えが可能
  • 真空管アンプにはダミーロードを取り付け、常時電源ONでの切り替えを可能にする
  • DACからアンプへのラインセレクタ機能も追加する

ラインセレクタ機能ですが、使用しているRMEのADI-2 DAC FSの出力を、選択しているアンプに振り分ける用途を想定しています。
つまり、アンプセレクタでアンプを選択すると、ラインセレクタもそのアンプに繋がることで、ADI-2 DAC FSの接続も切り替えることができるのです。

材料を手配する

購入した部材は以下となります。

  • タカチ電機工業 HIT型小型放熱ケース HIT17-6-18SS
  • 東京測定器材 接点可変型ロータリースイッチ RS300N4-16-3 E30-16-R
  • モガミ電線 Hi-Fiフックアップ・ワイヤー2516 7m
  • ダミーロード用メタルクラッド抵抗 100W4Ω
  • 適当なツマミ、ケース用の脚×4個
  • 適当なスピーカー端子(小さいもの)×16個
  • 適当なRCA端子×8個

ケースは、ダミーロードの放熱を考慮して、放熱ケースのタカチ製HIT型を選択しました。
といっても、アンプセレクタで切り替えた状態では、無音となりますのでそれほど熱を持つことはないのですが、念のため。

心臓部となるロータリースイッチは、東京測定器材(TOSOKU)のRS300を選びました。
RS500というモデルなら入手性が良いのですが、こちらは容量的にラインセレクタなどの用途で、スピーカーセレクタで使うならRS300の方がおすすめです。
今回はダミーロード2系統&アンプ3台の切り替えに、さらにラインセレクタを追加しますので、4段3接点16回路のものを購入しました。
アンプ切り替えに4回路(左右の+と-)、ダミーロード用回路で8回路(アンプ1台につき4回路×2台)、ラインセレクタで4回路(左右の+と-)、合計で16回路になります。
この仕様だと在庫はないので、特注品となります。だいたい納期は1~2ヶ月程度のようです。

スピーカー端子とRCA端子はヤフオクで、ケースはMonotaROで、ロータリースイッチはクラウン無線、ツマミと脚は日本ではちょうど良いものが見つからなかったので、AliExpressで手配しました。

TOSOKUのRS500です。4段の仕様なのでかなり巨大です。
1段あたり3接点の回路が4つありますので、4段で16回路となります。
写真では接点数が1回路あたり5つありますが、これは偶数の回路はショート用なので、実際には1-3-5端子が使用可能です。

回路を考える

アンプが3台、うち2台が真空管アンプのため、
真空管アンプ①選択時→真空管アンプ②はダミーロードへ接続
真空管アンプ②選択時→真空管アンプ①はダミーロードへ接続
デジタルアンプ選択時→真空管アンプ①と②はダミーロードへ接続
という挙動になります。
これをロータリースイッチだけで実現するため、次のような回路にすることにしました。

ダミーロードはアンプ2台×2chの合計4つ必要となります。
また、ダミーロード用の端子で8回路使用します。

組み立てる

部品がすべて届いたので、組み立てます。
まず、メタルクラッド抵抗をヒートシンクへ取り付けます。
続いて前面、背面パネルにドリルで穴を開け、リアパネルには端子を、フロントパネルにはロータリースイッチを取り付けます。

あとは、配線間違えとショートに気をつけつつ、1本ずつ配線していきます。
全部で60本弱の配線が必要なので、ケーブルストリッパーは買っておいた方が良いです。
今回は撚り線を使いましたが、ロータリースイッチの穴にケーブルを通すことを考えると、単芯の方が作業が楽そうに思います。

完成したアンプセレクタ。
ダミーロード用の回路を追加したので急に難易度が上がりましたが、配線さえ間違えなければそれほど難しい作業ではありません。
一番やっかいだったのが、ロータリースイッチにどんどん配線を追加していくと、残りの配線を取り付ける際にハンダごてを入れる隙間がなくなって面倒になりますので、取り付ける順序を考えて作業する必要があります。

正面から見るとこんな感じです。
ツマミは直径30mmのものを使用しました。
もう少し大きいとバランスが良いのですが、この形状のツマミは、これ以上大きなものでアルミ製のものが見つかりませんでした。

後ろ側はこんな感じ。
RCA端子、2つだけロジウムメッキになっていますが、これは入力側が見た目でわかるようにするためです。
放熱ケースなので、側面がヒートシンク状になっており、天板には通気口が開けられています。

早速使ってみる

配線後、念入りにテスターで導通テストを行います。
他の端子とショートしていたら大変なことになりますからね…。特に、ロータリースイッチは配線が入り組んでいますので、はみ出た撚り線が隣とショートしていないか確認します。
また、真空管アンプ用のダミーロードがちゃんと繋がっているかについても、念入りに確認しましょう。

確認後、各機器と接続します。
スピーカーケーブル8本、RCAケーブルも8本を接続しますので、裏側はかなりごちゃごちゃした状態になります。
しかも、曲がりにくいケーブル使ってますからね…。

早速使っていますが、真空管アンプの電源を落とさずに切り替えられるのは便利です。
ソースも同時に切り替わりますので、アンプごとのニュアンスの違いを細かく比較することも可能です。
制作費用は、ロータリースイッチが12,000円くらいなので、その他諸々買って2万円くらいだと思います。
2万円だと既製品も買える金額感ですが、真空管アンプ用のダミーロード付きのものは市販されていませんので、自作が必要となります。
ダミーロード付きのアンプセレクタであれば、真空管アンプの電源をONにしたままの状態でも気軽にセレクタを切り替えてアンプの聴き比べができるので、とても便利です。

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