我が家のダルメシアンがヘルニアで立てなくなってしまったため、歩行器を自作してみました。
目的は歩行というよりも、立っている姿勢を維持することで体幹を鍛え、足への血行を促進することと、食事の際に立っている姿勢を保持できることなので、大きな車輪を付けた車椅子ではなく、立った体勢を維持できるように設計しました。
自作といっても作り方は簡単ですから、同じように犬の介護でお困りの方向けに、作り方を公開してみたいと思います。
サイズですが、22kgのダルメシアン用に作っていますので、犬のサイズに合わせて各パーツを調整してください。
材料
加工が簡単なイレクターパイプを使うことにしました。
なるべく端材を出さないため2mのパイプを2本使っていますが、車に乗らない、配送が大変などであれば、短いものでもOKです。
- イレクターパイプ 2000mm ×2本
- イレクター ジョイント J-5 ×4
- イレクター ジョイント J-118B ×6
- イレクター パイプインナーキャップ J-110A ×2
- イレクター キャスター YGR-50S(ストッパー付き) ×4 ※
- イレクター パイプキャスタースパナ EK-20
- イレクター サンアロー接着剤
- パイプカッター
キャスターについて
キャスターはプラ製のものだと耐久性がなさそうなので、金属キャスターを選びました。
金属といってもゴムタイヤなので、きちんとグリップします。
室内用なので車軸50mmのキャスターにしましたが、段差があるところでの使用の場合は、75mmなどの大型のキャスターのほうが良いかもしれません。
その場合は、車輪が大きくなる分、パイプの長さを短く調整してください。
キャスターの取り付けに、キャスタースパナEK-20が必要となりますので併せて購入しておきましょう。
キャスターにはストッパーのないYGR-50という型番のものもありますが、姿勢を保持したまま食事をしたりする場合、4輪ともストッパーがあった方が姿勢の維持がしやすそうだったので、転倒防止の観点から4輪ともストッパー付きのYGR-50Sにすることをおすすめします。
YGR-50Sは自在車(キャスターの向きが360度回転する)なので、横方向にバランスを崩してしまう犬の場合、歩行訓練に使いづらいこともあります。(保持器ごと横に水平移動してしまう)
その場合は、後輪に固定車のYKR-75を使うと良いと思います。
YKR-75を使う場合は、車輪径が75mmとYGR-50Sよりも大きいため、前輪を同サイズのYGR-75にするか、あるいはYKR-75を取り付ける後輪のパイプを3cm弱短くして水平になるよう調整してください。
パイプを切断してパーツを切り出す
上記のような感じで部材を切り出します。
ダルメシアンのサイズで作成していますので、犬の体高にあわせてパーツの長さを変更してください。
Aのパーツが背中くらいになるようにするといいかと思いますので、Bの長さを調整します。
柴犬だとBの長さが35~40cm程度だとちょうどいいかもしれません。
接着剤で固定する前に、仮組みして高さを確認することをお勧めします。また、Bのパイプはいきなり短くせずに、後から切断して調整できるよう、心持ち長めに作っておくとミスを防ぐことができます。
組み立てる
位置が決まったら、パーツを接着していきます。
先にAとBをジョイントJ-5で固定します。
ジョイントにしっかりとポールを差し込んだ後、サンアロー接着剤をスポイトで吸い取り、隙間に流し込みます。その後横にした状態で固定されるまで数時間放置します。
横に渡すCのパーツは、先にAとBのパーツを接着した状態でジョイントJ-118BをBに通し、ジョイントは接着しない状態でキャスターを取り付けます。
その状態でジョイントJ-118BにCを差し込み(この段階では接着しません)、犬にちょうど良い場所を探り、固定する場所に油性ペンでマークをしておきます。
パーツ取付位置の注意点
上の図で、左側にあるCのパーツは、犬の首の下に位置しますので、取り付ける高さに注意してください。取付位置が高いと、犬が食事をしたり、水を飲むときに頭を下げると、首と干渉して喉が潰れてしまう可能性があります。
逆に高さを低くすると、歩くときに脚に当たって歩きづらい可能性があります。
犬の胸の高さに合わせるのが、良さそうに思いますので、適宜調整して最後に接着するようにしてください。
取り付ける場所が決まったら、残りのパーツをサンアロー接着剤で固定します。
完全に固まるまで24時間はかかりますので、1日放置します。
サンアロー接着剤ですが、多すぎてあふれると付着した部分のパーツが溶けますので、少しずつ隙間にしみこませ、あふれないように注意してください。
接着剤を上手に流し込むコツは、スポイトを押して接着剤を出すとあふれてしまうので、スポイト部分に手を添えるだけにすると、スポイトの中の空気が暖まって膨張し、少しずつ接着剤が滴下しますので、それをそっと接合部分に吸い込ませることです。
また、一気に複数のパーツを接着せずに、パーツごとに分けてジョイントを接着し、完全に接着したら次の工程に進むといいと思います。
犬を乗せる布を作る
犬を保持するのに、布を使います。
バスタオルでも良いのですが、犬によっては重さに耐えられずビリビリになってしまうので(下の写真がその状態…)、カーテン生地などしっかりした生地がおすすめです。
作り方です。
1,生地を縫って筒状にする
長めの生地を2つに折り、点線の部分をミシンで縫います。
生地の長さですが、歩行器に通しますので、歩行器の幅を倍にした長さよりも、少し長めのサイズが必要です。
使用する生地ですが、タオルだと強度的に不安だったので、カーテンの切れ端を使ったら強度もあり、裂けることがなかったのでオススメです。
2,足を通す部分に切り込みを入れる
縫って筒状にした布を裏返しにします。
次に、点線の×の部分に切り込みをいれます。
ここに脚を入れて、姿勢を保持できるようにします。
3,保持器に通して、脚を入れる
図では歩行器に通すところを省いてますが…。
布の筒になっている部分に歩行器の首側から部品を通し、上面に布をもっていきます。
このとき、切り込みを入れた部分が、上に来るようにして下さい。
切り込みに犬の脚を入れて、歩行器に載せます。
切り込みですが、布の上下両方に入れてしまうと、犬の脚を通す時に面倒ですので、個人的には上だけに切り込みをいれるのがおすすめです。
布を使うメリットは、オシッコをしてもすぐに洗えることと、バスタオルなどであれば使い古したものがたくさんあるので、汚くなったり裂けたりしたらすぐに捨てられるという点です。
使い方と注意点
歩行器を使うことで、足の弱った犬でも自立の体勢を保持できるので、体幹を鍛えるリハビリに使えると思います。
また、ご飯を立った状態で食べられますし、背骨のマッサージなどもしやすくていい感じです。
リハビリは運動になるので疲れる&動けてストレス発散になるのか、歩行器を使ったリハビリをする前に比べて、夜の無駄吠えが少なくなり、熟睡するようになりました。
この歩行器というか体勢保持器ですが、素人が作っているものですので、必ずしも医学的に薦められるものかどうかは不明です。
作られる際は自己責任にてお願いいたします。
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