シルクのように滑らかなTTC Gold Pinkキースイッチ レビュー(37g リニア、Cherry MX互換軸)

5.0
PC周辺機器

FEKERのHoly PandaやZealPCのTealio V2などメジャーどころのキースイッチを買ったついでに、同梱包装になるなら一緒になにか軽そうなキーも買っておくか…程度のきっかけで購入したTTCのGold Pinkキー。
使ってみたところこれが予想外に素晴らしく、個人的な好みで言うとTealio V2よりも好印象。
そしてTealio V2よりかなり安価!ということで、今のところ一番オススメのリニアタイプのキースイッチでもあります。

TTC Gold Pinkキースイッチ 外観

TTC Gold Pinkキースイッチ

TTC Gold Pinkキースイッチですが、名前の通り、軸はピンク(メーカー曰くガーリーピンク)で下ハウジングが黄緑(ゴールド?)となります。
パステルカラー的な色使いで、キーを設置するとかなり可愛い、ガーリーな感じで黒いキーボードだとかなりのギャップです…。といってもキーキャップをすれば軸の色は見えないので気になりませんが。

TTC Gold Pinkスイッチを分解してみる

分解して細部を見ていきたいと思います。

ステムは上部までガイドが伸びている形状

まずは、ピンク色が可愛いステムから。
【】形状のガイドが上まで延びている形状になっており、キー押下時でもぐらつきが少ないタイプとなっています。上から見ると、【+】という形状になります。
スイッチと接触する部分はリニアキーなのでまっすぐな形状になっており、凹凸はありません。

ガイド付きのステムのメリットは、キーを押し下げた状態でもぐらつきがとても少ないという点です。キーを押し下げた状態を長時間保持することはゲーム用途とかに限られそうなため、メリットに感じる機会も少なそうですが、ガイドがない他のキースイッチと比べると、押し下げ時のぐらつきのなさは圧倒的です。

ステムの材質はPOMで、摩擦係数が低くスムーズなストロークに一役買っていると思われます。

ファクトリールブされたスプリング

スプリングは金メッキされており、37gと軽いものが採用されています。
比較的長めのスプリングで、柔らかさもあって押し下げ時の挙動はとてもスムーズです。
特長としては工場出荷時に潤滑(ルブ)されていることで、上の写真はスプリングを机の上に置いてみた状態ですが、このように潤滑剤が塗布されているのがわかります。
ルブは全体ではなく、下ハウジングに接する部分に主に塗布されているようです。

SMDのみ利用可能な上ハウジング

上ハウジングはLEDの光を綺麗に透過するように、クリアーになっています。
LED部分がクリアーなプラスチックで覆われているため、SMDタイプのLEDのみ使用可能(3mmの砲弾タイプLEDは使用不可)な点は注意が必要です。
材質はポリカーボネートで、かなりの堅さがあります。ステムが通る穴の精度も高く、キーがぐらつくことはありません。

プレートマウント3ピン仕様

下ハウジングはプレートマウントに対応した3ピン仕様となっています。
3ピンですが、5ピン用のPCBマウントのケースに取り付けてもぐらつかずに使用できました。
キーボードのケース側の精度によると思いますが、PCBマウントでも利用可能だと思います。

下ハウジングの材質はナイロンで、素材自体が低摩擦な上にファクトリールブされていることもあって、とてもシルキーなキーストロークを実現しています。

特徴としては、ステムが下ハウジングと接触する裏の部分(上の写真で、ステムの軸カバーの凹凸の左右)に、 】【 形状の出っ張りがあります。
おそらくですが、プレートマウントの際に、基板にこの 】【 形状の突起が接触することで、明確な底付き感を演出しているものと思われます。
普通のキースイッチは、スイッチの四隅に小さい出っ張りがあるだけで、ステム直下の部分は基板に接していない形状のものが多いです。

シルキーというか、バターのように滑らかなストローク感

Maestro 2Sに取り付けて使っていますが、シルクのような、というか室温に戻したバターにナイフをそっと差し込むというか、とにかくそのストロークのしなやかさは素晴らしいです。
37gと軽いキーなので、指を乗せるとスッとキーが入力されて、明確な底付き感に至ります。
途中、指にかかる荷重が変わることもなく、本当に「これがリニアなのね」というスムーズさでキーが最後までストン、と入ります。

ストロークはとてもしなやかですが、底打ち時の音はそれなりに大きく、主張があるタイプです。
といっても、硬質なサウンドなので「キーを打っている」感が明確で、個人的には好ましい音です。
ルブされていますが、潤滑剤でグチャッとした感触は皆無です。

押下圧については、データシートがありましたので、以下にリンクを貼っておきます。
TTC Gold Pink Switch

グラフで見るとこんな感じです。
押下圧30g付近からキーが沈み始め、ボトムでも45gと軽いキータッチなのが見てわかります。
動作圧は37gで、50gなどのCherryキースイッチと比べても、明らかに軽いのがわかります。

工場でルブされており、十分なスムーズさ

決して高価ではないキースイッチですが、工場出荷時にルブされているのも魅力です。
自力でルブしようとすると、潤滑剤や分解用の工具、手間などを考えるとかなり大変です。
試しに、いくつかのスイッチにKrytox GPL 105を使ってルブして比較してみましたが、スプリングが軽いこともあって、かえってキーストロークが重たく感じるようになってしまいました。
37gのスプリングだと、Krytox GPL 105は粘度が高すぎるようです。
TTC Gold Pinkの良さを生かすのであれば、そのまま使う方が良さそうに感じました。

評価

軽めのリニア軸でオススメは?と言われたら、今のところ間違いなくオススメなのがこのTTC Gold Pinkでしょうか。
POMステムにハウジングはポリカーボネートとナイロンという王道の組み合わせで、ストローク時のスムーズさ、ぐらつきのなさはトップクラスです。
そして、メカニカルスイッチ独特の底打ち感、タイピング音もしっかり感じられます。

試しに、Tealio V2にKrytox GPL 105でルブを行い、40gのスプリングを組み込んでみたキーボードを用意し比較してみました。
ルブした分動作音が減り、ストロークに若干の重さが増えてしまったこともありますが、TTC Pink Goldの軽さ、明快さには及ばない結果となりました。
ただ、しっとりとしたストロークになったTealio V2 40gスプリング仕様は高級感があって、これはこれで良いキーボードという印象です。

スイッチの入手についてですが、遊舎工房では売り切れてしまっているようで、Amazonでも売られていますが配送が3~5週間と非常に時間がかかる(おそらく中国からの発送)のがデメリットな感じです。
個人的には、AliExpressあるいはBanggoodからの個人輸入をオススメします。価格的にはAliExpressの方が安いです。
数回AliExpressから購入していますが、早いと10日程度、遅くても18日程度で届きます。

TTCのGold Pink軸、一度使ってしまうとCherry MX 赤軸には戻れません。
是非、皆さんにも体験して欲しい軸だと思います、これ。
というわけで★5つ。

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