Cherry MX互換キースイッチ20種比較レビュー(Holy Panda,Tealios V2,Glorious Panda,Gold Pink他)

PC周辺機器

愛用しているキーボードのMaestro 2Sですが、気分転換を兼ねて、いくつかのCherry MX互換スイッチを購入・交換して使用感をテストしてみました。
実際にキーボードに組み込んで試してみた・購入したスイッチは以下の通りです。
Kailh BOXシリーズは、キースイッチテスターを購入したもののため、実際にキーを取り付けての打鍵感を試せていません。このため、参考とさせていただきました。

  1. Cherry MX 赤軸(リニア 45g)
  2. Cherry MX 赤軸(リニア 45g)+静音リング
  3. Cherry MX 黒軸(リニア 61.2g)
  4. Cherry MX 静音赤軸(リニア 45g)
  5. Cherry MX 茶軸(タクタイル 50g)
  6. Cherry MX クリア軸(タクタイル 65g)
  7. FEKER HolyPanda(タクタイル 67g)★オススメ
  8. FEKER Emerald(タクタイル 50g)
  9. Zeal Tealios V2(リニア 67g)★オススメ
  10. Glorious Panda(タクタイル 67g)
  11. TTC Gold Pink(リニア 37g)★オススメ
  12. Kailh BOX 赤軸(リニア 45g)【参考】
  13. Kailh BOX 黒軸(リニア 60g)【参考】
  14. Kailh BOX Dark Yellow軸(リニア 75g)【参考】
  15. Kailh BOX 茶軸(タクタイル 45g)【参考】
  16. Kailh BOX Burnt Orange軸(タクタイル 70g)【参考】
  17. Kailh BOX 白軸(クリッキー 45g)【参考】
  18. Kailh BOX 翡翠軸(クリッキー 50g)【参考】
  19. Kailh BOX ネイビー軸(クリッキー 60g)【参考】
  20. Kailh BOX Pale Blue軸(クリッキー 70g)【参考】

それぞれのキースイッチの特徴について、軽く紹介していきたいと思います。
なお、評価は個人の主観になりますので、人によって感じ方は異なります。ですので、あくまでも参考までにどうぞ…。
その評価軸で最高のものを5とした相対評価としています。また、出荷時のスイッチの特性を重要視するため、ルブ(潤滑剤塗布)は行っていません。

Amazonで取扱があるものは、Amazonのリンクをはっておきますが、価格が高いので遊舎工房TALPKEYBOARDで買われたほうが良いと思います。

キースイッチの評価軸について

キースイッチの特徴について、以下の6つの軸で評価しています。

底付き感
キーを叩いたときに、ステムと呼ばれる軸となる部品が、キースイッチの底(下ハウジング)に当たったときの感覚です。
好みは、コツン、コツンと硬質な音がして、ピタッとキーが底に打ち付けられて止まること。
フニャッとした感覚は好みでは無いし、メカニカルスイッチである理由がありません…。
静音キーは音を消すために、ステムの下に柔らかい素材が使われていますので、音は少なくなりますが、底付き感は薄くなります。

騒音(静:5)
明確な底付き感があり、気持ちいいスイッチは、反面騒音も大きめになります。
硬質なパーツ同士がぶつかり合ってピタッと止まるので、どうしようもないところでは有るのですが…。
打鍵音は、下ハウジングやステムの素材などによって音質はだいぶ違ってきます。大理石の上を歩くような高めの音や、湿った感じの音など、様々です。
数字が大きいほど、静かに感じるスイッチで、周囲に迷惑にならないと思います。

ぐらつき(小:5)
ステム(軸)のぐらつきの指標で、数値が大きいほどぐらつきが少ないことを示しています。
ぐらつきがないということは、キーの端の部分を押しても正確にキー入力が出来る、というメリットもあります。
ぐらつきが大きいと、キーの角を打ったときとか、力が大きくないと引っかかったりします。
また、ぐらつきが少ないキースイッチは、指先が触れていてもキーキャップがぐらぐらと動かず、高級感があって気持ちよいです。

高級感
キーを押したときのスムーズさ、打鍵音、フィーリングなどの複数の要素から、高級感を判断しています。高級さ=気持ちよさ、みたいなところもあると思います。
あと見た目とか。(キャップに隠れて見えないけど)

楽しさ
キーを打っていて、楽しいと感じるかどうか、という点です。完全に主観での判断になります。
サクサクと気持ちよく打てるキーボードって、打っていて楽しいですからね。
長文を打つのが楽しくなるようなキーボードが理想です。

軽さ(体感)
キーの荷重(g)です。評価の数値が大きい=軽いキーです。
ただ、キーの荷重ってスペックだけではわからないこともあり、実際に使ってみると同じ荷重でもだいぶフィーリングが違ってきたりします。
ここでは、体感での入力の軽さを比較してみました。

Cherry MX 赤軸(リニア 45g)

Cherry MX 赤軸

オススメ度:★★★☆☆

言わずと知れた、高級メカニカルキーボードで採用されているCherryのスイッチ。
リニアでかつ45gと軽量な、一番スタンダードとも言える軸だと思います。
メカニカルキーボードでおすすめは?と言われたら、無難に勧められるのがこの赤軸でしょう。
Cherryのキースイッチの最大のメリットは、なんといっても市販キーボードが多いことでしょう。
ここで紹介しているCherry以外のキースイッチは、スイッチ単品で購入して交換する必要がありますが、Cherryのキースイッチを採用した製品は数多くありますので、入手がとても楽です。

Cherry MX 赤軸評価

メカニカルスイッチならではの明確な底付き感があり、評価を5としました。
赤軸は騒音こそ大きいですが、ピタッと止まるキーは気持ちいいです。
反面、騒音は大きめなので、職場とかだとタイピング音が周りから気になるかもしれません。

ぐらつきは、Cherry MX全般に言えることですが、比較的大きめです。
このため、あまり高級感もない感じですが、市販されているメカニカルキーボードのスイッチとしては、入手しやすく、かつ高品位なものとしてはCherryは間違いなくおすすめです。

45gという荷重は軽く、長時間使っていても疲れません。
反面、押し間違いも他の重ためのキーと比べると、発生しがちな気がします。

Cherry MX 赤軸(リニア45g)+静音化リング

静音化リング

オススメ度:★☆☆☆☆

Cherryのキーの打鍵音を静音化させるアイテムとして、シリコンリングがあります。
キーの軸受けに取り付けることで、キーを押し下げた際に、ステムが下ハウジングの底に当たる前に、シリコンリングがキーの上ハウリングと当たることでステムが下ハウジングに衝突する力を弱め(あるいは当たらないようにして)、動作音を少なくすることができます。

動作音はかなり少なくなりますが、シリコンリングのぐにゃっとした感覚になり、キーがピタッと止まる底付き感は台無しになります。
打鍵感で言うと、メカニカルキーボードがメンブレン化する、といった感じです。

静音リングによって大幅に打鍵音は静かになるものの、ぐにゃっとした底付き感がメカニカルキーボードの良さを台無しにしており、高級感はほぼゼロといった感じです。
これなら、高級なメンブレンスイッチ、あるいはRealForceのようなキーボードを買った方が良さそうにも思います。
よって、楽しさも1の評価としました。

赤軸、黒軸、茶軸などのキーボードを買ったけど、思った以上にうるさくて静音化したい…という場合には良いと思いますが、可能であればスイッチごと交換することをお勧めします。
なお、青軸は動作点に達するとステムに取り付けられた別のパーツがスライドして音がなりますので、シリコンリングを付けても静音の効果は無さそうです。

Cherry MX 黒軸(リニア 61.2g)

Cherry MX 黒軸

オススメ度:★★☆☆☆

Cherryのリニア軸で一番荷重が高い61.2gのキースイッチです。
使った印象はCherry MX 赤軸とほぼ同一で、荷重が重くなった分、キー入力が重たくなります。
他は赤軸と変わらない印象ですね。
ぐらつきも大きめ、そこそこの騒音というキーです。

Cherry MX 黒軸評価

ほぼ赤軸と同じ、ということで評価もほぼ同じです。
キー荷重が重たくなっているので、タイプミスは赤軸より減るように思います。

重たいキーが好きな方にはおすすめ…と言いたいところですが、60g台のスイッチはそれこそ様々なメーカーから特徴のある製品がリリースされており、群雄割拠の状態なので、キースイッチを交換する用途として黒軸を選ぶメリットってあまり無いかなぁ…という印象です。

Cherry MX 静音赤軸(リニア 45g)

Cherry MX 静音赤軸(ピンク軸)

オススメ度:★★★☆☆

日本では一番人気と思われる、Cherry MXの静音赤軸。
赤軸と同じリニア 45gの軸ですが、軸の下部、ケースと接触する部分が柔らかめの素材となっており、赤軸に比べて30%の騒音削減を達成しています。
実際に使ってみると、キーの打鍵音は赤軸と比較するとかなり押さえられていますが、どうしてもグニュッとした感触は残ります。

キーのぐらつきなどは他のCherryスイッチとほぼ同一です。

Cherry MX 静音赤軸(ピンク軸)評価

騒音は少ないものの、軸の底に柔らかい素材が使われているので、どうしても底付き感は赤軸よりも劣ります。
とはいえ、静音リングを入れた赤軸よりは遙かに好印象ですので、職場などでキーのタイピング音が気になる環境であれば、静音赤軸がおすすめと言えます。

MX互換キースイッチで静音タイプもリリースされていますが、手軽に試せる場所が無いのでなかなか比較・購入が難しいところです。
その点、Cherryスイッチを採用した製品は多くで回っているので、比較しやすいのがありがたいです。

また、キースイッチ交換を前提と考えた場合、静音赤軸は人気があるため中古で売りやすいというメリットもあります。
中古市場のことを考えると、赤軸はあえてCherryのキースイッチを単品で購入するまでもなく、青軸は癖が強いので交換する人も少ない…という感じで、赤軸・青軸は人気がありません。
ですので、キー交換して売却することを前提の場合は、静音赤軸がオススメな気がします。

Cherry MX 茶軸(タクタイル 50g)

スススメ度:★★☆☆☆

Cherry製のタクタイルスイッチである、茶軸。
赤軸と人気を二分するキースイッチのように思います。メカニカル感が強いキーが好きなら、赤軸よりも茶軸の方がオススメだと思います。
Cherry製だけあって、採用製品が多いのも良いところ。

さて、そんな茶軸の打鍵感はというと…ダメだ、他の優秀なタクタイル軸になれてしまったこともあって、まったく楽しさが感じられません…。
音はCherryのそれで赤軸とあんまり変わりはありません。ぐらつきも一緒で割と多め。
使ってみて正直微妙だと感じたのが、なんか眠たいというか、明確では無い、いまいちはっきりしないタクタイル感。
弱めのタクタイル感といえばそれまでなのですが、Holy Pandaを使ってしまうとかなりチープに感じます。
茶軸をタクタイルキーと思っている人は、ぜひHoly Pandaとか使ってみて欲しいところです。世界が違いますので…。

茶軸の特長を生かすのであれば、重ためのキーキャップは必須かもしれません。
最初に試したのがCenturyのBlack Queenなのですが、このキーキャップはペラペラでキーを叩いたときの感覚がかなりチープです。
リニアであればそのままスッと入るのですが、タクタイルの場合は動作点を過ぎると一気にスコッとキーが沈むのですが、キーがペラペラすぎて感覚がふにゃふにゃな感じです。
キーキャップをArchissのものに交換したところ、少し締まりが良くなりましたので、キーキャップを選べるのであれば、厚めの重たい、しっかりしたものを選びましょう。

Cherry MX クリア軸(タクタイル 65g)

オススメ度:★★☆☆☆

こちらは、茶軸重たくした(50g→65g)Cherryのタクタイルスイッチ。
65gという荷重は、Holy PandaやTealios V2と同程度(67g)なのですが、同じタクタイルスイッチのHoly Pandaと比べるとキーを押したときの感覚は全く異なります。
Holy Pandaは硬質なタクタイル感があって、サクッとキーが沈み込むので打っていて楽しいと思える感覚なのですが、クリア軸は茶軸と同様、なんか眠たいというか、もっさりした印象が拭えません。

Holy Pandaは少し独特かもしれませんが、FEKER Emeraldと比べてもタクタイル感は弱めで、互換軸の良さを知ってしまうと物足りない印象があります。
ただ、癖が強くない=好き嫌いがそこまで明確に分かれない、という気もしますので、あえて尖りすぎていない仕上げにしているのかもしれません。

打鍵感はほぼ茶軸と同じで、違いと言えばスプリングの硬さくらいでしょうか。
試しに、茶軸のスプリングをクリア軸に入れてみたところ、動作感はまったく変わらずでしたので、単純にスプリングの違いのような気がします。

FEKER Holy Panda(タクタイル 67g)

FEKER Holy Panda

オススメ度:★★★★★

Cherry MXスイッチの互換スイッチとして有名な、Holy Panda。
複数のメーカーから発売されているようですが、入手しやすく、Holy Pandaシリーズではお求めやすい価格のFEKERのものを購入してみました。

キーは重めの67gですが、動作点を過ぎるとサクッと入力できるタクタイルキーなので、そこまで重たく感じません。
タクタイルキーですが、どうもリニアっぽいというか、独特の印象を受けます。
スッとキーが下がり、明確なタクタイル感のあと、コツンと硬質なものに軸が受け止められた印象で、ピタッとキーが止まります。
軸のガタつきも少なめで、打っていて楽しいスイッチだと思います。おすすめのスイッチです。

FEKER Holy Panda軸評価

底付き感は明確で、軸のぐらつきもTealios V2ほどではありませんが優秀で、キーをなぞるだけでも高級感が伝わります。
Holy Pandaはいくつかのメーカーから販売されていますが、FEKERのものは比較的購入しやすい価格なのもメリットです。

なによりも、上品なタクタイル感とサクッと決まるキーの押し下げ感がなんとも言えず、人気が出るのがわかるキースイッチだと思います。
リニア軸と違い、タクタイル軸は途中から軽くなりスコッとキーが入りますので、同じ荷重でもリニアよりも軽く感じます。
67gと重ためのキーではありますが、使っていて疲れることも無く、楽しくタイピング出来るという点ではとても良い製品だと思います。

FEKER Emerald(タクタイル 50g)

FEKER Emerald

オススメ度:★★★☆☆

エメラルドグリーンのケースが映える、タクタイルスイッチ。
LEDで光るキーボードに似合いそうです。

このスイッチ、キーの打鍵音が低めで、Cherry MXに比べても明らかに音が目立ちません。
これなら職場とかで使っても問題無さそうかもしれません。

FEKER Emerald軸評価

上品さ、気持ちよさという点で言うと、スイッチの動作点に押し下げる間に、どうもゴロゴロという感触が残るというか、遊びが多い気がしていて、Holy Pandaと比べると高級感はありません。
ただ、Holy Pandaと比べるとEmeraldは荷重が50gと、入力していても明らかに軽いのがわかりますので、比較的軽めのタクタイルスイッチを探している場合は、候補に入れても良いと思います。

ぐらつきについては、Cherry MXシリーズよりは少しマシなものの、Holy Pandaには勝てないようです。

タクタイル感はHoly Pandaよりも明確で、キー押し下げ時にしっかりとした反応が伝わります。
でも、なんとなく安っぽい感じがするんですよね、この感覚…。
個人的にはHoly Pandaの方がおすすめです。

1点注意なのがストロークが3.3mmと、Cherry MXなどの4mmと比べて浅いこと。
4mm用のスタビライザーの場合、0.7mm遊びが出てしまうので、スペースキーなどは端を叩くとキートップがズレることがあります。
4mmのストロークのキーと交換する場合は、スタビライザーもあわせて交換したほうが良いでしょう。

Zeal Tealios V2(リニア 67g)

Zeal PC Tealios V2

オススメ度:★★★★★

1つ120円前後もするリニア軸の高級品で、値段的にはCherry MXスイッチよりも高価です。
特筆すべきは軸のスムーズさ、ガタつきのなさで、特にガタつきのなさについては今まで使ったスイッチの中でもダントツに良いです。

また、キーを入力する際の感触がとてもシルキーというか、スッと入ってスッと戻る、といった挙動を示すので、とても高級感があります。
少し重ための67gのスイッチですが、同様の負荷であるHoly Pandaよりも重たく感じます。

Zeal Tealios V2軸評価

今、この文章もTealios V2を使って入力していますが、サクサクと決まる打鍵感、全く引っかかりも無くスムーズにストロークする軸の挙動、ほぼブレがない軸のガタつきの無さが相まって、とても高級感があり、サクサクとキーが打てます。

ただし、Cherryの赤軸と比べるとやはり40g→67gは明らかに重たくなっていますので、最初の頃は少し疲れる印象を受けるかと思います。
Cherry MX 赤軸はなぞるようなタイピングでも入力できますが、67gのTealios v2は指でしっかりと打ち付ける必要がありますので、タイピングスタイルを変えると疲れも減ってくると思います。

Holy Pandaと比べると、荷重は同じもののリニア軸ということもあってか、キーを最後まで押し込む力が最後の方はかなり重たく感じます。
タクタイルのHoly Pandaは動作点を超えると、スッとキーが下がる感触があるので、見た目の荷重よりも重たく感じません。

少し重たく感じるので、荷重50gのスプリングに交換してみました。
交換ついでに、スプリングはKrytox GPL104で、ステムの接触部分をKrytox 205G0でルブしてみました。

結果ですが、ルブしたことでキーストロークの際のスムーズさが向上しました。といっても、もともとスムーズなスイッチですので劇的な変化ではありません。
粘度が高い205 G0を使ったこともあると思いますが、キー押下時の挙動については、ルブされたことでしっとりとした感じになり、高級感が増した感じです。

また、大きな違いとなったのは、ステム下部にルブが付着したことで、打鍵音が幾分かマイルドになったことでしょうか。
静音赤軸、とまではいきませんが、甲高い打鍵音は大分控えめになりました。
これくらいの打鍵音であれば、会社など人が多めのところで使ってもあまり気にならないように感じます。

キー荷重については、67g→50gに変えたことで明確に軽くなりました。
67gの時は最下部まで押し込むとかなり強い力が必要でしたが、50gであれば軽いタッチでも最下部までキーが沈みますので、長時間使うにはこちらの方が適しているように思います。
個人的には、50g程度のスプリングに交換して使う方が好みでした。

Glorious Panda(タクタイル 67g)

オススメ度:★☆☆☆☆

アメリカのゲーム周辺機器ブランド「Glorious」が販売しているキースイッチで、名前にPandaが入っている通り、Holy Pandaと同系統のタクタイル、67gのキースイッチとなります。
日本製のPOM(ポリアセタール)を使用したステム(軸)、下ハウジングはPA66ナイロン製でリーフ(端子)は日本製、上ハウジングはポリカーボネート製でInvry Holy Pandaのものと同等品(ただし刻印がGLORIOUSになっている)という、部品にこだわったスイッチです。

品質がよさそうだったので買ってみましたが、大誤算でした…

ファンクションキーはHoly Panda、アルファベット部分がGlorious Pandaになります。
聞いてわかるように、キーキャップが上ハウジングと擦れる?ような、シャリシャリとした音と感覚がかなり目立つので、キーを打っていて楽しくありません。
どうも感触としては、キーキャップの軸部分が、押下時に上ハウジングと擦れているような印象を受けます。

Glorious Panda
Holy Panda

そこで、上ハウジングにある、ステムが通る穴のサイズを測ってみました。計測箇所はキートップ側の軸が通る、一番広くなっている場所となります。
Holy Pandaは3.20mmですが、Glorious Pandaは3.14mmと0.06mmの差があります。
これが原因かどうかはわかりませんが、もしかするとArchissのMaestro 2sのキーキャップとの相性が良くないのかもしれません。

Glorious Panda軸評価

キーを叩くとシャリシャリと擦れる音が大きく、指先にもざらざらとした感覚として残ります。
うーん、楽しくない…
ということでMaestro 2Sとは相性が悪かったみたいなので、辛口評価となってしまいました。
出来れば別のメーカーのキーキャップで試してみたいところですが、もう1台ある別のキーボードもArchissのもので同様だったので、別メーカーの方が良さそう。
別メーカーのキーボードを入手出来れば試してみたいと思います。

…ということで、CenturyのBlack Queenを購入したので早速キーを交換してみました。
結果から言うと、やはりArchissのキーキャップ固有の問題だったようで、Black Queenのキーキャップではそこまで軸が擦れる音と感覚は感じません。

ただ、キーキャップがかなりしょぼい作りで軽いため、打鍵感が少しチープなのと、キーが戻ったときに跳ねるような感覚と甲高い音があるので、やはりスイッチとしての質はFeker Holy Pandaの方が上質に感じます。

TTC Gold Pink(リニア 37g)

オススメ度:★★★★★

とにかく軽いキーを探している方におすすめなのが、TTCのGold Pink軸。
このキー、なんと押下圧が37gしかありません。Cherry MX赤軸の45gと比べても軽さは明らかで、キーの上に指を置くと誤って入力してしまうのでは?という錯覚を受けます。
速記用では15g(!)なんてバネもあるらしいですが、実用とするなら、37gあたりが限界のような気がします。

TTC Pink Gold軸評価

TTC Gold Pinkですが、思ったよりも好印象です。
まず、ステムがいまどきのガイド付きなので、押下時であってもキートップがぐらつきません。
キーを押していない状態でも、ぐらつきの少なさはTealios V2と同程度か、比べると若干ぐらつきが大きいと感じる程度で、ぐらつきが少ないのが良いところです。

また、キーの押下圧が37gと軽いので、ものすごくサクサク打てますし、打鍵感は滑らかでシルキーな印象を受けます。この打鍵感どこかで覚えがあるような…と思ったら、東プレのRealForceや、メンブレンの最高峰といわれるFKB-311に近い打鍵感です。
しかも、メカニカルスイッチのメリットである、明確な底付き感もありますので、これは良いスイッチです。

海外のサイトを見ていたところ、「まるでバターのようなストローク」という表現があったのですが、確かに、このヌルッ、スルッという滑らかな感触は、柔らかいバターのようでもあります。
分解してみて解ったのですが、このスイッチ、工場で潤滑(ルブ)処理されているんですね。
軸ぶれもない高精度、ファクトリールブ済み、そして比較的安価な価格設定…オススメですわ。

唯一の欠点…とまではいいませんが、マイナス点を強いて挙げるとすれば、リニアでとにかく軽いので、キーの入力は楽なのですが、Holy Pandaのような「楽しさ」があるかというと、そこはどうしても弱いところがネックでしょうか…。
といっても、仕事でキーを打ちまくる人には最もお勧めなのは、このGold Pink軸かもしれません。

Maestro 2Sは省スペースルにするために一部独自配列となっており、NumLockキーの上にDeleteがあります。時々間違ってNum Lockキーを押してしまうことがあるため、Num LockキーはCherry MX黒軸にしています。
軽いキーなので、Num LockやWindowsキーなど、間違って押すと厄介なキーには荷重が重たいものを使った方が良いかもしれません。

Gold Pink軸を取り付けた、Maestro 2S。
ステム(ピンク色の軸のパーツ)がの脇に、【】形状のガイドが付いているのが解ります。
これがあるおかげで、キー押し下げ時でもキーがぐらつかず、とてもシルキーな打鍵感を生んでいます。
しかし、蛍光黄緑+ピンクの組み合わせって、なんていうかガーリーというか…。まあ、軸は見えなくなるから良いんですが。

Amazonでも販売はありますが、配送日数も3週間と、中国からの発送だと思われます。
ですので、圧倒的に遊舎工房で買われた方が良いと思います。

Kailh BOXシリーズ 9種

KailhのBOXシリーズのテスターを購入してみました。
テスターといっても、実際のスイッチを1つずつ、9種類セットされたものですので、キー自体は通常売られているものと同一になります。
キー単体でのテストとなりますので、評価は行っていません。

Kailh BOX 赤軸(リニア 45g)

Cherry MXの赤軸相当の軸です。
打鍵感も似たような感じですが、軸のぐらつきはKailhの方が良好です。
リニア軸は全般的にこれといった際だった特徴は無い印象です。

Kailh BOX 黒軸(リニア 60g)

Cherry MXの黒軸相当の軸です。
こちらも評価としては赤軸同様といったところ。
特筆すべき点は特に無いかなぁ…。

Kailh BOX Dark Yellow軸(リニア 75g)

75gとかなり重ためのリニア軸。
純粋に重たい、というだけで、これといった特長はなさげです…。
誤入力防止用に使うキーとしては有りかも。

Kailh BOX 茶軸(タクタイル 45g)

Kailthのタクタイルってタクタイル感が弱く、Cherry MXの茶軸に近いイメージがあります。
Holy PandaやFEKER Emeraldのような明確なタクタイル感とは異なりますので、Holy Pandaを使ったあとだと、あれ、これタクタイル?という印象です。
タクタイル好きだぜ~!という方には物足りないかも。

Kailh BOX Burnt Orange軸(タクタイル 70g)

70gに重たくなった、タクタイル軸。
こちらもタクタイル感弱め。キーの重たさはDark Yellow軸の方が重たく感じます。タクタイル故か。

Kailh BOX 白軸(クリッキー 45g)

Kailh BOXで変わっているのが、このクリッキーといわれるモデル。

キーを分解してみたのが上の写真なのですが、スプリングの手前に、寝ているP形状のレバー(クリックバー)が確認出来るでしょうか。
これがクリック感とクリック音を生んでいるレバーで、ステムにある出っ張りがこのクリックバーを弾くことで、カチッ、カチッとしたクリック音を発生します。
クリック音はかなり大きく、マウスのメカニカルスイッチよりも目立つ音で、かなり特徴的なキーでもあります。

ほぼリニアに近い特性ですが、動作点では10g程度の負荷が抜けますので、弱めのタクタイル感は感じます。
そして、そのタイミングでカチッと大きな動作音がします。
メカメカしいキーではありますが、動作音はかなり目立つので、職場とかでは使わない方が良いかと思います…。

押下圧が約45g±10gfに対し、動作圧が約55g±10gfとなっていますので、キーの動作点を過ぎるとスッとキーが下がる感覚が残ります。
割と軽めのキーです。

Kailh BOX Jade(翡翠)軸(クリッキー 50g)

白軸と比べると5gしか変わらないのですが、クリックバーが白軸よりも太いものになっているため、クリック感が強く、クリック音も大きくなっています。
クリックバーが太いため、押下圧が約50g±15gfに対し、動作圧は約75g±15gfと25gのギャップがあり、カチッというクリックバーの動作音とともに一気にキーがボトムまで沈み込む、独特の感覚を持つキーです。

Kailh BOX ネイビー軸(クリッキー 60g)

こちらはJade(翡翠)軸をさらに重くした版となり、押下圧の約65g±15gfに対し動作圧は約95g±15gfと、30gのギャップがあります。
特大のクリック音、強めのクリック感はJade軸と変わらず、そのまま重たくなった印象です。
これを常用するには、かなり強めにキーを叩く必要がありそうです…。

Kailh BOX Pale Blue軸(クリッキー 70g)

白軸の70g版、といったところで、上の2つと比べると細めのクリックバーで音もカチッカチッというよりチカチカ、といった感じです。
メカメカしいキーの動作音を好まれる方に。

スイッチを交換するとキーボードは生まれ変わる

当たり前といえば当たり前ですが、スイッチを交換すると、まったくの別物のキーボードになります。
赤軸を買ったけどもっと静かなものにしておけばよかった…とか、リニア軸には飽きたのでタクタイル感があるキーボードに買い換えたい、といったような場合、スイッチをDIYで交換してしまうのもありです。

スイッチをDIYで交換する最大のメリットは、市販のキーボードでは採用されていない、マニアックなスイッチを選択できる点です。
ここで取り上げたキースイッチのうち、Cherry MX以外のスイッチはPCショップなどで一般的に販売されているキーボードでは採用されておらず、DIYで交換しないと使えないものばかりです。

ハードルは比較的高めなスイッチ交換ですが、しかし、そういった方法でしか使えないスイッチにはCherry MXでは得られない打鍵感やスムーズさなどがあり、どれも個性があって楽しいです。
上記のうちおすすめは、タクタイル感がやみつきになるHoly Panda、あるいはリニア軸であればTealios V2、疲れにくく軽いキーであればGold Pinkが特におすすめで、Cherry MXとは全く違った感覚が楽しめます。

キーの交換に必要な工具や方法については下記で説明していますので、ご参照ください。
Cherry卒業!FEKERの人気軸、Holy PandaとEmeraldを試してみる

100%主観と個人的な好みですが、オススメのキースイッチをまとめたいと思います。

キー入力が楽しくなるのは、FEKER Holy Panda

心地よいタクタイル感、スッとキーが入ってストンと決まる感じはなんとも絶妙。
キーのぐらつきも少なく、Cherryの茶軸よりも遙かに楽しいキースイッチです。
このキースイッチを採用したキーボード、市販されればいいのに…とか思います。
Cherry MXの茶軸のフィーリングに不満足な方、あるいはリニアキーに飽きてしまった方とかにオススメです。

仕事で使うならTTC Gold Pink

リニア軸で37gと軽い、TTC Gold Pinkキー。キータッチも軽く、動作もスムーズでとてもシルキーなキースイッチです。
押下圧が軽いので長い時間キーを入力していても疲れません。
少し音が大きめですが、キーが軽いので力を入れて叩かなければそこまでうるさくないキースイッチだと思います。
リニアで心地よいキースイッチを探している方に、是非。

しっかりした打鍵感が欲しいなら、Zeal Tealios V2

いろいろ試した中でもダントツな品質とキーのぐらつきの無さを誇る、Tealios V2。いろいろなところでオススメになっていますが、納得する作りです。
ただ、キー荷重が67gと重ためなので、Cherry MX赤軸やTTC Gold Pinkを使った後だと、重たく感じるのと、キー押下後に反発する力が強めなので、個人的にはもう少し軽い方が好みです。
重ための打鍵感が好きな方にはぴったりなキーかと思います。

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