Corsair Crystal Series 680X RGBを使ってみてわかったメリット、デメリット。詳細レビュー

PCパーツ

今まで、CorsairのGraphite 600Tというケースを使っていました。
2010年に発売になったケースですが、エアフローも良好、E-ATXも納められる大型のケースで、便利に愛用していたのですが、240mmラジエーターの搭載方法が変態的で、フロントI/FがIEEE1394とUSB2.0×4であり、USB3.0は1ポートしかないなど、設計の古さがネックになりつつありました。さらに、電源LEDが点灯しなくなる、側面カバーのロックが外れるなどの不具合も出てくる状態でした。

というわけで、10年ぶりにケースを買い換えることにしました。

Corsair 680Xか、Fractal DesignのTorrentか

最後まで迷ったのが、Corsairの680Xを買うか、FractalのTorrentを買うか、という点です。
デザインもサイズも異なる両者ですが、それぞれにメリット・デメリットがあり、かなり悩みました。

こちらは、Corsairの680X RGB。独特のデュアルチャンバー構造になっており、マザーボードを格納する左側と、2.5インチ/3.5インチデバイス、電源ユニットを格納する右側に分かれている作りになっています。
このため、奥行きが短く、幅が長い、キューブ状の形状をしています。
キューブ型といっても、サイズは344(W)×505(H)×423(D) mmですので、かなり巨大なケースです。

最後まで悩んだ、Fractal DesignのTorrent。
エアフローに特化したケースで、フロントには18cmファンが2つ取り付けられており、デザイン性も優秀です。
かなり外見は魅力的だったのですが、オールインワン水冷のCorsair H100iの240mmラジエーターを搭載する場合、フロントファンを外して取り付けるしかありません。
このケース、18cmファンを取り付けた状態のデザインはよいのですが、口径が小さい12cmファン×3だとどうもいまいち微妙な感じなので、Corsairの680Xを購入することに決めました。

Corsair 680X RGBのメリット

実際に組んでみてわかった、Corsair 680Xのメリット・デメリットについてレビューしてみたいと思います。

240mmラジエーターに冷却ファンをプッシュプル方式で取り付けも可能

デュアルチャンバー方式を採用しているため、マザーボード側の部屋はほかに何も入れるパーツは存在せず、広々としています。
今回、Corsair H100i elite capellixの240mmラジエーターに、ファンをプッシュプル方式で搭載できるかを試してみることにしました。

Corsair H100i elite capellixに使われているファンはML120という型番のものですが、ケース内側に設置するファンは光る必要が無いので、安価なFN1040 CO-9050039-WW2個セットを購入しました。

プッシュプル方式でファンを取り付ける場合、ラジエーターをファンでサンドイッチする状態になります。
ファンの厚み25mm×2に、ラジエータの厚み27mmが加わるので、トータルで77mmもの厚みになります。
この状態で、マザーボードに干渉せず、ラジエーターが取り付けられるかがポイントとなります。

結論から言うとそのままではマザーボードのVRMのヒートシンクに干渉してしまい、取り付け不可でした。
今回使用しているマザーボードは、ASUSのTUF GAMING Z690 D4なのですが、VRMのヒートシンクの一部がファンのフレームと接触し、ラジエーターが取り付けられませんでした。
下の写真で、四角で囲った部分がファンと干渉してしまっています。

しかし、ファンも買ってしまったこともあって、どうにか取り付けてやる…!ということで、干渉するファンのフレーム部分を削って、ギリギリ干渉しないようになり、どうにか取り付けが可能となりました。

こんな感じで、ファンのフレーム部分を削ります。
写真程度削っただけではまだ干渉する状態だったので、厚みの半分くらいまで、ごっそり削り落としました。

影になって見づらいですが、ファンのフレームを削ったことでVRMのヒートシンクとギリギリ接触しない状態となり、プッシュプルでファンを取り付けたラジエーターを固定することができました。

240mmのラジエーターに、ファンをプッシュプル状態で取り付けると、こんな感じになります。
メモリにはギリギリ干渉しない位置でした。
プッシュプル方式にすると、数度(5度前後程度)冷却能力が上がるので、おすすめの方法です。

あと1cm程度マザーボードの上側に余裕があれば、ファンに加工をせずに取り付けできましたので、惜しいと言った感じです。
もしくは、VRMの高さが低いマザーボードを選ぶか、でしょうか。

組み込みやすさはトップクラス、延長ケーブルも必要無し

デュアルチャンバー方式で、左側はマザーボード専用スペースとなっているため、マザーボードの取り付けおよび配線は極めて作業しやすく、良好です。

上の写真を見ていただくとわかると思いますが、マザーボードの3辺に、かなり余裕があるレイアウトとなっています。
このため、組み込みの際に手を入れるスペースも十分に確保されており、とても組み立て安いケースに仕上がっています。

また、すぐ裏側には電源ユニットがあるため、延長ケーブルを購入する必要無く、裏配線が可能でした。
これも、デュアルチャンバー方式のメリットかと思います。

ガラスパネルを3面に使用した、今時の外見

今時のケースらしく、上面、前面、左側面の3カ所がガラス仕様になっています。
また、左側のパネルはヒンジ構造で取り付けられており、簡単に開けることが可能です。
フロントガラスの内側には、RGBファンが3つ搭載されており、Lighting Node PROとCORSAIR RGB Fan LED Hubで発光パターンをコントロールすることが可能です。
今回は、H100i elite capellixに付属するiCUE Commander COREを使用しますので、Lighting Node PROとCORSAIR RGB Fan LED Hubは取り外すことにしました。

元々取り付けられている、Lighting Node PROとCORSAIR RGB Fan LED Hub。
発光パターンのコントロールは可能ですが、ファンの速度のコントロールはできません。
また、2台のユニットに分かれていますので、電源(SATAコネクタ)も2つとなります。

Lighting Node PROとCORSAIR RGB Fan LED Hubを取り外し、iCUE Commander COREを取り付けました。
iCUE Commander COREですが、iCUEアプリケーションを利用し、6台までのファンとLED発光パターンを制御できる優れものです。

外見がシンプルでかっこいい

無骨なデザインですが、シンプルで飽きは少なさそうです。

パーツ一式を組み込んだ状態です。
ガラスがかなり反射するので、この状態では中身はあまり見えません。

電源をONにすると、LED付きのファンがかなり派手に光ります。
アドレッサブル ファンの発光パターンですが、ブレード全面+縁のリングが光るタイプなのでチープな感じはありません。
発光パターンは、iCueで様々なセッティングが可能です。

中には光るパーツはあまりありませんので、比較的地味な感じです。
側面がガラスなので中を見せるのにもってこいなケースですが、私の環境だと、左側が壁なので、まったく中身は見えないのです…。

広いスペースでケーブルの格納も楽々な右側チャンバー

余ったケーブルをそのまま押し込んでいるので綺麗ではないですが…。見てわかるように、かなりのスペースがありますので、余ったケーブルの処理もとても楽です。
電源はCorsairのAX1200iを使っていますが、長尺の電源でも問題なく取り付け可能です。

ただし、他のレビューでも見かける指摘なのですが、右側のチャンバーはエアフローが絶望的なため、HDDの冷却には気を付ける必要があります。
この点については、後ほど詳しく見ていきたいと思います。

Corsair 680X RGBのデメリット

メリットは一通り見てきましたので、デメリットについて確認してみたいと思います。
独自のデュアルチャンバー方式ですが、デメリットがない訳でもありません。

ストレージの冷却能力はほぼ皆無、発熱するデバイスは要注意

ファンが多数取り付けられている左側のチェンバーに対し、右側は電源ユニットの排気のみとなります。
といっても、ファンは右側のパネルに設けられた吸気口から外気を取り込んで排気するため、ドライブ回りの冷却にはまったく寄与していないと思います。

このため、ストレージの冷却についてはほぼエアフロー無し、という状態となります。
2.5インチのSSDは熱を持たないので大丈夫ですが、発熱が寿命に直結するHDDは、できるだけ冷やしたいところです。
そこで、8cmファンを取り付けて冷却するようにしました。
わずかでもエアフローがあると、冷却効果は段違いに上がります。

タワーケースとほぼ変わらない全高、幅は通常のケースよりも圧倒的に大きい

デュアルチャンバー方式で、電源ユニットは右側のチャンバーに設置するため、そのぶん高さが低いと思いきや、実は普通のミドルタワーケースと同じくらいの高さがあります。

左が今回購入した680X、右が今まで使用していた600Tです。
高さはほぼ一緒なのがわかります。
ミドルタワーケースと同じサイズで、左側のマザーボード用のチャンバーには電源ユニットやストレージは一切ありませんから、余裕があるわけです。

キューブ型といっても、ミニ冷蔵庫というか、縦型金庫というか…設置する際は、スペースをあらかじめ考えておく必要があります。
しかし、幅が広い分奥行きが極端に短いのも、このケースの特徴です。

上から見ると、600Tに比べて圧倒的に奥行きが短いのがわかります。
幅は多少あっても、奥行きが短いケースを探している場合には、680Xのサイズは大きなメリットとなるかと思います。

フロントファンのフィルターが掃除しずらい

フロントの3連ファンの前に取り付けられているガラスパネルですが、右側のパネルを取り外したあと、ネジを外す必要があります。

右側のパネルは手前に引けば取れるのですが、左側のファンに付いているフィルターを掃除する際、ガラスをはずそうとするとかなり面倒です。
せめて、右側のパネルを外し、フィルターをそのまま右側にスライドして取り外せると良かったのですが…。
ガラスの隙間にエアダスターを吹き込む、といったくらいしか掃除する方法がなさそうです。

高い冷却性能と高いコストパフォーマンスでオススメのケース

iCue対応の12cmファン×3と、Lighting Node PROとCORSAIR RGB Fan LED Hubが付属することを考えると、これだけで1万円くらいはすると思います。
3面ガラスパネル、高いエアフローとしっかりした構造を考えると、3万円程度のケースとしてはコストパフォーマンスは高いと思います。
今回は外箱破損品を25,000円で購入できたので、かなり割安でした。

通常のケースとサイズがかなり異なりますので、置き場所に注意が必要ですが、組みやすく、とても良いケースだと思います。
今時なビデオカードの縦置きにも対応していますので、ハイエンドカードを”魅せる”設置も可能です。

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