Windows 11ではシステム要件としてTPM 2.0が必須になりました。最近のマザーボードではCPUやチップセットに内蔵されたTPM相当機能を利用できますが、Windows 11登場以前の古いマザーボードでは、TPM機能が標準で有効になっていなかったり、TPM自体を搭載していなかったりすることがあります。
今回AIサーバーとして復活させたASUS X99-Sも、TPMを標準搭載していない製品となります。ただし、マザーボード上にLPC接続の「20-1ピン TPMコネクター」が用意されており、対応する外付けTPMモジュールを装着できます。
ASUS純正のTPM2.0モジュールはめったに見かけない上、金額も高いので、AliExpressで販売されていたInfineon SLB 9665搭載の激安TPM 2.0モジュールを購入してみました。
AliExpressなら1,000円弱で購入可能
ASUSのマザーボードに対応するTPM 2.0モジュールは様々ありますが、購入したのは以下と同じ製品となります。
AliExpressでは同等のモジュールが多数販売されており、セールやクーポンを利用すれば1,000円弱で購入できます。今回はセールを利用して900円弱で購入が可能でした。
購入時に確認したいのが、搭載されているTPMコントローラー。Infineon製の「SLB 9665」を搭載したモジュールは動作報告も多いので、これを選びました。

SLB 9665は、TPM 2.0に対応したLPCインターフェース接続のTPMコントローラーで、古いPCや組み込み機器などでも広く採用されています。
ただし、ASUSの20-1ピンTPMコネクターを備えていても、TPM 2.0モジュールを使用できるとは限らないので注意が必要です。
古いマザーボードではBIOSがTPM 2.0に対応していない場合があります。今回使用したInfineon SLB 9665はLPC接続のTPM 2.0コントローラーなので、マザーボードのBIOSがSLB 9665を含む外付けTPM 2.0デバイスを初期化できる必要があります。
買っても動かない場合があるので、その点は注意が必要です。
取り付けはコネクターに差し込むだけ
取り付け作業そのものは簡単で、20-1ピンコネクタに差し込むだけ。PCをシャットダウンし、電源ユニットのスイッチを切って電源ケーブルを抜きます。マザーボード上のTPMコネクターにモジュールを差し込みます。
X99-SのTPMコネクターは、20個分の端子位置のうち1本が欠けた「20-1ピン」です。欠けている端子の位置を確認し、モジュールの向きを間違えないように取り付けます。逆方向では物理的に装着できませんので、向きを確認してください。
取り付け後にBIOSを開くと、次のように表示されました。
TPM 2.0 Device Found
それまで変更できなかった「Security Device Support」も設定可能になり、Enabledを選択できるようになり、X99-SでもTPM 2.0デバイスを正常に認識させることができました。
Windows上では、Windowsキー+Rを押して次のコマンドを実行すると、認識状態を確認できます。
tpm.msc
「TPMは使用する準備ができています」と表示され、仕様バージョンが「2.0」、製造元名が「IFX」になっていれば、Infineon製TPMとして認識されています。
TPMを追加してもWindows 11の全要件を満たすわけではない
注意したいのは、TPM 2.0モジュールを追加しても、X99環境がWindows 11の正式サポート対象になるわけではないことです。
Windows 11のシステム要件には、TPM 2.0以外にも次のような項目があります。
- Microsoftの対応リストに含まれるCPU
- UEFI
- Secure Bootへの対応
- 4GB以上のメモリー
- 64GB以上のストレージ
- DirectX 12およびWDDM 2.0対応GPU
X99-Sで使用できるHaswell-E、Broadwell-E、Xeon E5 v3/v4世代のCPUは、基本的にWindows 11の正式な対応CPUリストに含まれていません。
したがって、今回のモジュールによって「TPM 2.0」という個別要件は満たせますが、Windows 11のシステム要件全体を満たせるわけではありません。そのため、非対応CPUを搭載したX99環境へWindows 11をインストールする場合は、依然として互換性チェックの回避が必要になります。
TPMはWindows 11のインストール判定だけに使われるものではなく、BitLockerの暗号鍵保護やWindows Helloなど、一部のセキュリティー機能にも利用できます。そのため、Windows 11を要件回避でインストールした環境でも、TPMを追加する意味がまったくないわけではありません。
SLB 9665には2種類のパッケージがある
Infineon SLB 9665には、主に次の2種類のパッケージがあります。
VQFN-32
正方形で、パッケージ裏面の4辺に端子が配置されたタイプです。正式なパッケージ名称は「PG-VQFN-32-13」で、SLB 9665VQ2.0などの型番があります。
TSSOP-28
長方形で、左右の長辺に端子が並んだタイプです。正式なパッケージ名称は「PG-TSSOP-28-2」で、SLB 9665TT2.0などの型番があります。
今回購入したモジュールには、後者のTSSOP-28パッケージが搭載されていました。
両者は外形や端子数、実装方法が異なりますが、どちらもSLB 9665シリーズのTPM 2.0コントローラーです。TPMとしての基本機能に大きな違いはありません。
正常に認識したが、Windows 11対応化が目的なら注意
AliExpressで購入した格安TPM 2.0モジュールでしたが、ASUS X99-Sでは問題なく認識されました。取り付けもコネクターに差し込み、BIOSで有効にするだけです。
国内で販売されている製品よりもかなり安く、古いマザーボードでTPM 2.0を試してみたい場合には面白い製品だと思います。
一方で、TPM 2.0を追加しても、X99世代のCPUがWindows 11の正式サポート対象になるわけではありません。「これを取り付ければ古いPCが完全にWindows 11対応になる」という製品ではない点には注意が必要です。
今回の用途では動作確認が主目的だったため、900円弱でX99-SのTPM 2.0対応を確認できたという点では良かったと思います。
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