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Intel Optane DC P5800X、最強のオーバーテクノロジーSSDを試す

5.0
PCパーツ

Intelがかつて3D XPoint技術を使って展開していたOptane製品群。その頂点に君臨するのがOptane DC P5800Xです。
結論から言うと、「高速SSD」という言葉では全く説明が足りないSSD界の異端児で、性能の方向性がそもそも異常ともいえる、オーバーテクノロジーの塊といった製品です。
今回、1.6TBのドライブを購入しましたので、レビューしてみたいと思います。

普通のNAND SSDとの違い

P5800Xの凄さを理解するには、まず一般的なNAND SSDの構造上の制約を知っておく必要があります。

一般的なNAND SSDは、シーケンシャル性能こそ非常に高いものの、細かなランダムアクセス、特にランダム書き込みでは構造的な不利を抱えています。
読み書きは小さなページ単位で行えるのに、消去はもっと大きなブロック単位でしか行えません。たとえば、ある場所のデータを少しだけ更新したい場合でも、そのブロック内に消してはいけない有効データが残っていれば、①先にそのデータを別の場所へ逃がす→②ブロック全体を消去→③ようやく再利用できる状態になったのでデータを書き込む、という処理を行います。
つまり、ちょっとした書き換えの裏で、SSD内部ではデータの退避、再配置、ブロック消去といった回りくどい作業が発生するわけです。

この影響がもっとも出やすいのが低キュー深度でのランダムアクセスです。PCIe Gen4、Gen5と世代が進んでNAND型SSDのシーケンシャル帯域が爆増しても、実際の体感に近い低キューランダム性能はそれほど劇的に伸びていないのが実態で、最新のGen5世代NAND SSDでも概ね2万〜9万IOPS台というのが現実です。

Optaneはその制約を、設計レベルで完全に無視しています。

3D Xpointの凄さ

3D XPointの凄さは、ひと言でいえば「DRAMのような鋭さを、データが消えないストレージで実現したこと」にあります。PC用のメモリで使われているDRAMは、高速な代わりに電源を切れば中身が消えてしまいます(揮発性)。逆に、SSDはデータが消えない代わり、どうしても遅延が発生してしまいます。
3D XPointは、その常識のあいだに割って入り、DRAMのように高速・低遅延で、かつストレージの不揮発性を高い次元でまとめて成立させようとした、かなり大胆な技術でした。

実際、3D XPointを使ったOptane SSDは、単なる「速いSSD」ではありません。データをまとめて流すだけでなく、細かな要求に対しても異様なほど素早く反応し、体感的にはストレージというよりDRAM寄りの鋭さを持った特殊なデバイスに近い印象すらあります。
特に、低キュー深度のランダムアクセスではその異様さがはっきり現れます。スペック表の数字以上に、「使ってみると分かる速さ」を持っていたのが3D XPointの恐ろしいところです。

細かなデータ更新を何度も受けても遅れにくく、レイテンシが暴れにくい。だからこそOptaneは、普通のSSDとは一線を画すキビキビ感と、超弩級のランダム性能を実現しています。NAND SSDにももちろん強みはありますが、3D XPointはその土俵とは別の場所で、「ストレージなのにここまで鋭く動くのか」と思わせる異質な存在であると言えます。

P5800Xの公称スペック

今回購入した、P5800Xのスペックは以下となります。

項目スペック
シーケンシャルリード7,200 MB/s
シーケンシャルライト6,100 MB/s
4Kランダムリード150万 IOPS
4Kランダムライト135万 IOPS
耐久性(DWPD)100 DWPD

数字だけ見ると「最新Gen5 SSDと大差ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
むしろ、シーケンシャルリードはハイエンドPCIe Gen5対応のSSDと比べると半分弱くらいなので、見劣りするくらいです。

しかし、ここからがOptane SSDの恐ろしいところです。

まさしく桁違い、他を圧倒する低キューランダム性能

Samsung SSD 9100 ProやCrucial T705のような最新のGen5 NAND SSDは、シーケンシャル 14GB/s、ランダムでも200万IOPS前後という派手な数字を掲げています。ただ、これはあくまでも高キュー深度でのピーク値の話です。
OSの操作やアプリの起動、ファイルへの細切れなアクセスといった実際にPCを利用している際の体感に近い、低キュー深度でのランダムアクセスに話を絞ると、Gen5世代のNAND SSDでも概ね2万〜9万IOPS台というのが実態です。

では、P5800Xはどうかというと、Intelは低キュー深度でも最大160万IOPS級(!)と公称していました。
条件が完全一致する単純比較ではないにせよ、数十倍の差です。「ちょっと速い」ではなく、もはや土俵が違うという表現の方が正確かと思います。
もはや、別のカテゴリで、別の競技をやっている、という感じです。

例えるなら、NAND型SSDが市販スポーツカーのレースだとすると、P5800XはF1マシン…というレベルを超越し、新世紀GPXサイバーフォーミュラのアストラーダGSXが突然参戦してくるようなレベル感と言った方がしっくりくるかもしれません。
そもそも戦うフィールドが違いすぎる、要するに次元が違うということです。

狂ってるとしか言い様がない耐久性

速度面だけでもどえらいことになっていますが、P5800Xはさらに耐久性まで振り切っています。

P5800Xの公称耐久値は100 DWPDを誇ります。これは、毎日ドライブ容量の100倍(160TB)を書き込み続けても5年間保証という意味です。
対して、前述のSamsung SSD 9100 Pro 2TBの信頼性は1200TBWとなり、5年保証なのでDWPDに換算すると約0.33程度です。数字で比べると、P5800Xは一般的なハイエンドNAND SSDの約300倍(!)の書き換え耐性を持つ計算になります。

「高耐久モデル」という言葉では到底追いつかない数値で、普通のSSDが「大切に使う前提の高速ストレージ」だとすれば、P5800Xはどれだけ書き続けても壊れないことを前提に設計されている、「サンドバッグのように毎日殴り倒しても決して壊れないストレージ」という感じです。
性能も耐久性も、両方同時に常識の外側にある製品というのはなかなか存在しません。これぞエンタープライズ向け、というロマンの塊のハードウェアです。

なぜ3D Xpointは消えたのか

これだけのスペックを持ちながら、Optane製品群はすでに終息しています。理由は単純で、とにかく高価だったからです。
性能と耐久性も異常でしたが、価格も異常とも言えるものでした。今回購入した1.6TBモデルは50万円を軽く超える価格で、用途はサーバーや業務用途に限られ、コンシューマ向け製品と比べると数十倍の開きがあり、個人が購入可能な価格帯ではありませんでした。

中古品であればいくぶん割安になってきており、今回eBayで販売されていた中古品を購入しましたが、送料など含め価格は30万円程度となります。現在、$1=160円程度の円安なので割高感は拭えませんが、ドルベースで計算すると新品販売時の半額程度に下がってきています。
耐久性が異常に高いSSDなので、中古を買っても耐久性については心配しなくていいのはメリットかもしれません。

AIによる半導体高騰の影響を受けて、PCIe Gen5対応のM.2 SSDは2TBで10万円を超える金額になっています。そう考えると、中古とはいえ1.6TBの容量で30万円という価格は一時期よりも検討しやすい?価格帯になっているような気もします。

ベンチマーク

以下のSSDと比較してみました。用意したのはOptane SSDが2モデルと、PCIe Gen5対応の最新SSD、PCIe Gen4対応のSSDの4枚となります。

ご注意:
下記のうち、P5800XとFireCuda 540はintel Z890、P4800Xと990 PROはAMD B550環境となります。プラットフォームが異なるので、厳密な比較にはならないことをご了承ください。

  • Intel Optane DC SSD P5800X 1.6TB
  • Intel Optane DC SSD P4800X 750GB
  • Seagate FireCuda 540 2TB(PCIe Gen5対応モデル)
  • Samsung SSD 990 PRO 2TB(PCIe Gen4対応ハイエンドモデル)

データ転送速度

データ転送速度ですが、シーケンシャルは当たり前ですがPCIe Gen5対応のFireCuda 540がトップ。続いてPCIe Gen4対応のP5800Xと990 PROが同程度で、PCI Gen3対応のP4800Xが最下位となっています。

OSやアプリの起動などに大きな影響があるランダム4K Q1T1を見てみると、特にRead側でP5800Xがぶっちぎり、続いてP4800Xとなり、NAND SSDに圧倒的な差を付けています。

グラフにしてみましたが、P5800Xはぶっちぎりに速いです。これだけ差があると、実際のWindowsの操作において体感で差が出ます。
古めのP4800Xも十分検討しており、OS用ドライブとして使うのであればまだまだ現役で頑張れるスペックだと思います。

しかも、Optaneの場合はこの速度がずっと持続する、という強みがあります。
FireCuda 540 や 990 PRO の RND4K Q1T1 Write が一見Optaneに迫っているように見えるのは、1GiBの短時間テストでは書き込みキャッシュが効いているためと思われます。連続した書込においてはこの数値がそのまま長時間持続するとは考えにくい状態です。
対してOptaneはキャッシュで盛った速さではなく、素の低レイテンシで性能を出しているのが大きな違いです。

IOPSおよびレイテンシ

続いてIOPSとレイテンシを見ていきたいと思います。

まずは、IOPSから。これもOptaneの2モデルがぶっちぎりで高速で、特にP5800XはReadで7万超えのスコアを叩き出しています。
NAND SSDは大抵2万程度ですから、3.5倍のスコアとなります。凄いですね…
PCIe Gen3対応の古いP4800Xでも、最新のSSDと比べても倍以上高速なスコアを叩き出しています。

こちらはランダム4Kにおけるレイテンシ。処理にかかる時間なので、グラフが短いほど優秀となります。
Read、WriteともにぶっちぎりなのがP5800Xで、やはりNAND SSDとは比較にならない高速っぷりを発揮しています。

高速さを体感できる恐ろしさ

Windowsの普段使いにおいて違いを「体感できる」レベルのSSDの性能差って、凄いと思います。
このレビューはP5800Xに載せ替えたPCで作成していますが、Windowsの起動からAdobeのPhotoshop、Illustrator、果てはブラウザの動作まで、気持ちいいくらいサクサク動きます。今までFireCuda 540というPCIe Gen5対応のハイエンドSSDを使っていたのに、です。
特に、Windowsが起動したあとに遅延読み込みしているアプリケーションが多数あるのですが、それらを読み込み終わるまでの速度が、体感で半分くらいの時間になったのでは?ってくらい高速になりました。

手動での計測ですが、Windowsの起動時間が30秒→20秒程度に減っています。ただ、厳密に同一条件での測定ができなかったため、iPhoneのストップウォッチでの計測結果なので誤差はあるかと思います。

やばいですね、一度使うと他のSSDに戻れない気がします…

P5800Xを使う場合の注意

P5800Xはサーバー向けの製品なので、PCで使うにはいくつか注意点があります。

U.2規格なので、そのままではPCに接続できない

P5800Xのインターフェースは、一般的な自作PCでよく使われるM.2ではなく、2.5インチU.2(PCIe x4) となります。
使うには、U.2対応ポートを持つマザーボードを使用するか、あるいはPCIeスロットからU.2へ変換するアダプタやケーブルが必要になります。

U.2対応ポートを持つマザーボードはごく一部に限られますので、一般的にはPCIeスロットから変換する方法になるかと思います。
今回は、ケーブルを増やしたくなかったので、PCIeスロット用のU.2変換アダプタを使用しました。

発熱と消費電力が大きく、冷却はほぼ必須

P5800Xは高性能を叩き出すかわりに、発熱も普通ではありません。
Intel公式仕様では、1.6TBモデルのアクティブ時消費電力は21W、アイドル時でも4.7W とされています。これは、一般的なM.2 SSDの感覚で考えるとかなり大食らいで、9100 PROは2TBモデルで約8Wですので、2.6倍となる計算です。
P5800Xは高負荷を前提にした業務用の高速デバイスであり、サーバーのエアフローを前提としています。性能を本気で引き出すなら、きちっと冷やす必要があります。

今回は、PCケースのボトムファンの風が当たる場所に設置しました。負荷をかけても50°弱くらいなので、冷却は間に合っているように思います。
エアフローが確保できない場所にP5800Xを固定する場合には、冷却ファンの追加を検討した方が良いかと思います。
SSDのサイズは幅7cmですので、7cmファンを上に載せるとちょうど良いです。

接続するならCPU直結のPCIeスロットがお勧め

マザーボードのPCIeスロットには、CPU直結のものと、チップセット経由のものがあります。
大抵、CPU側にある2本のx16のものがCPU直結、下の方にあるx16形状(実際はx4)やx1スロットがチップセット経由となります。
チップセット経由の場合、どうしてもCPUとSSDの間にチップセットが介在しますので、微妙ですがレイテンシが増える原因となります。せっかく超低レイテンシで高速性能を売りにするSSDですから、CPU接続のPCIeスロットに接続するのがお勧めです。

デメリットとしては、ビデオカードを使用している場合は、レーン数が分割されるのでx8になっていまいます。とはいえ、PCIe Gen5のx8はPCIe Gen4のx16と同等のデータ転送が可能ですし、不利益についてはほぼ無視できるレベルと思います。

Intel Memory and Storage Toolがダウンロード出来なくなっている…

SSDの状態を確認したり、ファームウェアをアップデートするためのIntel Memory and Storage ToolというWindows向けのアプリがあるのですが、脆弱性が見つかったとのことで公開中止になっています…

インテル® Memory and Storage Tool (GUI)
インテル® Memory and Storage Tool (インテル® MAS) は、Windows* でサポートされているインテル® Optane™ SSD および インテル® Optane™ メモリーデバイス用のドライブ管理ツールです...

幸い、P4800Xを買った際にDLしたアーカイブがあったのでインストールできました。
脆弱性についてはローカル環境での利用でかつ常に常駐させるような使い方でなければリスクは低いと判断してインストールしています。
なお、ファームウェアのアップデートについてはCLIでアップデートするためのツールが公開されています。

私が購入したSSDはファームウェアバージョンがL0310200と古いものでしたので、このツールを使って最新版にアップデートを行いました。GUIのツールなので、Updateボタンを押すだけの簡単作業です。

中古で購入する際の注意点

eBayで中古品を買ったのですが、ほぼ新品と言える状態でした。

総読込量0バイト、総書込量24GB。使用時間こそ4000時間弱になりますが、おそらく「サーバーに繋がった状態でほぼ使われていなかった」ように思います。
購入価格は$1,800でした。160円換算で28万8千円です。これに送料と日本での輸入消費税と通関手数料がかかります。$1,800だったので2万円弱くらいの支払いを想定していましたが、6,200円+通関手数料200円の合計6,400円でした。
USPS First Class Package Internationalで送ったので価格算定が適当?だったのかもしれません。

なお、この価格帯の商品を購入する場合、USPS First Class Package Internationalはまったくお勧めできません。簡易書留クラスの扱いで紛失保証も無く、日数も一番かかります(私の場合は15日で到着)。Priority Mail InternationalまたはeBay International Shippingを使うのが良いと思います。
ちなみに、USPS First Class Package Internationalでの送料は$40くらいでした。Priority Mail Internationalだと$100なのでかなり差がありますね…

とにかく最高の性能を求めるなら文句なしにお勧め

コストを度外視して、最高の性能を追求するのであれば、P5800Xはお勧めです。1.6TBあればOSとアプリを入れても余裕ですし、この圧倒的なランダム性能はNANDでは実現が難しいので、当分の間はOptaneを超えるNAND SSDは出てこないものと思われます。

ストレージに中古で30万円出せるかどうかが最大の問題かと思います。ビデオカードやCPUに予算を割り振った方が、満足度の高いPCを組めると思います。
ただし、ストレージはPC全体の操作感に影響してくる重要なハードウェアで、速度も耐久性も超ぶっちぎりなP5800Xは、ロマンだけでは無く、実際のWindowsの操作においても確実に体感で差が分かる希有なデバイスです。
一般の方には全くお勧めできませんが、とにかく快適さを求める方には、是非使ってみて欲しいSSDだと思います。

P5800Xに交換して数日経ちますが、一言でいうと「ヤバい」です、これ。
今までのPCが嘘のようにサクサク動きます。もちろん、CPUやGPUは同一なのでこれらの性能は変わりませんが、Windowsの動作、操作した際の反応が明らかにレスポンスが上がっています。
一度Optaneを使ってしまうと戻れないのも解る気がします。

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