PCデスクの反対側に、オーディオシステム一式を設置しています。
部屋が狭いので真価が発揮できず、もったいないような気がしますがやはりPCオーディオとは別格の音質・臨場感で、ときどき時間を見つけて楽しんでいます。
かなり昔に揃えた機材なので、型番やスペックを忘れがちなので備忘録代わりにメモしておきたいと思います。
レコードプレーヤー

プレーヤー:Well Tempred Basic
カートリッジ:Lyra Lydian β
アクティブ・フォノイコライザー:Creek OBH-9SE
Well Tempred Basic
物理学者のウィリアム・ファイアバー氏が設計したウェルテンパード BASICの最大の個性は、トーンアームにベアリングが存在しないこと。アームは2本のナイロン糸で吊り下げられ、後端のパドルがシリコンオイルに浸かって制動されます。プラッターの軸受も点接触+オイルが満たされた軸受けになっており、摩擦もガタも共振も、そもそも発生源を作らないという徹底した”引き算の設計”なのが最大の特徴。アンチスケーリングまでもがオイルでコントロールされています。
音は何よりも”静寂”。背景が深く、黒く、溝に刻まれた音以外が出てきません。低域は量感で押すのではなく輪郭とアタックで聴かせ、中域はクセが薄く素直。盤の反りやピークでも音のエッジがささくれず、オイルダンプの効果がはっきり分かります。
反面、高剛性ターンテーブルのような押し出しの強さやグリップ感は控えめ。水平出し、オイル量、糸のテンションで音が大きく変わるためセッティングはシビアですが、ビシッとセッティングが決まれば価額(たしか定価40万くらい?)を明らかに超える実力を秘めています。
Lyra Lydian β
Lyraは数ある世界のアナログカートリッジメーカーの中でも、世界的に高名な日本のオーディオメーカーです。Lydian βはLyraの入門クラスながら、上位機譲りのヌードボディとボロンカンチレバーを備えたMC型カートリッジです。共振をボディに溜め込まないという発想で、Well Tempred Basicとの相性も完璧。
出力0.5mVは中出力寄りでフォノアンプを選ばず、針圧1.6〜1.75g、推奨負荷100Ω〜47kΩと守備範囲も広く使い勝手が良いです。ミディアムコンプライアンスなのでアームとの相性にも神経質にならずに済みます。
音はとにかくバランス型で、どこか一箇所を強調して他を犠牲にしません。中域が厚く丸く、ボーカルや管楽器の胴鳴りが自然で聴き疲れしないのが持ち味。低域は力感こそ十分ですが、上位機と比べると締まりと定位の彫りはやや甘めのようです。
分析的に切り込むより、鳴りっぷりで音楽に引き込む性格の音質と言えます。情報量優先の性格ゆえ、盤のキズや汚れをそれなりに拾うのが欠点かもしれません。
Creek OBH-9SE
Creekの OBH(Outboard Box Housing)シリーズは、電源を筐体の外に追い出すことで小型・低ノイズ・低価格を同時に成立させた英国的な合理主義の産物ともいえる、アクティブ・フォノイコライザーです。SEはパーツをグレードアップした特別版となります。
音は英国製フォノらしい中域重視の温度感で、情報量で勝負するタイプではないものの、音楽の芯を外しません。ゲインに余裕があり、0.5mVクラスのMCをノイズフロアを上げずに鳴らせます。
弱点はダイナミクスのスケール感と最低域の伸びですが、ACアダプターを純正上位電源に交換しているので、ある程度緩和されています。
DAC・プリアンプ

DAC・プリアンプ:FIDELIX CAPRICE
アンプセレクタ:Douk Audio VU3
ネットワークプレーヤー:Amazon Echo Link
FIDELIX CAPRICE
ESS社の32bit DACチップ ES9018 を核に、その性能を引き出すためCMOSではなくバイポーラ入力の高速アンプを採用し、さらに左右チャンネルに独立したシャント電源という構成で、「電源経由のクロストークは非線形で極めて有害」という設計者の確信がそのまま形になった製品です。
ダイナミックレンジ131dB、歪率0.00064%、192kHz/24bit対応。同軸2・光2のデジタル入力に加えRCAアナログ入力を2系統持ち、うち1系統はフォノイコライザーに変更可能です。
出力はRCA可変とXLR固定。150×50×250mm・約2kgと拍子抜けするほど小柄です。
音は、ES9018機にありがちな冷たさや線の細さがありません。デジタル臭さが薄く、アナログ的と評されるのが最大の特徴。S/Nの良さは数値どおりで背景が静かですが、その静けさが痩せた印象につながらないのが良さ。音像の輪郭を強調せず、音場の奥行きと余韻の消え際で聴かせるタイプです。デジタルボリュームを絞っても音が細らないため、プリアンプを省いて直接パワーアンプへ繋ぐ使い方をすると本領を発揮します。DACは技術的進歩やスペック競争が激しいですが、それらとは無縁のまま10年以上評価が落ちていない一台です。
Douk Audio VU3
スピーカーとアンプの間に接続する2イン2アウトのセレクタで、アンプ2台とスピーカー2組を配線し直さずに切り替えられます。300W/chまで対応、A級・D級・真空管を問わず使え、チャンネルは完全独立。針の振れる大きなアナログVUメーターが搭載されているのが特徴です。
音質的には接点が1つ増える以上不利ですが、デメリット以上以上に「アンプの聴き比べを瞬時にできる」価値が大きい製品です。我が家はアンプが2組あるので、その切替に使用しています。
Amazon Echo Link
Alexaで操作するネットワークプレーヤー。有線LANとWi-Fiに対応し、出力は同軸デジタル・光デジタル・RCAアナログ・3.5mmヘッドホンと一通りありますので、アナログ/デジタル入力も持つ小型セレクタとしても使えます。我が家ではトランスポートとして使っています。
前面のボリュームノブがあり、機械ボリュームでも操作できるのが実用的。残念ながらすでに生産終了しています。
正直、内蔵DACはしょぼいです。海外レビューでもアナログ出力は「遠くて霧がかった音」と評され、単体で完結させる機材ではありません。ただしこれは裏を返せば使い方次第で、デジタル出力でCAPRICEに渡すトランスポートとして使えば話は別。SpotifyやAmazon Musicの操作性とAlexa連携をそのまま活かしつつ、D/A変換はCAPRICEに任せられますので、音質の犠牲もなく、使い勝手はとても良いです。
パワーアンプ
SUN AUDIO SV-2A3EPX(モノラル×2台)
個人ビルダー制作 EL12 PPアンプ(モノラル×2台)
SUN AUDIO SV-2A3EPX

2A3をA級プッシュプルで動作させるモノラル・パワーアンプで、出力は8Wです。サンオーディオの標準構成は初段6SN7GTのパラレルドライブ、ドライバ段6V6、出力2A3×2、整流5U4Gという構成。
トランスは電源SPT-150、出力SOT-5P、チョークSCH-515とすべてタムラで固めた贅沢な設計です。2A3といえばシングル構成が定番のなか、あえてプッシュプルに振った”隠れた名機”といった位置づけの1台です。
現状は球も中身もかなり手をいれています。初段はMULLARD ECC32/CV181、ドライバはTUNGSRAM 6V6G、出力はKR Audio 2A3、整流はMULLARD CV378(GZ37)。ECC32は6SN7より増幅率がやや低く、CV378は5U4Gより余裕のある整流管なので、この2本を替えた時点で標準機とは別物と考えたほうが自然かと思います。
内部もSprague ATOM、Arizona Capacitors、DALE抵抗、EIZZのボリューム、オヤイデ金メッキOFC単線による空中配線と、フィルム/オイルコンで埋め尽くされた状態で、とりあえずパーツのアップグレードはやりきった感があります。

音は2A3らしい柔らかさを保ったまま、プッシュプルらしい力感と低域の見通しが加わるのが持ち味です。シングルの色気を残しつつ、腰が砕けない力強さがあります。パーツ交換後は音場の左右の広がりが明確に増し、高域の伸びと見通しが良くなりました。
8Wという数字だけ見ると心もとないものの、実用上まったく不足を感じません。むしろ、球を差し替えるたびに音が変わるのを楽しむための土台としてよくできた一台です。
EL12 PPアンプ

EL12はフィリップスが開発したヨーロッパの出力管で、アメリカの6L6族に相当します。三極管接続にしたときのEp-Ip特性が古典三極出力管と見紛うほどと評される素性の良い管で、ヨーロッパ管の良さがあります。
この個体は個人ビルダーによる製作で、内部はWesternのヴィンテージ線、Malloryのコンデンサ、オイルコンなど、こだわりのパーツで組まれています。初段はRCA 5692を使用し、EL12は主にテレフンケンのものを使っています。写真はタングスラムのものです。
面白いのは整流管で、レイセオンのCK-1006というガス封入整流管を採用しており、動作中の美しい発光が見どころです。一般的なオーディオアンプでは見ない構成で、個人ビルダー作のアンプならではのチョイスと言えるかと思います。出力管はヤテレフンケン、VALVO、タングスラムなど複数セットを集めていて、銘柄を切り替えて使い分けています。
もともとPCオーディオ用として使っていましたが、現在はメインシステムに移設し、Douk Audio VU3でSV-2A3EPXと切り替えて使っています。
スピーカー
Monitor Audio STUDIO 20 25th Anniversary

1990年代のモニターオーディオを象徴する2WAY・トールボーイ スピーカーです。17cmのアルミ/マグネシウム合金セラミック振動板ウーファーと、金メッキ処理された25mmのメタルドームツィーターという構成で、クロスオーバーは3.2kHz、周波数特性30Hz〜30kHz、能率88.5dB、8Ωとなります。
この25thアニバーサリーモデルは同社の創立25周年を記念した限定仕様で、ベースとなるStudio 20SEに仕上げと内部配線を奢った特別版となり、ペアで90万円という同社製のハイエンド機でした。
英国製スピーカーというとソフトドームの穏やかな音を連想しますが、この時代のモニターオーディオは真逆で、全帯域を金属振動板で統一しているのが最大の特徴です。ウーファーとツィーターの音色が繋がり、帯域をまたいでも質感が変わらないことで金属特有のキツさが出にくく、それでいて情報量は落ちない、今でも十分に通用するスピーカーです。
女性ボーカルの艶と、驚くほどの微細な情報の描き出しが往年のレビューでも繰り返し評価されているスピーカーです。


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