Windows Helloの顔認証カメラとして、長らくCisco Webex Desk Cameraを使っていました。4K対応でWindows Helloにも対応、という条件を満たす数少ない製品ですし、見た目もアルマイト処理されたスクエアなアルミ筐体で洒落ており、気に入っていました。
ところが、先日顔認証データを一度削除して登録し直そうとしたところ、これが最後まで通らなくなりました。PINを入力した直後に、何の警告もなく登録ウィンドウが閉じてしまう、という謎の現象となります。詳細はWindows Hello顔認証が登録できない問題の記事にまとめましたが、原因はWindows 11 24H2以降で顔認証の要件が厳しくなったことだと思われます。
このときは、6,000円ほどの安価なWindows Hello対応カメラを別途購入し、そちらで顔認証データを登録してからCiscoのカメラに戻す、という回避策で乗り切りました。
とはいえ、顔認証データを登録できないCiscoのカメラを使い続ける不安&面倒くささと、Ciscoのカメラを見てみたら経年劣化で台座が割れてガタガタになっていたこともあり、「そもそも登録まで一台で完結するカメラに替えればいいのでは」という、身も蓋もない方向に舵を切りました。
購入したのは、Ciscoのカメラを買うときに迷ったもう1台、ロジクールのBRIO C1000eRです。2017年発売の古い製品ですが、Windows Hello用の赤外線センサーを積んだ4Kウェブカメラとしては、今も現役で流通しています。
結果から言えば、懸念していた顔認証の登録はあっさり通りました。しかも同じ4Kウェブカメラ同士で比べてみると、画質はBRIOの方が上でした。
ロジクール BRIO C1000eRを使ってみた結論
メリット
- Windows 11 24H2を適用した環境でも、顔認証データの登録が問題なく完了した
- 同じ4Kでも、Webex Desk Cameraより解像感・発色ともに一段上
- 視野角を90度/78度/65度の3段階で切り替えられる。映り込ませたくない背景を切れる
- RightLight 3とHDRにより、逆光や薄暗い部屋でも顔が白飛び・黒つぶれしにくい
- 中古であれば1万円〜1万5千円程度で見つかることが多く、価格対性能が良い
- Windows Hello対応の高品質なウェブカメラが減り続けている今、確保しておく価値がある
デメリット
- 2017年発売の製品で、新品価格は2万円台後半と割高
- 4K出力は30fpsまで。60fpsを使いたい場合は1080pに落とす必要あり
- 本体幅が102mmと長く、モニター上に載せるとそれなりの存在感がある
- 4K出力とWindows Helloを両立させるにはUSB 3.0ポートへの接続が必要
Webex Desk Cameraで顔認証の登録が出来ない…!
Webex Desk Cameraは、シスコが出している4KのUSBウェブカメラです。Windows Helloの顔認証に対応していて、10倍デジタルズームや無指向性マイク2基を備えた、ビデオ会議寄りの製品です。
このカメラ自体は、ビデオ会議で使う分には何の不満もありませんでした。問題は顔認証の「登録」です。顔認証自体は問題無く行えるものの、顔認証データの登録をしようとすると、PINを入力した直後に登録ウィンドウが無警告で閉じてしまい、そこから先へ進めなくなりました。
原因はWindows 11 24H2以降で顔認証の要件が厳格化されたことで、Cisco固有の問題というわけでは無いようで、実際、他社のカメラでも24H2で同様の報告が出ています。このあたりの調査過程と、安価なカメラを踏み台にして登録を通す回避策については、別の記事に詳しくまとめてあります。
回避策でどうにかなりましたが、顔認証データの再登録が必要になるたびに登録用のカメラを引っ張り出してくる、というのは運用としていまいちスマートではありません。24H2の環境でそのまま登録まで通せるカメラがあるなら、そちらに替えた方が良いと考えたのが、BRIOを買った動機です。
BRIO C1000eR と Webex Desk Camera のスペック比較

| 項目 | ロジクール BRIO C1000eR | Cisco Webex Desk Camera |
|---|---|---|
| 最大解像度 | 4K Ultra HD(最大4096×2160)/30fps | 4K/30fps |
| 1080p時 | 60fps | 60fps |
| 720p時 | 90fps | 60fps |
| センサー | 1300万画素 | 非公開 |
| 対角視野角 | 90°/78°/65°(3段階切替) | 81°(固定) |
| デジタルズーム | 5倍 | 10倍 |
| 映像補正 | RightLight 3/HDR | iHDR |
| オートフォーカス | 対応 | 顔検出拡張オートフォーカス |
| Windows Hello | 対応(赤外線センサー搭載) | 対応 |
| マイク | デュアル無指向性(集音範囲最大1.2m) | 全方向式2基 |
| プライバシーシャッター | 着脱式を同梱 | 内蔵 |
| インターフェース | USB Type-C | USB Type-C |
| サイズ | 102×27×27mm | 90.64×41×19.5mm |
| 重量 | 63g | 153g |
| 対応OS | Windows 8以降/macOS 10.10以降/ChromeOS | Windows 10以降/macOS 10.12以降 |
| 発売時期 | 2017年9月 | 2020年 |
数字の上では、最大解像度もフレームレートもほぼ横並びです。むしろデジタルズームはWebexの方が上ですし、本体サイズも小さくまとまっています。カタログだけを見比べると、わざわざ古いBRIOに買い替える理由は見当たりません。
差が出るのは、視野角の切り替えとセンサーの画素数、そして映像補正の作り込みです。
同じ4Kでも、画質はBRIOの方が良好
実際に並べて使ってみると、解像感がはっきり違いました。4Kで撮ったときの髪の毛の輪郭や服の生地の質感といった細かい部分が、BRIOの方が明確に残ります。1300万画素のセンサーから4K相当を切り出しているためだと思いますが、いわゆる「4Kにしては眠い」という感じが少ないです。
発色も、BRIOの方が肌色が自然でした。Webex Desk Cameraは全体にやや青寄りで、蛍光灯の下だと顔色が悪く見えることがありました。BRIOはRightLight 3による自動補正が効いていて、色温度が多少ばらついている環境でも極端に寄ることがありません。
逆光への強さも差がありました。窓を背にした位置に座ると、Webex側は顔が暗く沈みがちでしたが、BRIOはHDRとRightLight 3の組み合わせで顔の明るさを保ってくれます。背景の白飛びは残りますが、少なくとも「誰が映っているのか分からない」という状態にはなりません。
24H2適用環境でも顔認証の登録は問題なく通った
今回最も重視していたのがこれで、Windows 11 24H2を適用した環境で、BRIO C1000eRの顔認証データの登録は問題なく完了しました。
USBポートに接続すれば自動的にLogicool BRIOがイメージングデバイスとして認識されます。あとは設定の「アカウント」→「サインイン オプション」→「顔認識(Windows Hello)」から通常どおりセットアップを進めるだけで、登録が最後まで通ります。追加のドライバやユーティリティは必要ありませんでした。安価なカメラを踏み台にして登録する、といった回避策も不要です。
念のため書いておくと、24H2で顔認証の登録が通らないという報告はBRIO 4Kについても出ています。ですので「BRIOなら必ず大丈夫」と断言できるものではありません。あくまで手元のC1000eRと私の環境の組み合わせでは問題が出なかった、という一例です。とはいえ、登録が通らない環境で確実に試す価値のある一台ではあると思います。
登録後の認識も安定しています。画面の前に座ると、ロック画面が数秒でデスクトップまで進みます。暗い部屋でも赤外線センサーが働きますので、照明を落とした状態でも問題ありません。メガネを利用している方は、メガネをかけた状態と外した状態の両方を登録しておくと、さらに安定します。
なお、顔認証に必要な時間もWebexよりも若干早く完了するように思います。
顔認証を登録するにはPINの設定が先に必要になりますが、これはWindows Hello全般に共通する仕様です。顔認証が使えない状況に備えたバックアップとしてPINが必須になる、という位置づけですので、ここは省略できません。
なお、4K出力とWindows Helloを同時に成立させるにはUSB 3.0ポートに接続する必要があります。USB 2.0のハブ経由などで接続すると帯域が足りませんので、PC本体のUSB 3.0ポートに直挿しするのが確実です。
中古で1万円台前半、という現実的な選択肢
BRIO C1000eRは新品だと2万円台後半で、正直なところ2017年発売の製品に出す金額ではありません。
一方、中古市場では1万円〜1万5千円程度で出てくることが多く、法人のリース落ちと思われる個体もそれなりに流通しています。ウェブカメラという製品の性質上、レンズやセンサーが消耗する類のものではありませんし、可動部もありません。故障するとすればUSBケーブルの根元くらいですので、中古で買うリスクは比較的小さい部類だと思います。この価格帯であれば、4KでWindows Hello対応というスペックは十分に納得できます。
そしてもうひとつ、そもそもの話として、Windows Hello対応のウェブカメラという選択肢自体が減り続けています。価格.comでWindows Hello(顔認証)対応として登録されているウェブカメラは、現時点で8製品しかありません。しかもその半数がロジクールのBRIOシリーズ(型番違いで複数登録されている)で、残りはLenovoとエレコムのみ、という状況です。
ノートPCには顔認証カメラが標準搭載されるようになった一方で、外付けウェブカメラの側は「ビデオ会議で顔が綺麗に映ること」に重心が移り、赤外線センサーを積んだ製品はむしろ少数派になりました。新製品として高品質なWindows Hello対応カメラが出てくる見込みはかなり低そうです。
Windows Helloの生体認証(顔認証、指紋認証)は一度使うととても便利なのですが、そもそも認証のための専用デバイスを買ってまで使いたい、というものぐさな人間がかなり少ないので、製品数がどんどん減っているものと思います。便利なんですけどね。
古い製品だが、まだ第一線で使える
BRIO C1000eRは、発売から9年近く経った製品です。4Kは30fps止まりですし、本体も今どきのウェブカメラと比べると大柄です。スペック表だけを見れば、あえて選ぶ理由は薄いように見えます。
それでも、4K画質とWindows Helloの顔認証を両立できて、視野角を選べて、中古なら1万円台で手に入る。この条件を満たす製品が他にほとんど無いというのが実情です。今回のように「手持ちのカメラで顔認証が登録できない」という場面で、確実に動く代替として使えるのも大きなメリットでした。
Windows Helloの顔認証を使いたい、あるいは今使っているカメラがいつ動かなくなるか分からない、という方であれば、中古で1台確保しておいて損はない製品だと思います。
古い製品ではありますが、まだまだ第一線で使えます。
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