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リン酸鉄リチウム採用格安UPS GOLDENMATE 1000VA Pro/800W レビュー

4.0
PC周辺機器

我が家はソーラーカーポートと13kWhの蓄電池を組み合わせて導入しているので、停電してもしばらくは普通に電気が使えるようになり、いざという時の備えもバッチリです。

ソーラーカーポートと蓄電池を導入して分かったメリット
我が家のある街は夏には40℃を超える日もあり、万一停電になってしまうと、犬たちが熱中症になってしまうリスクがあります。また、最近は異常気象(既に異常が通常になっている気がしますが…)による災害も増えてきていると思うこともあり、ソーラーカーポ…

ところが、この蓄電池システムには1つだけ弱点があります。それは、系統(東京電力からの給電)が落ちた瞬間、蓄電池からの給電に切り替わるまでに、だいたい5秒くらいの瞬断が発生します。
家中の照明が一瞬消えて、5秒後にまた点く、という感じです。冷蔵庫や照明ならどうということはないのですが、困るのがPC。この5秒で当たり前ですが、容赦なく電源が落ちます。

最近はゲリラ豪雨にともなう落雷も多く、瞬停や瞬断が起こる可能性も高まっています。
私のメインPCはOptane P5800Xという、極めて故障しにくいSSDを使っているのですが、いくら堅牢なSSDでも「書き込み中にいきなり電源断」となればデータ破損のリスクは普通にあります。SSDの耐久性と、不意の電源断によるデータ破損はまったくの別問題です。

ということで、この「5秒の瞬断」だけをなんとか乗り切るために、UPS(無停電電源装置)を導入することにしました。
そこで選んだのが、GOLDENMATEのUPS 1000VA Pro/800Wです。

そもそもUPSの「給電方式」の話

UPSと一口に言っても、給電方式によって大きく3タイプに分かれます。ここを理解しておかないと製品選びを間違えるので、軽く触れておきます。

  • 常時商用給電方式
    普段は商用電源(コンセントの電気)をそのまま機器に流し、停電したらバッテリーに切り替える方式。構造がシンプルで安価ですが、切り替えの瞬間に数ミリ秒の「間」が生じます。
  • ラインインタラクティブ方式
    常時商用給電に電圧の安定化機能を足したもの。電圧変動が多い環境に強い。APCやCyberPowerの家庭向けモデルはだいたいこの方式です。
  • 常時インバーター方式
    常にインバーターを介して給電するため、切り替え時間がゼロ。クリーンですが、高価で発熱・消費電力も大きい。

今回のGOLDENMATEは一番安価な常時商用給電方式です。
切り替えの瞬間に間があるなら、瞬断対策にならないのでは?と思うかもしれませんが、ここがポイントで、後述するように私の用途では問題になりません。
また、ラインインタラクティブ方式の売りである電圧安定化機能も、我が家ではあまり出番がなさそうです。昼間はソーラー、夜は蓄電池でまかなっていて系統の電気はほとんど使っていない上、今回の狙いは「蓄電池に切り替わるまでの数秒を埋める」ことなので、電圧変動への対応はそれほど重要ではない、というのが理由です。

GOLDENMATE 1000VA Pro/800Wを選んだ理由

数あるUPSの中からこの製品を選んだ理由は、けっこう明確です。

800Wクラスで最安級

まず価格。出力800Wクラスとしては破格の2万円台という安さです。
※執筆時点。価格は変動するので最新はリンク先をご確認ください
有名どころのAPCやCyberPowerの正弦波モデルだと、同クラスでもう一段高くなります。

リン酸鉄リチウムイオン採用で、とにかく小型・軽量

そして個人的に一番効いたのがこれです。
世に出回っているUPSの大半は、いまだに密閉型の鉛蓄電池を積んでいます。鉛蓄電池は安くて枯れた技術ですが、いかんせん重くて大きいという欠点があります。

対してGOLDENMATEはリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)を採用しています。エネルギー密度の面で鉛より圧倒的に有利で、同じくらいのバックアップ能力でも本体をぐっと小さく・軽くできます。

どれくらい違うのか、鉛蓄電池の定番であるAPC BR1200S-JP(1200VA/720W)と比べてみました。

GOLDENMATE 1000VA Pro/800WAPC BR1200S-JP
バッテリーリン酸鉄リチウム(LiFePO4)密閉型鉛蓄電池
出力800W / 1000VA720W / 1200VA
給電方式常時商用給電ラインインタラクティブ
重量約5.7kg約11.3kg
出力コンセント8ポートバックアップ4+サージ4
充放電サイクル3,000〜5,000回以上鉛のため短め
PC連携(USB)なしあり(PowerChute)
バッテリー交換不可

出力はGOLDENMATEの方が上なのに、重量はほぼ半分です。このサイズ・重量差が、リン酸鉄リチウムを選ぶ最大のメリットだと思います。
デスク脇や棚に置くにしても、軽いに越したことはありません。

おまけにリン酸鉄リチウムは熱安定性が高く、鉛のような発火・破裂リスクが極めて低いのも安心材料です。自己放電も1ヶ月あたり2%程度と、鉛蓄電池の30%とも言われる値よりも遙かに少ないのも特徴です。

容量より出力が欲しかった

UPS選びでは「何分バックアップできるか(容量)」が注目されがちですが、今回の私の用途では容量はほとんど要りません。

繰り返しになりますが、乗り切りたいのは蓄電池に切り替わるまでの5〜10秒だけの間です。
極端な話、数十秒持てば十分なので、大容量バッテリーは完全にオーバースペックです。230Whもあれば、5秒どころか普通に数十分は持ちます。
それよりも、瞬間的にPCとモニターをまかなえる出力(W)の方が大事。その意味で800Wは十分すぎる余裕があります。

PC連携(自動シャットダウン)は不要

多くのUPSにはUSBでPCと連携し、停電を検知して自動シャットダウンさせる機能が付いています。GOLDENMATEにはこれがありません。

普通ならデメリットですが、私の場合は5秒後に蓄電池が復旧して給電が戻るので、そもそもPCをシャットダウンさせる必要がありません。
「停電を検知したら落とす」のではなく「停電を検知させずに乗り切る」のが目的なので、PC連携機能はあってもなくても良い、という判断です。

実際に使ってみて

想像以上に小さくて軽い

届いて最初の感想が「軽っ」でした。約5.7kgなので、鉛蓄電池のUPSをイメージしていると拍子抜けします。片手でひょいと持って設置場所まで運べるレベルです。
筐体もスマートなデザインで見た目がスッキリしているので、PC周りに置いても圧迫感がありません。このあたりはリン酸鉄リチウムの恩恵です。
試しにPCの脇にある隙間に設置してみましたが、綺麗に収まりました。

200〜300W程度なら、ファンは回らず無音

我が家ではPC本体+モニターを接続してる状態で、通常時の負荷はだいたい200〜300W程度です。
この負荷域では冷却ファンがまったく回りません。ですので動作音は完全に無音で、常時通電させておくものなので、これは地味にありがたいポイントです。

ネット上のレビューを見ると「高負荷時のファンがうるさい」という声もありますが、これは300W以上をバッテリー駆動で引っ張ったときなどの話となります。ファンの騒音も改訂版で40dB以下に改善されているようですし、瞬断のブリッジ用途なら高負荷でファンが唸る場面はまずありません。

擬似停電テストも問題なし

肝心の「ちゃんと瞬断を埋めてくれるのか」についてですが、実際の系統断を待つわけにもいかないので、UPSの入力コンセントを引っこ抜いて擬似的に停電を再現してみました。

結果、PCもモニターも一切落ちることなく、何事もなかったように動き続けましたので、問題はありません。
給電が止まるとバッテリー駆動を知らせる「ピー」という警告音が定期的に鳴りますが、画面はまったく途切れません。コンセントを挿し直せば、これまた何事もなく商用給電に戻ります。

常時商用給電方式の切替時間は公称8〜20msとなります。一瞬の「間」はありますが、PCの電源ユニットには数十msの保持時間(ホールドアップタイム)があるため、この程度の切替なら電源側が吸収してくれて、PCはそもそも瞬断に気づかない、というわけです。
ただし、ここは電源ユニットの品質・余力次第なので、ギリギリの容量で運用している場合は念のため自分の環境でも擬似停電テストをやっておくことをおすすめします。

LCDで状態が一目でわかる

前面のLCDに、入出力の状態・消費電力・バッテリー残量が表示されます。今どれくらい電力を消費しているかが一目で分かるので、地味に便利です。

Pro版はアラーム音のミュート機能付きで、電源ボタンを短押しすれば「ピー」という警告音を黙らせることができます。停電が長引いたときに延々鳴られるとつらいので、これは便利だと思います。無印版はここが消せないらしいので、買うならProを推奨します。

注意点

正直、用途を割り切れば不満はほぼないのですが、人によって引っかかりそうな点を挙げておきます。

  • バッテリー交換は不可
    へたったら本体ごと買い替えになります。とはいえリン酸鉄リチウムは長寿命(10年クラスとも)なので、価格を考えれば許容範囲かと。
  • PC連携(自動シャットダウン)機能なし
    長時間の完全停電に備えて自動シャットダウンしたい用途には向きません。サーバー用途なら素直にAPCあたりを選ぶべきだと思います。
  • 常時商用給電方式ゆえの切替時間
    先述のとおり大半のPC電源では問題になりませんが、方式の性質は理解しておいた方が良いかと思います。

家庭利用における瞬断・サージ対策と割り切れる人向けの製品で、業務サーバーレベルの保護をガチでやりたい人には別のラインインタラクティブ方式のUPSの方がお勧め、という感じです。

まとめ

GOLDENMATE 1000VA Pro/800Wは、

  • とにかく安い(800Wクラス最安級)
  • リン酸鉄リチウムで小型・軽量(鉛の約半分)
  • 容量は控えめでも出力に余裕がある
  • 通常負荷では完全無音

という、まさに我が家が想定する「瞬断のブリッジ+サージ保護」という用途にピッタリで、ソーラーカーポート+蓄電池はあるけれど切替時の一瞬の瞬断だけが弱点、という環境にはうってつけです。
落雷の多い時期のお守りとしても、2万円台でこの安心が買えるなら安いものといえます。
逆に、長時間の完全停電に備えて自動シャットダウンまで行いたい、という人はお勧めしづらい製品でもあり、給電方式やPC連携の有無をよく確認してから選んでください。

「容量はそこまで要らない、とにかく一瞬の停電からPCを守りたい」——そんな方には、かなりおすすめできるUPSです。

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