24時間365日稼働の業務用PCの電源を、Corsair HX1200iに更新
仕事用PCの電源ユニットですが、CorsairのAX860iを使っていました。 2012年発売の製品ですので、かれこれ10年以上使っている計算になります。当時のハイエンド電源で、80PLUS Platinum対応で中身のパーツも良質のものが使われている製品ですし、実際まったく問題なく動いてくれていたので、更新せずに今まで使用していました。
ただ、最近はLLMを動かしっぱなしにすることもあり、ほぼ24/365の運用になりつつあります。そうなると、10年選手の電源をさらに引っ張るのはさすがにマズいかな…と。 私の仕事用PCはOllama/LM StudioでLLMを常駐させていることもあり、ビデオカードもRTX PRO 4500 Blackwellに更新、他のパーツもそれなりに新しくなっている中で、電源だけが2012年製というのはバランスが悪すぎます。
また、万一電源が壊れて他のパーツに影響が起こったときの被害は考えたくありません。
ということで、CorsairのHX1200iに更新することにしました。
Corsair HX1200iを使ってみた結論
結論からまず先に。
メリット
- 1200Wの容量で、80PLUS Platinum(Cybenetics Platinum)認証。最大効率92%
- 105℃定格・100%日本製コンデンサ採用で、10年保証
- ケーブルが1本ずつバラけたType 4ケーブルで、とにかくしなやかで配線が楽
- 12V-2×6ケーブルが2本付属。挿し込み不良を防ぐ2色コネクタ採用
- iCUE対応。電力のモニタリング、ファン回転数の設定、レール構成の変更まで可能
- ハイエンドクラスの電源としては4万円程度と、意外にコスパが良い
デメリット
- 奥行き200mmと、ATX電源としてはかなり長い部類
- 4.4kgとそれなりに重い
- ゼロRPMモードは人によっては好みが分かれる(後述しますがiCUEで解決可能)
- ケーブルが1本ずつ独立している分、本数は多くなる
電源ユニットは「壊れる前」に替えるパーツ
そもそも電源ユニットって、動いているうちはあまり気にしないパーツだと思います。 CPUやビデオカードのようにベンチマークのスコアが上がるわけでもなく、SSDのように体感速度が変わるわけでもありません。私自身、AX860iを10年以上使い続けていたわけです。
ただし、電源が壊れると厄介なのは、他のパーツを道連れにされる可能性があるという点です。 出力が不安定になった状態でマザーボードやビデオカードに電力を送り続けるわけですから、最悪の場合は他のパーツまで巻き込んで死亡します。40万円を超えるビデオカードや30万円のSSDを守るための保険と考えれば、電源に4万円かけるのはむしろ安いという判断になります。
しかも我が家ではLLMを常駐させている関係で、電源は常に通電しっぱなしの状態です。コンデンサの寿命は温度と通電時間で効いてきますので、2012年製の電源をこの使い方で回し続けるのは、さすがにリスクの取りすぎだろうと思った次第です。
現在のPC構成はこちらの記事にまとめていますが、ストレージにOptane DC P5800X、メモリ192GB、ビデオカードにRTX PRO 4500 Blackwellという構成に対して、電源だけがATX12V Ver2.31という状態でした。しかも、UPSを入れて電源周りもてこ入れしたのに電源ユニットが古すぎるのはアンバランスです。優先順位としては、ここの更新が一番急務だったわけです。
Corsair HX1200iを選んだ理由
Corsairで揃えるメリット
一番大きいのは、これです。業務用PCはケースがCrystal 680X RGB、メモリがVENGEANCE DDR5、空冷ファンがiCUE LINK QX120と、Corsair製品がメインですべてiCUEで管理しています。
AX860iもCorsair Link経由で電力や温度をモニターでき、これがけっこう便利でした。消費電力が数値で見えると、「今このPCは何Wで動いているのか」が把握できますので、パーツの選定にも役立ちます。 であれば、後継としてiCUEに対応したHXiシリーズを選ぶのが自然だろう、ということでHX1200iを選定しました。
1200Wという容量
容量については、かなり余裕を見ました。
RTX PRO 4500 BlackwellはLLM専用として使うために、Windowsの描画用に別途RTX 4060 Tiを追加しています。 消費電力を積み上げると、RTX PRO 4500 Blackwellが200W、RTX 4060 Tiが160W、Core Ultra 7 265Kが最大250W前後。これにSSD 4枚とHDD、ファン類を加えても、常識的にはピークで700W前後といったところです。
850W級でも足りない数字ではないのですが、電源というのは負荷率50%前後が一番効率の良い領域ですし、24時間稼働させることを考えると、常用域を効率の最も良い部分に置いておきたいところです。そう考えると1200Wは過剰ではなく、ちょうど良い落としどころだと判断しました。
SHIFTではなくHXiにした理由
Corsairの最近の電源には、モジュラーコネクタを電源ユニットの側面に配置したSHIFTシリーズがあります。ケーブルを横から挿せるので配線がしやすい、という製品です。
面白そうだったので候補に入れようかと考えたのですが、Crystal 680X RGBでは使えませんでした。 というのも、680Xは電源を縦置きで搭載する構造になっており、電源の側面には3.5インチベイが位置しており、SHIFTを入れるとコネクタにケーブルが接続できません。
ケースによっては使えない場合もあるので、SHIFT系の電源を検討している方はケース側の搭載方向を先に確認しておいた方が良いと思います。
ハードウェアをチェック
Corsair HX1200iの詳細をみていきたいと思います。
とにかくケーブルがしなやかで配線しやすい
箱を開けて最初に感心したのが、ケーブルです。
HXiシリーズはType 4ケーブルを採用していて、24ピンのATXケーブル以外はすべてフラットタイプ。しかも1本ずつ独立してバラけているので、曲げたい方向に素直に曲がってくれます。 これ、実際に組んでみると効果は絶大で、狭いところを通す時のストレスがまったくありません。従来のスリーブでガチガチに束ねられたケーブルだと、どうしても「曲げたい方向に曲がってくれない」という場面があるのですが、それがありません。さらに、コネクタに変なテンションがかかることもなく、配線がとても楽に、自然に行えます。
裏配線をきれいに仕上げたい人には、これだけでも選ぶ価値があると思います。

なお、付属するケーブルは以下の構成です。
| ケーブル | 本数 | 備考 |
|---|---|---|
| ATX 24ピン | 1 | 610mm・スリーブ付き |
| EPS12V 8ピン(4+4) | 2 | 750mm |
| PCIe 8ピン(6+2) | 4 | 650mm |
| 12V-2×6 (12+4)ピン | 2 | 650mm |
| SATA (4コネクタ) | 2 | 合計8ポート |
| PATA 4ピン (4コネクタ) | 2 | 合計8ポート |
| USB Type-C to 10-1ピン | 1 | iCUE接続用 |
12V-2×6が2本付属
地味にありがたいのが、12V-2×6ケーブルが2本入っている点です。
我が家のようにビデオカードを2枚挿す構成や、将来的にマルチGPUを考えている場合、12V-2×6が1本しかないと変換ケーブルが必要となります。それが最初から2本入っているので、余計な変換をかまさずに済みます。また、ケーブルの種類も揃えられるので見た目も良いです。

コネクタ側も、挿し込み不良を防ぐための2色成型になっています。 きちんと奥まで挿さっていない状態だと、コネクタの根本にある色の違う部分が見えたままになるので、目視で判断できるという仕組み。12VHPWR/12V-2×6は挿し込み不足による発熱・溶損の話題が絶えないコネクタですので、この手の「見ればわかる」工夫はありがたいです。
長さ200mmは要注意
一点、注意しておきたいのが電源ユニット本体のサイズです。
HX1200iは奥行き200mmあります。ATX電源としては140mm~160mm程度の製品が多いので、200mmはかなり長い部類となります。Crystal 680X RGBはデュアルチャンバー構造で電源室が完全に独立している上に容積にも余裕がありますので何の問題もありませんでしたが、ミドルタワー以下のケースに組み込む場合は、事前に電源のクリアランスを確認しておいた方が良いと思います。
前面にラジエーターやHDDケージがある構成だと、けっこうギリギリになるはずです。
重量も4.4kgありますので、ケースに固定する際は落とさないように。

同じCorsairの旧ハイエンド電源、AX1200iと長さは同じです。
iCUEでモニタリングとファン制御
HXiシリーズの本領はここです。
付属のUSB Type-Cケーブルでマザーボードの内部USBヘッダに接続すると、iCUEから電源ユニットが認識されます。iCUEでできることは、入出力電力・電圧・電流のモニタリング、電源ユニット内部の温度表示、ファン回転数の表示と制御、そしてシングルレール/マルチレールの切り替えとなります。

特に助かっているのが、消費電力がリアルタイムで見えることです。 LLMを動かした時に実際に何Wまで振れるのかが数字で確認できますので、容量選定が正しかったのかどうかを後追いで検証できます。ちなみにうちの構成でLLMを回した状態でも、実測では500W台に収まっていました。1200Wは完全に余裕です。
ゼロRPMモードも自由自在に設定可能
HX1200iは140mmの流体動圧軸受ファンを搭載していて、一定の負荷までファンが完全に停止する「ゼロRPMモード」に対応しています。無音になるので基本的には良い機能なのですが、私はこの機能はあまり好きではありません。
というのも、個人的には低負荷であってもファンは低速で回り続けていてほしい派です。 特に24時間動かしっぱなしの環境だと、ファンが止まっている=電源内部の熱がこもっている状態になるわけで、コンデンサの寿命を考えると、緩やかにでも風を通しておいた方が圧倒的に冷えますし、製品寿命にも関わってくると思います。停止と起動を繰り返すよりは、ずっと低速で回っていた方がファン自体にも優しいと思います。

そこで役に立つのが、iCUEです。iCUEでファンカーブを自前で設定することで、低負荷時は最低回転数で常時回転し、負荷が上がってきたら段階的に回転数を上げていく、という設定が可能です。
プロファイルは好きなように作れますので、静音性と冷却のバランスを自分の使い方に合わせて追い込めるのがiCUEの良いところです。
なお、最低回転数で回している状態では、他のパーツの騒音に紛れてまったくノイズが聞こえません。ケースに組み込んでしまえば完全に無音です。ゼロRPMにこだわる必要は、正直あまりないように思います。おそらくマーケティング上の理由だと思いますが、低速でファンを回し続けた方が圧倒的に製品にとっては優しい使い方だと思います。
電源だけはケチらない方がいい
先日入れ替えたばかりですが、当然ながらトラブルは皆無です。 電源ユニットのレビューで「安定しています」と書いても何の面白味もないのですが、電源に求められるのは結局そこなので、これで正解だと思います。
価格ですが、購入時で約4万円でした。 1200WのPlatinum電源でこの価格というのは、意外とコスパが良いと思います。上を見れば6万円を余裕で超える製品もありますが、10年保証・105℃定格の日本製コンデンサ・Cybenetics Aクラスの静音性という中身を考えれば、十分に納得のいく金額です。
1200Wクラスでも2万円台の電源は存在します。ただ、電源ユニットというのはPCの安定稼働において最も基本的なパーツで、しかも壊れた時に他のパーツを巻き添えにする可能性がある唯一のパーツでもあります。ここをケチって、30万円のビデオカードや30万円のSSDを失うリスクを取るのは、どう考えても割に合いません。
40万円(今は値上がりして60万!)を超えるRTX PRO 4500 Blackwellを守る電源としては、HX1200iは非常に優秀な選択だと思います。 ATX 3.1・PCIe 5.1準拠で12V-2×6を2本備え、iCUEで細かく制御できて、10年保証。24時間365日回し続ける業務用PCの電源としては、これ以上望むものはありません。
このページで紹介している商品のセール情報を受け取ることができます。(Amazon限定)
通知が不要な場合はいつでもこのページで解除できます。 詳しくはこちら >
















コメント