eBayをうろついていたら、V100 SXM2 32GBを2基1枚の基板に実装し、NVLinkで接続した「V100 64GB Dualカード」が販売されていました。
1枚のカードにSXM2を2基搭載する基板の存在自体は以前から知っていました。ただ、AliExpressで見かけるのは基板の単体販売か、SXM2モジュールとのセット販売くらいで、水冷クーラーまで組み込んだ完成品として売られているのは見たことがありません。おや?と思って、とりあえずウォッチリストに入れておきました。
そもそもeBayを訪れた理由は、AliExpressでは値上がりしすぎたV100 32GBを探すためでした。あるセラーからV100を購入したものの、「在庫を確保できなかった」という理由でキャンセルされてしまったのです。中国の業者は倉庫を持たず、注文が入ってから仕入れ先に発注するところも多いので、こういうことは珍しくありません。
そこで別の業者から、RTX4090用クーラーを搭載したV100を購入し直しました。ところが、こちらも数日待っても何の連絡もありません。「こりゃ、またキャンセルされる流れだな?」と思い、どうせキャンセルされるなら試しにDualカードも買ってみるか、とポチってしまいました。
そうしたら数日後、「動作チェック終わったから両方発送するアルよ」との連絡が。
結果、2枚のカード、合計3基のV100 SXM2が我が家に届いてしまった訳です。

今は値上がりして$2,299ですが、私が購入した時は$1,999でした。
360mmラジエーターを搭載した本格水冷カード
このカードの特徴は、なんといっても2基のSXM2がNVLinkで接続されていること、そして360mmラジエーターを備えた水冷仕様であることです。

搭載されていたラジエーターは、MSIの「MAG CoreLiquid 360R V2」のものでした。
このラジエーターの面白いところは、ポンプがラジエーター内部に埋め込まれている点です。ファンモーターの真下にあたる、エアフローが当たらない場所にポンプを収めることで小型化を実現しています。
今回のV100 Dualカードのように、GPU側にポンプを置けない構成にはうってつけのラジエーターだと思います。

Fractal DesignのNorthに取りつけてみました。下部のプレート部分がポンプの内蔵されている場所です。340mm近い長尺カードを収めるため、空冷ファンはケース内側に取りつけています。
最高でも69℃程度と冷却能力は抜群
標準で付属するファンはJungle Leopard(凄い名前だ!)の「Interstallar-V2」ですが、RTX4090クーラーを搭載したもう1枚のV100と干渉してしまうため、こちらは使っていません。代わりに、サイズのスリムファン1台とノーマルファン2台を組み合わせています。
ラジエーターのファンは4ピンPWMですが、マザーボードに繋いだだけではGPU温度に応じた速度調整はできません。マザーボードが参照できるのはCPUやマザーボード自身の温度だけで、GPU温度とは連携できないからです。マザーボード上のサーマルセンサー端子にセンサーを繋ぎ、GPUの水冷ヘッドに接触させれば制御は可能ですが、それはそれで面倒です。
ということで、Ubuntu側からマザーボードのセンサー制御を行い、GPU温度に応じてファン速度を制御することにしました。Claude Codeに「マザーボード上のCHA-FAN3端子に取りつけたGPU水冷ラジエーターの回転数を、GPU温度でコントロールするようにして」と依頼すれば、マザーボードの型番や制御チップ(今回はNuvoton NCT6796D)を検出し、必要なコードを書いてくれます。
しかも、0〜100%の各出力でのファン回転数の測定から、GPU温度に応じた回転数の設定(45℃以下で静音、60℃で中速、75℃で全開、各設定値の間はなだらかに変化)まで、自動でやってくれます。素晴らしい…
今回は1枚のカードに2基のSXM2が載っていますので、両方のGPU温度をモニターし、高い方に合わせてファン速度を制御するようにしました。
こういったことが簡単に出来てしまうのですから、AIってすこぶる優秀です。

構築中のClaude Codeの画面。負荷テストを実施したところ、ピークで69℃と優秀な値になりました。このとき12cmファンは1603rpmで回っている状態で、騒音も全く気にならないレベルです。
2スロット占有でスリム
水冷クーラーを搭載しているため、カード自体は2スロット占有とコンパクトです。

2枚あるカードのうち、下段の「V100 64g SXM2」と書かれたカードが水冷のV100 Dualカードです。水冷ホースの右側にはPCIe 8ピン電源を4本接続するコネクタがあり、ケーブルを繋ぐとかなり物々しい見た目になります。
2スロットしか占有しませんので、VRAM 128GB環境を構築するにはとても便利なカードだと思います。ただし、2枚のカード間はPCIe経由の通信になりますので、NVLinkのメリットは生かせません。
とはいえ、Ollamaで使うのであればNVLinkの恩恵はほぼありませんので、VRAM容量を重視する用途なら十分検討に値する構成だと思います。
詳細は以下のレビューをご確認ください。


使用するにはPCIe x16をx8/x8に分割できるマザーボードが必須
1枚のカードに2基のGPUが載っていますので、1本のPCIe x16をx8/x8に分割し、それぞれのGPUをx8レーンに接続させる必要があります。
これについては下記のレビューで詳しく説明していますので、ご参照ください。

カード1枚だけの利用であれば、最近のマザーボードはx16を分割できるものも多いのですが、x8/x4/x4やx4/x4/x4/x4にしか対応しておらず、x8/x8には分割できないものもありますので注意してください。

これはASRock B550 Steel LegendのUEFI画面ですが、x8x8の分割が可能なのが解ります。PCIeの分割についてはマニュアルに詳しく説明されていない場合も多いので注意してください。
最大のデメリットは保証なしという点
セラー側で動作確認はしてくれているものの、届いた後に故障した場合の保証はありません。中国の業者が改造したカードで、しかも水冷式ですから、壊れたときのリスクは小さくありません。
価格の高いカードなだけに、この点が最大のデメリットと言えるでしょう。
とはいえ、そのデメリットを上回るメリットがあるのも確かです。V100という世代の古さはネックになりますが、手軽にVRAM 64GBを手に入れる手段として、面白いカードだと思います。
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